日本は出版過剰。適量生産・適量消費・少量廃棄に転換を!電子書籍の活用も

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電子書籍

少し前に、最近の日本における「洋服」の生産過剰や、「食品」の生産過剰の現状と問題点やそれに対応した「ニッチ(すきま)産業」についての記事を書きましたが、今回は「書籍」の出版過剰の現状と、電子書籍についてご紹介したいと思います。

1.出版過剰の現状

以前から、発行後間もない新刊書でも、売れ残ったものは価格を下げて書店の店の外で「ワゴンセール」しているのを見かけたことがあります。書籍は、岩波書店だけは「買取り制」ですので、売れ残れば書店の損失となりますが、その他の出版社の書籍は「委託販売制」なので、一定期間経過して売れ残った書籍は、出版社へどんどん返本されて、最終的には裁断の上「廃棄処分」されます。

私が学生の頃は、岩波書店の書籍を置いている本屋さんが多かったように思いますが、最近は大手書店の紀伊國屋書店・ジュンク堂書店などにはありますが、町の本屋さんではあまり見かけなくなりました。これは、岩波書店が「買取り制」だということと、岩波文庫や岩波新書などの岩波書店が出版する書籍があまり売れなくなったということが原因だと思います。他の「委託販売制」の複数の出版社が同種の文庫・新書を出すようになり、しかも岩波書店ほど堅苦しくない内容なので、町の本屋さんとしては、「ハイリスク・ローリターン」の岩波書店の本を置かないのでしょう。

現在、新刊書は「毎日」約2百冊、「1ケ月」で約6千冊、「1年」で約7万冊も出ます。

著者や出版社は、「絶対売れる」と思って執筆し、出版するのでしょうが、大半の書籍が返本の憂き目にあうのが厳しい現実です。その点、「電子書籍」なら初版第一刷何部とかを考える必要がなく、読まれた分だけ売れた訳ですから「廃棄処分」とは無縁です。

普通の個人の「自費出版」でも「最低何部」とかの最低発行部数がありますが、ブログの場合は、興味のある人が読んでくれればよいというスタンスですから、気楽なものです。ただ、アフィリエイトをしている人の場合は、「ブログ閲覧数」と「広告クリック数」「広告による商品購入件数」は重大な関心事ではありますが・・・

2.電子書籍

2010年は、アップルの「i Pad」発売により、「電子書籍元年」と呼ばれ、ネット書店のみならず、家電メーカー、出版社、印刷会社、取次代理店などの新規参入が相次ぎました。

「電子書籍」は、現在スマホを見る若い人を中心に「コミック」などで普及が進んでいるようですね。また、Amazonの電子書籍読み放題サービス「Kindle unlimited」は「月額980円で豊富な本・コミック・雑誌・洋書が読み放題」で割安だと、長男の嫁から聞きましたが、まだ、私はそこまで踏み出せていません。

私は、まだインターネット無料図書館とも言うべき「青空文庫」ぐらいしか利用していません。この「青空文庫」は1997年から公開されており、古代の「古事記」から、中世の「土佐日記」、「方丈記」、与謝野晶子訳の「源氏物語」、明治時代の文豪の小説や詩歌まで著作権の消滅した文学作品が多数収められています。「電子書籍」への入り口としては、最適ではないかと思っています。まず「総合インデックス」の「公開中の作品」で、「作家別」および「作品別」のリストをご覧ください。外国人を含むバリエーション豊かな「作家」「作品」が多数収められているので驚かれると思いますよ。

話は変わりますが、昭和34年(1959年)ごろ、池田勇人首相の「所得倍増計画」を受けた形の「消費は美徳」という流行語がありましたが、これは大量消費社会の到来を象徴するような言葉でした。

しかし、これもそろそろ曲がり角に来ているような気がします。洋服や食品と同様に書籍についても「適量生産・適量消費・少量廃棄社会」を目指すべき時期なのではないかと思います。

さて、最後に「電子書籍」の仕組みや今後の可能性について考えて見たいと思います。現在のような「電子書籍販売システム」は、フジオンラインシステムが1995年にパソコン通信上で日本初の電子書籍ストア「電子書店パピレス」を開始したのが始まりのようです。

現在、「電子書籍サービス会社」としては、Amazon Kindle、e BookJapan、Booklive!などがあります。Amazon Kindleは、600万冊以上の豊富な品揃えが魅力です。ただし漫画は約20万冊と少なめです。e BookJapanは、約57万冊の品揃えですが、漫画のタイトル数はNo1です。Booklive!は、約73万冊の品揃えでマニアックな本から話題作まで幅広く、漫画も充実しています。

電子書籍の仕組みは、「出版社」が「電子書籍サービス会社」各社に、「書籍の電子化」を依頼し、「電子書籍サービス会社」は、「電子化した書籍」を「契約者(会員)」に送信します。送信された電子書籍は「クラウド」という「インターネット上の契約者専用の本棚」に保存されます。これを、契約者は、パソコンやタブレット、スマホなどにダウンロードして読むわけです。「読む権利を買う」というべきかも知れません。

著者に対する「印税」の支払いは、著者と「電子書籍サービス会社」との間で取り決められた「単価」に「購入冊数」を掛けた金額が一定期間毎に支払われます。

電子書籍のメリットは、「いつでも・どこでも・手軽に読める」ということです。しかし、品揃えに限界があることや、新刊書発売後数ヶ月経過しないと電子書籍で読めない(これは、電子化の作業に時間を要するため)ことなどがあります。ですから、ベストセラーをすぐに読みたい人は、町の書店かインターネット市場で「紙の本」を購入するしかありません。

なお、電子書籍サービス会社には古い本や古書は置いていないようですが、これらの本については無料の電子図書館である「青空文庫」が充実していますので、ぜひご利用ください。

Amazonの「Kindle unlimited」は、12万冊以上の本が「読み放題」とのことですが、自分の読みたい本があるかどうかが重要なポイントです。「30日間無料体験」というキャンペーンもあるようなので、それで試してみて自分に合っているかどうか確認するのも一法だと思います。

いずれにしても、電子書籍は今後も進化して行くものと思いますが、どの電子書籍サービス会社を利用するかは、取り扱っているジャンルなどの特徴をよく把握してから決めるとよいと思います。