「仕掛学」とは何か?強制ではなく、自主的な行動を促す仕掛けを研究する学問!

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真実の口

1.仕掛学とは

皆さんは、「仕掛学」という言葉をお聞きになったことがありますか?これは、大阪大学の松村真宏教授が提唱しているもので、「人の行動を変える【仕掛け】を対象にした新しい学問分野」です。人がつい行動したくなる現象や効果を検証する学問です。

2.仕掛学に基づいた装置の具体例

(1)「真実の口」を模した「消毒液噴霧装置」

先日、テレビで松村教授が考案した装置をいくつか紹介していました。ひとつは、ある病院の玄関に設置された「真実の口」を模した「消毒液噴霧装置」です。この「真実の口」は映画「ローマの休日」で大変有名になりましたね。

「消毒液」は病院・マンションの玄関や、エレベータの前などに置かれていますが、利用する人はあまりいません。そこで、「消毒液」の利用率向上のために考え出したのが、「穴があると思わず手を入れたくなるという人間の好奇心・心理を利用し、手を入れると消毒液が噴霧される装置」です。有名な「真実の口」を使ったのは遊び心でしょう。結果は上々で、利用者の評判もよいそうです。

余談ですが、この「真実の口」は、ローマのサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の外壁、教会の正面柱廊の奥に飾られていますが、もともとは古代ローマ時代に「下水溝のマンホールの蓋」として作られた物だそうです。刻まれている顔は海神オーケアノスです。

(2)「バスケットボールのゴール付きゴミ箱」

松村教授はほかにも、「バスケットボールのゴール付きゴミ箱」も考案しています。「ゴール」があると、つい「シュートしたくなる(投げ入れたくなる)」という人間の好奇心・心理を利用したものです。大学内で実験した結果では、普通のゴミ箱に比べて投入率は高かったそうです。

教授は「強制するのではなく、自主的にその行動を選ぶようにいざなうことが重要だ」と訴えています。

3.大阪市内の公共の場所から「ゴミ箱」が消えた

最近、大阪市内の道路やホテル、百貨店、商業ビルなどの公共の場所から「ゴミ箱」が消えました。「テロ対策」ということもあるかも知れませんが、「ゴミ箱を置かないことによって、みんながゴミを家に持ち帰るようになり、あまりゴミも捨てたりせず、大阪の街が綺麗になったように思います。商業ビルの清掃担当者が、周辺の道路を含めてこまめに掃除しておられることもあるでしょうが、これなどは、「引き算の仕掛け」と言えるのではないでしょうか?

私が40年ほど前にアメリカに出張した時のニューヨークでは、道路沿いの「ゴミ箱」にゴミが溢れていましたし、道路にもゴミが多かったように思います。食べながら歩いたり、平気で道路にゴミを捨てる人が多かったからです。ゴミ回収車の来る頻度も少なかったのかも知れません。

4.その他の仕掛学の発想と類似の掲示や装置の具体例

私が高校生の時、学校の男子トイレの壁に「急ぐとも心静かに真ん中に 吉野の花も散れば汚し」という「和歌」調の注意書きが貼ってあり、感心した記憶があります。

高速道路のパーキングエリアの男子トイレには「もう一歩前へ」という張り紙がありました。以前「世界ふしぎ発見!」というテレビのクイズ番組で、「ヨーロッパの男子トイレで便器の中に小さい虫が描かれていが、これは何のため?」という問題がありました。答えは、「その【小さい虫】をめがけて用を足す人が多くなり、汚れが減から」でした。

また、コンビニのトイレで、「いつもきれいにお使いいただき、ありがとうございます」と書かれた紙が扉の内側に貼ってあるのを見たことがあります。これは、いつもきれいに使っている人に対しては、「お礼・感謝」を表しているとともに、きれいに使っていない人に対しては、やんわり「お願い」をしている形です。これがあると、気分よく「きれいに使わないといけないな」という気持ちにさせられます。「トイレはきれいに使ってください」という命令調よりも効果がありそうですね。

トイレの話ばかり続いて恐縮です。次に、最近私が心斎橋の商店街にある「シャッターを下ろした店舗」で見つけた面白い張り紙をご紹介します。

この前に置いてある自転車は不用品につき、ご自由にお持ちください。」

これは、「この前に自転車を置かないでください!」とか「駐輪禁止」のような警告文・禁止文ではりませんが、それ以上に無断で自転車を置こうとする人を「どきっ」とさせ、抑止する効果があるように思います。そして、通りすがりの人には、思わずニヤッとさせる機知に富んだ文章だと私は感じました。

最後は気持ちの良い話題を一つ。Jリーグの試合開始の時、「選手が子供達(マスコットキッズ)と手を繋いで登場」しますね。あれの目的は、サッカー少年・少女たちに、憧れのプロサッカー選手と手を繋ぐチャンスを与えるということもあるでしょうが、本当の目的は、選手に「子供たちに恥ずかしくないプレーをする。反則やラフプレーをしない」という気持ちを起こさせることだそうです。

確かに松村教授のおっしゃるように「強制するのではなく、自主的にその行動を選ぶようにいざなうことが重要だ」ということですね。

【仕掛学】問題の解決方法が天才過ぎじゃない?

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