ゴルフの原風景を愉しむ「ヒッコリーゴルフ」が最近徐々に人気になっている!?

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ヒッコリーゴルフ

前に「今のゴルフ界は飛距離を求めすぎている」と言う記事を書きました。その中で、昔のパーシモンのクラブと糸巻きボールを使った「箱庭ゴルフ」に戻るべきだとの意見を述べました。

ところで最近、ゴルフの原点回帰を目指す「ヒッコリーゴルフ」というものがあることを知りました。私と同じような考えを持っている人が他にもいることを知り、「我が意を得たり」という気持ちです。

1.ヒッコリーゴルフとは

(1)ヒッコリーゴルフの人気

最近、1920年代頃まで主流だったヒッコリー(クルミ)の木製シャフトでプレーする人の輪が広がっているそうです。ヒッコリーを手にして、ツイードのニッカボッカをはき、フェアウェイをゴルフバッグを担いでプレーするという「ゴルフの原点回帰」の試みです。

日本ではまだ少ないのですが、世界的には、「現代のゴルフ」ではなく「ヒッコリーゴルフ」に原点回帰するゴルファーが増えているそうです。

日本で手軽にヒッコリーゴルフを楽しむ方法としては、「軽井沢プリンスホテルゴルフコース」で「ヒッコリーゴルフパッケージ」を利用することです。これだと、レンタルでヒッコリーゴルフクラブを使用でき、お試しとしては最適です。

(2)ワールドヒッコリーオープン

「ゴルフの原風景を愉しむヒッコリーゴルフ」というコンセプトで、2005年に近代ゴルフ発祥の地とされるイギリスのスコットランドで「第一回ワールドヒッコリーオープン」が開催され、欧米やオーストラリアから趣旨に賛同する参加者が集まりました。

この「ワールドヒッコリーオープン」の2014年と2016年の覇者は、過去に全英オープンとマスターズで優勝したサンディ・ライルでした。彼は「メジャー4勝をうれしく思う」と、この「ワールドヒッコリーオープン」をメジャーになぞらえて、ジョークを交えて喜びを語っています。

(3)ジャパンヒッコリーオープン

日本でも、2013年からエッセイストでタレントの阿川佐和子さんの名前を冠したイベントが、軽井沢や神戸・千葉など各地で開かれています。

2018年春には、神戸市で「第一回ジャパンヒッコリーオープン」が開催され、約40名が参加しました。その中のアマチュア男性3人が2018年の「ワールドヒッコリーオープン」に出場し、参加14カ国、122人の中で、「団体優勝」しています。

2.ゴルフの原点の服装と道具を使用

スコットランドで始まった「ゴルフの原点」と言えば、「ニッカボッカ」を着用して「ヒッコリーゴルフクラブ」を使って「糸巻きボール」を打つゴルフだと思います。

(1)「ニッカボッカ」(または「ニッカボッカーズ」)

ニッカボッカは、ズボンの一種で、「長さが膝下までで裾が括られた短ズボン」のことです。当初、野球・ゴルフなどのスポーツウェアとして広まりましたが、野球やゴルフの服装としては廃れており、現在日本では建設・土木工事の作業服として広く使用されています。

私が知る限りでは、アメリカのプロゴルファーのペイン・スチュアート(1957年~1999年)が、ニッカボッカを愛用していました。

(2)「ヒッコリーゴルフクラブ」

ヒッコリーゴルフクラブは、今から100年以上前の1900年代に作られたシャフトをクルミの木で作ったゴルフクラブです。

球聖ボビー・ジョーンズ(1902年~1971年)は、弁護士でトップクラスのアマチュアゴルファーでした。彼が1930年に「年間グランドスラム」(全米オープン・全英オープン・全米アマ・全英アマ)を達成した時もヒッコリーゴルフクラブを使用していました。

その後、スチールシャフトと大きなカーボンヘッドになり、今ではカーボンシャフトと大きなチタンヘッドが主流ですが、私がゴルフを始めた昭和54年頃のウッドクラブは、スチールシャフトとパーシモン(柿の木)ヘッドでした。

ただしヒッコリーゴルフクラブは、クラブヘッドが小さいため球を捕まえにくく、「飛距離」という点でも、現代のクラブに比べて見劣りすることは事実です。

(3)「糸巻きボール」

現在主流のウレタンツーピースボールは高反発性能のため打感が硬いのに比べて、糸巻きボールは、打感が柔らかく私は好きでした。ただし糸巻きボールも、「飛距離」という点では、現代のツーピースボールに比べて見劣りすることは事実です。

3.ゴルフは大人の社交場

ヒッコリーゴルフを愛好している高柳絢氏は「ゴルフはスコアだけではない。落ち着いた社交の場としての居心地の良さがここにある」と話しています。

4.今後の日本プロゴルフ界に望むこと

NHKのゴルフ解説でもお馴染みのプロゴルファーの沼沢聖一氏は、「今は道具でゴルフをやっているようなもの。飛ばし屋が有利なパワーゴルフも迫力があっていいが、プロについては、規制された道具で、飛距離以上に大切なテクニックやコースの攻め方といった醍醐味を伝えることに立ち戻るべき」と話しています。

私も全く同感です。沼沢氏と同じような考えを持っていた私としては、これが年に数回しかラウンドしない「飛距離も出ない下手なゴルファーの単なるひがみ」ではなかったと知って安堵しました。


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