定年前後の中高年は「感情の老化」に要注意!放置すると認知症やうつ病の危険も

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<2021/7/31追記>2020年、日本人の平均寿命は過去最高を更新

2020年の日本人の平均寿命は、男性が81.64歳(2019年は81.41歳)で、スイスに次いで世界第2位、女性が87.74歳(2019年は87.45歳)で引き続き世界第1位です。

2019年7月30日に厚生労働省が発表した日本人の平均寿命は、男性が81.25歳(世界第3位)、女性が87.32歳(世界第2位)で過去最高を更新し、「人生100年時代」が、ますます現実味を帯びてきました。

そんな中で、「健康長寿」が我々高齢者にとって重要性を増しています。しかも、この「健康」は心身ともに健やかな状態のことで、「身体的な健康」と「精神的な健康」の両方です。

WHO(世界保健機関)の健康の定義も「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない」となっています。

「精神的な健康」(心の健康)は、「生きがいを見出し、それを実践する」ことで保たれるのではないかと私は思います。

それは、趣味・スポーツ・学び・ボランティアなどの社会貢献です。

1.「健康カプセル!ゲンキの時間」の「感情の老化」特集

ところで、先日(8月25日)たまたま日曜日に早起きしてテレビを見ると、筧利夫さんと西尾由佳里さんがMCの「健康カプセル!ゲンキの時間」(TBS系:毎週日曜7:00~7:30)という番組で、「感情の老化」という面白い特集(精神科医の和田秀樹氏が監修)がありましたので、ご紹介します。

(1)感情の老化の「症状」

最近「感動する事がなくなった」「映画を見なくなった」「新しい事を始めるのが億劫」ということはありませんか?思い当たることがあれば、「感情の老化」かもしれません。

そのまま放置していると「認知症」や「うつ病」になる恐れもあります。

(2)感情の老化の「原因」

①男性ホルモン(テストステロン)の減少

男性ホルモンには、好奇心や意欲を盛んにしたり、人との付き合いが良くなる特性があります。テストステロンの値が低下すると、「男性更年期障害」(LOH症候群)になる可能性もあります。

テストステロンが減少する大きな要因は、「ストレス」や「睡眠不足」です。和田秀樹氏によれば毎日6時間以上の睡眠が必要とのことです。

②前頭葉の老化

前頭葉は脳の前方にあり、意欲・創造性・切り替えなどを司る場所です。切り替えを司る前頭葉が老化すると、悲しみが続いたり、怒りが収まらなくなるなるなど、感情が切り替わりにくくなります。

前頭葉の老化の要因は、「脳に刺激のない暮しが続くこと」です。そこで大切なのが「人との会話」です。他の人と話すと、予想外の言葉に対応する必要があるため、脳が刺激されやすくなるのです。なお、喫煙は前頭葉を委縮させるため、注意が必要とのことです。

③幸福ホルモン(セロトニン)の減少

セロトニンは精神を安定させる働きのある神経伝達物質です。セロトニンが不足すると「うつ病」を発症する可能性があるとのことです。

太陽の光を浴びることで、目から脳に信号が出されて、セロトニンの合成が活発になるそうです。

(3)感情の老化の「改善方法」

①初めての事にチャレンジする

②適度な筋トレで筋肉を付ける

③肉を積極的に食べる

2.RC症候群

どの新聞の記事だったか忘れましたが、ある大学教授が同級生の友人がかかりつけの医者から「会話障害の問題がある」と言われてショックを受けていたので、その友人の了解を得て医者に事情を確認したコラムが載っていました。

その友人は会話上手な人で、会った時も会話に何の問題もないように大学教授は感じたそうです。

医者が「会話障害の問題」と言った真意は、「定年後は、会社に勤務していた時に比べて人と会話する機会が減るので、認知症やうつ病になる恐れがある。また、『失敗の回避』傾向が強まり、新しいことに挑戦する意欲が減る。したがって、極力人との会話を心掛けるようにした方がよい」ということだったようです。

そこで、この大学教授は、「RC症候群」(リタイアメントコミュニケーション症候群)という「造語」を思いついたそうです。

この話は、「健康カプセル!ゲンキの時間」の「感情の老化」特集で語られた内容に通じるものです。

我々定年退職した高齢者は、認知症や老人性うつ病にならないように、上に述べた番組で紹介された「感情の老化の改善方法」を是非心掛けるべきだと思います。

蛇足ですが「門前雀羅(もんぜんじゃくら)を張る」ということわざがあります。これは「訪問者も人の往来もなく、寂れているさま」のことで、出典は「史記」です。

「徒然草」にも、「木の葉にうづもるる懸樋(かけひ)の雫(しづく)ならでは つゆおとなふものなし」という文章がありますが、方丈記の鴨長明など昔の世捨て人の山奥のわび住まいは、このようなものだったのでしょう。

現代は、「ぽつんと一軒家」のような山間僻地にわざわざ住みに行く人は少ないと思いますが、人の大勢いる都会でも、「人との会話がない」という状態に陥る危険性は多分にあります。十分心すべきことだと思います。

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「感情の老化」を防ぐ本 [ 和田秀樹 ]