今こそ「製造業(工場)の日本回帰」でサプライチェーンの中国依存を脱却すべき

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工場の海外移転

<2023/2/27追記>コロナ起源「中国の研究所から流出か」 米エネルギー省が判断との報道

「朝日新聞デジタル」による次のような報道がありました。

新型コロナウイルスの起源について、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は26日、中国の研究所から流出した可能性が高い、と米エネルギー省が判断していると報じた。新たな機密情報を根拠としており、ホワイトハウスや米議会幹部に報告されたという。ただ、米政府内でも、動物を介して人に感染した説を有力視する機関もあり、見解が割れている。

WSJによると、エネルギー省は「確信度は低い」としつつも、ウイルスが中国の研究所での不慮の事故によって広まったと判断した。エネルギー省は、先端的な生物学的調査も担う米国立研究所を管轄しており、「相当な科学的知見を有する」という。

 他の政府機関では米連邦捜査局(FBI)も研究所流出説を支持する立場をとっている。国家情報会議や他の四つの機関は動物を介した説を支持し、米中央情報局(CIA)など二つの機関は、どちらの説か結論づけていないという。

1.「日本のモノづくりの伝統」は「風前の灯」

コストダウンを図るために、製造業の工場を中国や東南アジア・メキシコなどの「海外への移転」が行われるようになってもう何十年にもなります。最初は大企業だけでしたが、最近では中小企業の工場移転も盛んになっています。特に中国への工場移転が圧倒的に多く、「世界の工場」とまで言われるようになっています。ただ、最近は中国の賃金上昇が急激なことや品質の問題から、ベトナムやタイなどへ移り、さらに人件費を抑えるためにミャンマーやバングラディシュへの移転も出て来ています。

しかし、このまま製造業の工場の海外移転が進むと、「日本の製造業の空洞化」がますます進み、「日本のモノづくりの伝統」は「風前の灯」です。

<2020/3/6追記>

2019年12月に中国・武漢で発生した「新型コロナウイルス肺炎」(COVID-19)の影響で中国の工場で製造している多くの部品や製品の供給がストップしました。中国に過度に依存している「サプライチェーン」が断ち切られて、日本に多方面の悪影響を与えることが明らかになりました。マスクをはじめ自動車や住宅機器の部品に至るまでその被害は甚大なものです。

今こそ、部品や製品の生産を中国から日本に回帰させる絶好のチャンスだと私は思います。

2.「日本への工場回帰」の動き

「コストダウン」の過度な追求はこの際やめて、今後は「品質」と「モノづくりの伝統継承」の為に、日本の工場での生産に回帰すべきです。

幸いなことに、最近海外の工場を閉鎖して、日本国内に新たな工場を建設する企業が出て来ました。「製造業の国内回帰」と呼ばれる現象です。大手メーカーの中には、海外生産する製品や部品の一部だけを国内生産に切り替える方針を打ち出すところが増えています。

この現象が起こった原因は、「製造業・モノづくりの伝統を守るため」という理想主義的な(観念的な)理由からではなく、もっと現実的な経済的理由からです。

(1)円安

一つ目の理由は、「円安」です。円安によって日本円の価値が下がり、海外の人件費が高くなった為に、日本に戻って来たのです。

(2)日本人の高い技術力

二つめの理由は、「工場で働く人の技術力の違い」です。日本の工場では、一人当たりの人件費は高いですが、優秀な技術力のおかげで、あまり人数をかけずに良いモノづくりができるという訳です。

(3)品質や納期の問題

その他にも、海外工場の場合は「品質が劣る」「納期が守られない」といった問題もあったようです。

「MADE IN JAPAN」品質の評価は、和風総本家などの番組などを見ていても、海外の人が絶賛していることから明らかです。

3.日本製品の品質に見合った価格設定(値上げ)をすべき

日本企業の経営者は、もっと日本製品の品質に見合った価格設定(値上げ)をして、自分達の企業の従業員が勤勉で高度な労働に見合った報酬を得られるように、方針の大転換をすべき時期ではないでしょうか?松下幸之助が提唱した「水道哲学」(品質が良くて安い製品を水道のように大量に供給するという理想主義)の呪縛からそろそろ脱却し、「品質がよい製品を適正価格で提供する」という現実主義に転換すべきだと思います。

今後は、「円高」に振れたとしても、「日本の製造業・モノづくりの伝統を守る」ために、是非「製造業の国内回帰」を加速していただくよう、製造業の経営者の皆様にお願いしたいと思います。

4.「職人わざ」の継承方策

また、機械生産ではなかなか真似のできない経験と勘が物を言う「職人わざ」の世界、たとえば、刃物・大工・家具・製陶などの手工熟練を要するモノづくりについては、ドイツのマイスター制度のようなものがなく、若い後継者が少なくなっている現状では、難しいことかも知れませんが、何とか残していく方策も考えてほしいものです。