「新元号・令和の由来」と「平成の由来」

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菅義偉

<2019/4/1追記>2019年4月1日に発表された新しい元号は「令和」

2019年4月1日に発表された新しい元号は「令和」でした。

「令和」の典拠となった万葉集の梅の歌32首の序文(*)にある「令月」というのは、「何事をするにも良い月」という意味ですが、「旧暦2月の異称」でもあります。

(*)万葉集の梅の歌32首の序文

<原文>

于時初春令月 氣淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香

<読み下し文>

初春の令月(れいげつ)にして気(き)淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かお)らす

<現代語訳>

初春のよき月で、空気は心地よく、風は爽やかである。
梅は鏡の前の美女が粧う白粉のように開き、蘭は身を飾る香のように薫っている。

今回は中国の古典からではなく、日本の古典である「万葉集」から選定しました。日本を大切にする安倍首相らしくて良かったと思います。

1.「平成」元号の発表

「新しい元号は『へいせい』であります。」

小渕恵三官房長官(当時)から現在の「平成」という元号が発表されたのは、1989年(昭和64年)1月7日のことでした。これは、昭和天皇が崩御された「当日」のことです。私は生まれてからずっと「昭和」時代を生きて来ましたので、「平成」と墨書された額を掲げた小渕さんの写真はとても印象的でした。

翌日(1月8日)朝に、平成元年を迎えた心境を聞かれた竹下登首相(当時)は「平静です。」と答えたそうです。竹下さんは駄洒落好きだったようですね。孫に当たるミュージシャンでタレントのDAIGOさんが、「おじいちゃんは、総理大臣になった日、帰って来るなり『I am sorry(アイ アム ソーリ)』と言っておどけていました」というエピソードを話していました。

2.「平成」の由来と考案者

(1)由来

古来、日本の元号は、中国の古典の中の文字から取ったものが多いようです。では、現在の「平成」という元号は、どういう意味でどういう由来があるのでしょうか?

「平成」の意味を、竹下登首相(当時)は、談話で「国の内外にも天地にも平和が達成されるという意味が込められており、これからの新しい時代の元号とするに最もふさわしい」と説明し、「新しい元号も、広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根ざしていくことを心から願っている」と締めくくりました。

「平成」という元号が正式決定される前、沢山の候補がありましたが、最終的に「平成」「修文(しゅうぶん)」「正化(せいか)」の三つに絞られました。しかし「修文」と「正化」では「アルファベット頭文字」にすると「S」になり、「昭和」の略称と区別できないので、「平成」に決まったようです。

「平成」の由来は、『史記』五帝本紀の「内平外成(内平らかに外成る)」『書経』大禹謨の「地平天成(地平らかに天成る)」からで、「国の内外、天地とも平和が達成される」という意味です。

(2)考案者

この「平成」を提案したのは、東洋史学者で東京大学名誉教授の山本達郎氏だそうです。しかし、私が聞いた話では、「平成」を最初に提案したのは著名な陽明学者の安岡正篤(まさひろ)氏だったとのことです。

戦後、歴代総理を初めとする政治家や有力財界人に大きな影響を与えた人物です。安岡氏は晩年、占い師の細木数子(1938年~2021年)さんと「結婚」(婚姻届提出時には、安岡氏が認知症であったことから、安岡家側が婚姻無効の訴訟を起こし、結局細木さんは安岡氏と離婚しました)したことでも話題になりましたね。

ただ、安岡氏は昭和58年に死去していますので、物故した人の提案を「新元号」にするのは具合が悪いということで、山本氏の提案とされたのかも知れません。

3.今回の新元号はどうなるか?選考過程と実務への影響

(1)新元号の発表時期

ところで、今何と言っても気になるのは、平成の後の「新しい元号が何になるのか?またいつ頃発表されるのか?」ということではないでしょうか?

新元号については、「下馬評」ですが、いくつかの候補が上がっているようです。

「賭け事」好きなイギリス人なら、「日本の新元号」についても「賭け」をしているかも知れません。ただ、「漢字2文字」なので、外国人には難しいのではないでしょうか?

新元号の発表時期ですが、当初政府は「皇太子殿下が新天皇に即位される2019年5月1日の一ヵ月前の4月1日の公表を想定して準備を進める」としていましたが、今のところ発表時期はまだ決まっていないようです。しかしカレンダーや手帳の印刷を始め、「契約書式の日付欄」やパソコンのエクセルの「元号表示の日付」の変更など、国民生活の様々な所に影響が及ぶのでなるべく早く、できれば10月中には発表してほしいものです。

従来のような「天皇崩御」に伴う改元とは異なり、事前に退位日が決まっている訳ですから、6ヵ月前でも全く問題ないはずです。特に今回の場合、事前に退位が決められたにも拘らず、改元が1月1日ではなく、5月1日という何とも中途半端な日になりましたので、カレンダーや手帳の印刷を考えると、遅くとも10月には発表する必要があると思います。それでも間に合わず「追加シール」での対応になるかも知れませんね。コンピュータのシステム改修も大変な負担になりそうです。

(2)新元号の選考過程と考案者

今回の「新元号」については、誰がどのようにして候補を上げ、どのような過程で決定されるのかはっきりしたことはわかりませんが、中国の古典に詳しい複数の学者が、元号の候補の文字を挙げ、選考会議を重ねて、その中から、過去に使用されたことがなく、かつ親しみやすい文字に決定することになるのでしょう。多分、新元号はもう既に「決定」されているはずです。

(3)実務への影響

ところで、会社の実務においては、日本独自の「元号」は使わず、「西暦表示に一本化」が進んでいるようです。古い稟議書や契約書などは、「元号」表記ですが、最近は「西暦」に統一した会社が多いようです。何故かと言うと、「昭和」「平成」「新元号」と「西暦」が混在すると、18年と表示された年号について、「平成18年」なのか、西暦「2018年」の省略した表記なのかわからなくなるからです。そんな間違いはしないとしても、「西暦」と「和暦」の相互読み替えなど煩わしい限りです。

どうしても「元号」表示をする必要がある場合は、「2018年(平成30年)」のように括弧書きするのが適当だと思います。最近の若い人は、自分の生年月日でも、「1990年生まれ」のように西暦で言うことが多いので、抵抗はないと思います。

また、会社で使用しているパソコンのエクセルの「日付表示」で、「ユーザー定義」したものかも知れませんが 「元号表示」(gg/mm/dd)の場合、西暦で入力すると平成元号に変換されます。今回マイクロソフト社がいつ新元号対応してくれるのかも心配です。「平成」の時は、私はよく覚えていませんが、スムーズに対応してくれたようです。

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