「空き家」の問題点と対策

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空き家

1.空き家の増加

所ジョージさんがMCを務める「ぽつんと一軒家」というテレビ番組があります。これを見ると、過疎地の中の「過疎集落」「限界集落」に残る空き家になる寸前の一軒家(現在は中に人が住んでいる場合が多いのですが、大抵高齢者の一人暮らしです)が紹介されますが、「こんな所によく家を建てたものだ」と驚かされます。周辺に「廃屋」があることもよくあります。

そこまで極端な例を見るまでもなく、私の家の近辺にも「空き家」がいくつもあります。ここで言う「空き家」は、純然たる空き家のほかにワンルームマンションの空き室や、古いアパートの空き家も含んでいます。

日本の「空き家」は増え続けていて、色々と問題が出て来ているようです。総務省統計局の調査では、2013年現在の総住宅戸数6,063万戸のうち、820万戸が空き家となっています。空き家率は13.5%で、総住宅戸数・空家数・空家率とも過去最高となっています。都市部の場合は、地方に比べて、空き家率は低いですが、空き家の「絶対戸数」が多いのが特徴です。

2.空き家増加の原因

「空き家」増加の原因として考えられるのは、次のようなケースです。

(1)地方出身者が東京や大阪などの都会の会社に就職して、途中転勤などで日本各地を転々としても、定年後もマイホームを買った都会の近郊都市にずっと住んでいて、地方の実家には年老いた両親だけが残り、二人とも亡くなった後は空き家になるケース

(2)若い頃に買ったマイホームは、自然には恵まれているものの、駅から遠い山手で坂道が多くバスかマイカーでしか、通勤できない所。高齢になって、買い物にも便利な駅に近い平地のマンションに住みかえようと思うが、山手のマンションは価格が下落している上、なかなか買い手が付かない。しかも駅に近いマンションは価格が高すぎるので、結局平地の賃貸マンションに入ることになる。息子たちは、自分の若い頃と同様に、家を出て実家には戻らないというケース

(3)銀行に勧められて、あるいはワンルームマンション業者に勧められて、遊休地にワンルームマンションを建築したが、最初の頃は「満室」となったものの、やがて老朽化するとともに、近くに新しいワンルームマンションが出来て、だんだん空き室が増えて来たというケース

このケースは、バブル全盛期に盛んに行われた勧誘ですが、最近また大阪近郊では増加しているようです。ワンルームマンション業者としては、マンション建築の請負とマンション管理業務ができる、銀行は貸金を増やして金利収入を確保できるという訳です。しかし、このやり方は、人口が減少する中、必要以上に住宅を供給することで必然的に空き家を増やす結果となります。

(4)老朽化して廃屋(又は廃屋寸前)になった空き家でも、解体するには数百万円の解体費用が必要な上に、更地にすると固定資産税が何倍にも上がるので、そのままにしているケース

上記の(1)や(2)のケースでは、売る意思はあっても、買い手がつかなかったり、あっても価格が安すぎて、売却に踏み切れないで、「空き家」のまま放置することになる場合が多いようです。

3.空き家増加への対応策

(1)への対応策

・IT企業などのように、「パソコンがあれば都心でなくても仕事が可能な企業」の「社宅兼仕事場」として利用する方法

・地方の「古民家」などであれば、そういう古い日本家屋に住みたいという人々に対する賃貸を仲介するネットワーク会社を作り、インターネット上で公募する方法

・過疎に悩む地元の地方自治体が、地元に定住してくれる人を優遇する政策の一環として、空き家を一括借り上げして、格安で賃貸する方法

・あまりにも老朽化している場合は、「解体費用を補助」する方法

(2)への対応策

・自分達がマイホームとして買ったころと同じ世代、つまり「若い夫婦二人」や、「若い夫婦二人と幼児の家族」に対して格安で賃貸する方法(賃料は若干安くなってもやむを得ず)

もしそのマイホームの所在する自治体が「定住促進政策」を取っているなら、補助金で賃料を実質格安にする方法も考えられます。

(3)への対応策

・「リフォーム資金の低利融資」とか、「リフォーム資金に対する補助金制度」などが考えられます。

・インバウンド対策として、「民泊」施設として活用する方法も考えられます。

(4)への対応策

・「老朽化した空き家」については更地より安い固定資産税の優遇税率の廃止又は削減

・「老朽化した空き家」を更地にした場合、解体費用の補助または一定期間優遇税率を適用

4.空き家増加の問題点

いずれにしても、家は人が住まなくなると傷むものです。「空き家」になると雑草も伸び放題になり、野良猫や鼬の住処になったり、不審者が住み着いたり放火されたり、地面師の標的にされたり、最悪の場合は倒壊するなど、環境的にも衛生上・治安上・安全上も問題が多いものです。

先日大きく報道された東京・五反田の旅館跡地で積水ハウスが騙された「地面師事件」(「所有者成りすまし」により「架空不動産売買」を行い「売買代金を詐取する」詐欺事件)や、昨年の東京・赤坂の一等地でアパホテルが騙された地面師事件と同様の事件が起きる可能性もあります。ここ数年、東京都内では、地面師グループが暗躍しているという噂もあります。

5.行政による対応の加速化を望む

2017年には、「空き家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空き家法)が施行されました。この法律では、「行政による空き家の強制撤去」も認めていますので、この対策は喫緊の課題です。地方自治体で空き家の登録と紹介をする「空き家バンク」という制度を立ち上げているところがあるようで、私が上の(1)(2)の対応策として挙げたものと重複する部分があるかも知れません。

空き家の増加が止まらない現状に鑑み、空き家所有者がこの問題を解決しやすいように、政府や自治体でも、ほかにも出来る方法があれば是非検討して頂きたいと思います。

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