ゴーン被告の「日本の司法は人質司法」という主張はウソで「プロパガンダ」

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ゴーン被告の記者会見

<2020/11/24追記>「ゴーン被告の日本での逮捕・拘留を不当」とする国連作業部会報告

上川陽子法務大臣が11/24の閣議後の記者会見で、国連人権理事会の「恣意的拘禁に関する作業部会」が日産前会長カルロス・ゴーン被告の日本での逮捕と拘留を「不当」とする意見書をまとめたことに対し、日本政府として11/20付けで異議を申し立てたことを明らかにしました。

また法相は「被告側の一方的な主張のみに依拠した事実誤認に基づく意見書が公表され、極めて遺憾だ。到底受け入れることはできない」と反論し、「わが国の刑事司法制度は基本的人権を保障しつつ適正な手続きを定め、適切に運用されている」とし、ゴーン被告関連の刑事手続きは恣意的拘禁に当たらないと強調しました。

この上川法相の異議申し立ては当然だと思います。

私は以前からいくつかの国連報告について明らかに不当だと感じています。「いわゆる従軍慰安婦に関するクマラスワミ報告やマクドゥーガル報告」や「日本メディアの独立性に関する国連報告」などがそれです。

今回のゴーン被告に関する国連報告も明らかに不当なものです。いかに国連報告がでたらめなものであるかを白日の下に曝したものだと思います。

日本はこのような国連の不当な行動に対して、拠出金の支出停止も含めた厳しい対抗措置を講じるべき時期に来ているように感じます。

2020年1月8日夜10時(日本時間)から2時間半にわたって、ゴーン被告はレバノンで「でたらめ言いたい放題の独演会」のような記者会見を行いました。

その中で、日本国民として到底承服できない「自分の犯した罪を棚に上げた身勝手な主張」を繰り広げました。これはまさに「プロパガンダ」です。

今回はこれについて考えてみたいと思います。

1.「日本と日産がグルになった陰謀(クーデター)」のウソ

これは自らの多くの犯罪行為を「日本と日産がグルになった陰謀(クーデター)」というでっち上げの話によって、すり替えようとする狡猾なプロパガンダです。

2.「日本は推定有罪」のウソ

彼は「有罪率99.4%の日本の司法は、推定無罪ではなく推定有罪」と述べて、日本の司法制度を批判していますが、これは全くの「曲解」です。

日本の検察は、警察が事件を捜査して容疑者を逮捕しても、十分に精査したうえで「起訴するに十分な証拠」がなければ、「起訴猶予」や「不起訴処分」にするので、「起訴されればほとんど有罪という結果になる」だけです。

つまり、日本の検察は、よほど有罪との確信がなければ起訴しないのです。諸外国のように、無罪の可能性のある事件でも簡単に起訴して、裁判で白黒をつけるというやり方はしていないのです。

3.「日本の司法は人質司法」のウソ

彼は、「保釈条件」が甘かったことや、弁護士の監視も緩いことを奇貨として、キャロル夫人や協力者と連絡を取り合って、「証拠隠滅」や「逃亡計画の相談」をしてきたようです。

彼のように「証拠隠滅」や「逃亡の恐れ」のある被告を長期拘留するのは、正当な理由があります。それを「日本の司法は人質司法」という間違った見方を、あたかも本当のように喧伝するのはプロパガンダそのものです。

日本政府や法務省・外務省などは、もっと「日本の司法制度の正当性」を海外に向けてどんどん発信し、ゴーン被告のような卑劣なプロパガンダに対抗する「情報戦略」や「広報戦略」を展開すべきだと思います。

法務大臣がゴーン被告の記者会見直後の翌日未明と午前の2回、迅速に反論コメントを発表したことは評価すべきだと思います。

ただ、コメント内容の「英語版」「フランス語版」が法務省のホームぺージに掲載されていますが、読む人はあまりいないのではないでしょうか?それよりも、「英語やフランス語に堪能な外務省などの職員が、生の声でコメントを読み上げ、それをユーチューブで閲覧できるようにする」などの工夫があれば、もっと世界中の人々に日本の反論・主張が伝わるのではないかと思います。

4.「私は瀕死の日産を立て直した優秀なカリスマ経営者」のウソ

前に「ゴーン元会長が会社を私物化」という記事に詳しく述べましたが、彼は優秀なカリスマ経営者ではなく、日産を食い物にした「獅子身中の虫」だったというのが真相です。

「日本人なら二の足を踏む」ような「血も涙もない非情なコストカッター」であり、販売店に過大な販売奨励金を付与して見かけの売上を増やし、結局「日産は安売り車」という海外での低評価を定着させたに過ぎなかったわけです。それだけならまだしも、「絶対権力者」として「お手盛り」で巨額の役員報酬を取っていただけでなく、日産やその関係会社を私物化し、公私混同して私利を図り、会社に多大な損害を与えた「獅子身中の虫」だったわけです。

5.「不正な迫害から逃れるために逃亡するしか方法がなかった」のウソ

彼は「基本的人権を無視した不正な迫害から逃れ、自らの名誉を回復し、真実を明らかにするための行動だった」と主張しています。しかし、裁判所から許可された「保釈条件」を破り、密出国という違法な手段で海外逃亡するしか方法がなかったという彼の主張は、合理性や納得性が全くありません。日本という国をコケにして、一方的に不当に貶める行為です。

6.「逃亡の方法について話さないのはそのための会見ではないから」のウソ

司法取引に応じた日産関係者らを実名を挙げて「陰謀の首謀者」として批判する一方、自らの密出国の共犯者の名前や逃亡方法を話さないのは、自分たちが犯罪行為を犯したという認識がある証拠で、その批判の矛先をそらすために、「クーデターの被害者を装う」狡猾なやり方です。

日本のメディアはもちろん、海外メディアの多くも「逃亡方法の説明」を期待していたはずです。

7.「日本のメディアを3社しか認めなかったのは会場が狭いからで差別していない」のウソ

多数の日本メディアが出席を希望しましたが、ほとんど認められませんでした。3社(朝日新聞・テレビ東京・週刊ポスト)の出席が許可されただけです。これは、日本メディアからの厳しい質問を避けるためだったのでしょう。

被告の広報担当者は、「8日は記者会見ではなく、ゴーン氏が過去に関係を築いたメディアとの限定的な集まりの場(メディア懇談会)だ。日本向けの招待リストは限られている」と述べています。

これは2019年11月19日に韓国の文在寅大統領が行った「国民との対話集会」が、文在寅大統領に対する厳しい批判的意見が全くなく、文在寅大統領をねぎらったり応援したりする意見ばかりの「文在寅大統領のファンミーティング」のようだったのと似ていますね。

8.「自分は無実だと記者会見で主張すること」のウソ

私は、ゴーン被告が有罪であると思いますが、もし彼が本当に「自分は無実だ」と信じているのであれば、それを「日本の法廷で被告人として堂々と主張すべき」であって、べらべらと記者会見で一方的に自分の主張だけを述べるのは筋違いも甚だしいものです。

カリスマ経営者であったと自任するのであれば、それにふさわし行動をすべきであり、法を犯して密出国し、海外メディアにたいして自分に都合の良いプロパガンダを繰り返すのは、普通の人間としても到底許されるものではありません。