「自動運転でスマホOK」との「道路交通法改正」は正しいか?

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自動運転

1.「自動運転でスマホOK」との道路交通法改正は疑問

去る12月20日、「高速道路渋滞時『レベル3』が条件ながら、自動運転でスマホOK」の道路交通法改正案がまとまったとの報道がありました。

『レベル3』の自動運転車とは、『高速道路など特定の場所に限り、システムが交通状況を認知して運転に関わる全ての操作を行うが、緊急時やシステムが作動困難になった場合はドライバーが対応を行う』自動運転車のことです。

この「ドライバーの安全義務の一部軽減」は、「スマホでの通話やメールの送受信、映像の視聴OK」という内容ですが、問題はないのでしょうか?

2.「自動運転車」こそ不測の事態が起きる恐れが大きい

私は、「自動運転車」こそ、「緊急時やGPSの故障などによる作動困難」の事態が十分予測されますので、このような「安全義務の軽減」は非常にリスクが大きいと思います。

最近では、「サイバー攻撃」によって、交通情報ネットワークシステムに不正侵入し、偽情報を流して、自動運転をかく乱する脅威も指摘されています。

ドライバーが運転を引き継ぐ場合に備え「直ちに適切に対処できる態勢に限る」との条件を付けるようですが、そんな器用なマネは誰も出来ないと思います。「パニック」になって、大事故につながりかねないような気がします。

当面は「渋滞時の高速道路での低速走行時など」を想定しているとのことですが、来年からの「ながら運転厳罰化。事故なしでも懲役」という「ながら運転撲滅」の流れに「逆行」しているように感じます。「サイバーテロ攻撃の脅威も考えるとなおさらです。

3.スマホで話しながらの運転が増加している

最近も御堂筋を走っている車を見ますと、スマホで話しながらの「ながら運転」をよく見かけます。それを裏付けるように、運転中のスマホのメールやゲームが原因の事故が増加しています。2017年には死傷事故が2,832件で、うち死亡事故は40件に上っています。

2016年には、愛知県一宮市で、小学校4年生が「スマホゲームのポケモンGO」をしながら運転していたトラックにはねられて死亡しました。遺族が「厳罰化」を要請したばかりです。

「ハンズフリー」のスマホだとしても、会話をすることによって、ドライバーは運転以外に気が散ります。込み入った話になればなおさらです。

昔、自動車教習所での実技の時、教官が話しかけて来て、「計算問題」を出して考えさせておいて、急に「右折」の指示を出したことがありました。当然ながらすぐには反応できず、大あわてしました。公道なら確実に事故になるところした。

4.どんな自動運転条件でも「スマホOK」にするのは非常に危険

普通の会話ですらこの状態ですから、「スマホOK」にするのは非常に危険だと思います。一体、法改正に携わった人は、どういう理由でこのような改正(私に言わせれば「改悪」)を考えたのでしょうか?これで事故が起きたらどう責任を取るつもりなのでしょうか?「想定外」とでも答えるのでしょうか?

「自動運転」を推進したいがための、「特典(えさ)」のようにも思いますが、私は反対です。警察庁の皆様には「再考」をお願いしたいと思います。