「引退」「引き際」の難しさと大切さをスポーツ選手について考える!

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イチロー

自分の「現在価値」と「将来価値」を冷静に見極めることは、現実には大変難しいことです。これは何も一般人に限ったことではなく、「功成り名遂げた人」についても言えることです。

よく、「夢をあきらめないで」「Dreams come true.」(夢は実現する、願いは叶う)「Where there is a will, there is a way.」(意志ある所に、道はある)などとよく言われます。

「精神一到何事か成らざらん」(朱子語類)「為せば成る為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」(上杉鷹山)とも言われます。

医師国家試験」「司法試験」「科挙」のような最難関の試験に見事合格する人がある一方、極端な場合は一生をかけてそれに挑戦し、挫折して行った人も多数いるのが現実です。しかし、一生を「夢追い人」で終わるのは勿体ない話です。

今回は少し趣を変えて、一流のスポーツ選手の「引退(引き際)」の難しさと大切さについて、考えて見たいと思います。

1.イチローさん(1973年~ )

イチローさんは、日本とアメリカメジャーリーグで輝かしい成績を収めていますが、45歳まで現役でした。現在はシアトルマリナーズ会長付特別補佐です。

しかし、2019年のシアトルマリナーズのメジャーリーグ開幕戦は、東京ドームで行われることになっており、彼も「選手」として出場する可能性があるそうです。

彼には独特の「イチロー哲学」がありますので、第三者がとやかく言う問題ではありませんが、これを花道として「引退」するのがよいと私は思うのですが・・・

2.清原和博さん(1967年~ )

私は、彼が西武に入団した時の、はつらつとした初々しいユニフォーム姿が強く印象に残っています。

入団後間もない頃、長嶋茂雄さんと対談した時、「背番号3番といえば、西武の清原と言われるようになりたい」と話していた記憶があります。「長嶋茂雄さんのようになりたい」というようなお世辞がなかったので、強い自信の表れだと思いました。

若い頃は大活躍しましたが、巨人に移籍したころは太りすぎで、高い年俸に見合った活躍もなく、不振続きで引退しました。

それまでに、引退後の進路について、「野球解説・評論、野球教室、講演」など野球関連でも良いので、じっくり考えていれば、今日のような末路を辿らなくて済んだのではないでしょうか?

3.浅田真央さん(1990年~ )

彼女が、現在の女子フィギュアスケート人気を作った立役者であることは、間違いありません。

彼女は「一旦引退」(1年間の競技生活休養と現役続行は「ハーフハーフ」)した後に「現役復帰」しましたが、結局成績不振のため引退し、プロスケーターに転向しました。

彼女は1年間の休養期間後も、「スケートへの思い」が断ち切れず、「今辞めてしまうと一生後悔する」と思い、現役復帰した訳ですが、結果はみじめなものでした。

4.高橋大輔さん(1986年~ )

彼は、羽生結弦さんが活躍する前のスター選手ですが、28歳の時、「引退」しました。しかし2018年に32歳で「現役復帰」を表明しました。

浅田真央さんのケースとよく似ていますが、4年のブランクを経ている上、年齢的にも32歳と若くありませんので、今後の更なる活躍は難しいのではないかと私は思います。

フィギュアスケート解説では、織田信成さんが面白い話術で大活躍ですし、彼はあまり話すのが得意ではなさそうなので、プロスケーターとコーチがぴったりだと私は思うのですが・・・

5.杉原輝雄さん(1937年~2011年)

彼は大阪府茨木市出身のプロゴルファーですが、優勝回数が63回と尾崎将司さん・青木功さんに次ぐ3位です。約50年にわたって現役を続行してきた存在感の大きさから、「日本プロゴルフ界のドン」と呼ばれています。

しかし、「ドン」と言っても強面(こわもて)ではなく、マナーには厳しいけれどもユーモアたっぷりの好々爺(こうこうや)でした。

彼は前立腺がんを患いましたが。「手術するとゴルフが出来なくなる」として投薬療法を選びました。筋力低下を防ぐため。「加圧式トレーニング」を続けるなど「努力の人」でした。そして、「生涯現役」を貫きました。

6.尾崎将司さん(1947年~ )

彼は、優勝回数が113回と「世界プロゴルフツアー最多記録」を誇る天才的プロゴルファーで、現在の日本の「ゴルフ人気」(今では少し低迷していますが)を作った立役者です。

彼は昭和22年生まれで、私と同じ「団塊世代」ですが、「レギュラーツアー」へのこだわりが強く、「シニアツアー」には出場したことがありません。

持病の腰痛を抱えながらも、「レギュラーツアー」に挑戦し続けています。しかし、2013年以降は「予選通過」がなく、「途中棄権」と「予選落ち」を繰り返しています。

「永久シード権」があるとはいえ、これでは「若手選手の出場の機会を奪っているだけ」との批判もあります。

本人にも、このような批判は耳に入っており、「今年のオフが最後の稽古と思ってトレーニングする」とゴルフ雑誌で発言するなど、「引退」が視野に入って来たようです。

7.稀勢の里さん(1986年~ )

彼は大関昇進後31場所目で優勝と「歴代最も遅い記録」で、横綱昇進後の場所でもう一回優勝していますが、これが精一杯だったのではないでしょうか?

怪我が多かったり、よく連敗するなど盤石の実力はなかなか付けられませんでした。

現在広報部長を務めている芝田山親方(元横綱大乃国)も、優勝が2回しかない弱い横綱でした。無様な負け方が多くなり早々に引退したように記憶しています。

今年初場所の稀勢の里も、「初日から3連敗」という無様な負け方を見ていると、「横綱の名を汚している」「横綱の名に値しない」と言わざるを得ません。

久し振りの「日本人横綱誕生」と期待したのですが、期待外れだったようです。今からでは遅すぎるような気もしますが、一刻も早く自ら「引退」を決断すべきだと思います。