盗作疑惑騒動や盗作・盗用訴訟のあった有名作家は立松和平さんと山崎豊子さん。

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立松和平

以前、作曲家の小林亜星さんが服部克久さんを「盗作」で訴えた事件がありましたが、小説についても、「盗作騒動」のあった小説がいくつかありますし、「盗作疑惑」のあった有名作家も何人かいます。

今回はこれについてご紹介したいと思います。

1.立松和平さん

立松和平さん(本名:横松和夫)(1947年~2010年)と言えば、1986年からテレビ朝日の報道番組「ニュースステーション」の中のコーナー「こころと感動の旅」に出演し、方言と独特の語り口で注目されました。

ちなみに、彼は栃木県宇都宮市出身で、もとは宇都宮市役所に勤めていました。本当は標準語で普通に喋れるのですが、独特のキャラクターを出すためにわざと方言で語っていたそうです。「YOUは何しに日本へ?」に声の出演をしているボビー・オロゴンさんが普通に日本語を喋れるのに、わざとカタコトのしか話せない外国人のようなナレーションをしているのと同じですね。

(1)「光の雨」盗作事件

「あさま山荘事件」を起こした「連合赤軍」を題材にして、雑誌「すばる」(集英社)の1993年8月号から連載を開始した「光の雨」について、元連合赤軍メンバーの坂口弘(獄中)から、自著の「あさま山荘1972」に酷似しており、「盗作」であると抗議されました。

彼は「盗作」を認め、同年10月号で連載は休止となりました。それまでタレントのように活動していた彼は、テレビ出演を自粛し関係者に謝罪に回らざるを得なくなりました。

その後、「光の雨」は物語や構成を変えて、1998年雑誌「新潮」に連載し、単行本にもなり、映画化もされました。

(2)「二荒(ふたら)」盗作事件

2008年6月、新潮社から刊行された「二荒」が、参考文献として挙げていた別の人物から、「作品中に自著(福田和美、日光鱒釣紳士物語)からの引用がある」との抗議を受けて絶版となり、二度目の「盗作事件」と報道されました。

その後、再構成や修正を経て勉誠出版から「日光」と改題して出版されました。

2.山崎豊子さん

山崎豊子

山崎豊子さん(本名:杉本豊子)(1924年~2013年)は毎日新聞社の記者出身で、私の好きな小説家の一人ですが、彼女にも「盗作疑惑」があります。

緻密な取材に基づいて、壮大な構想力を駆使して、小説としての内容・展開の面白さを紡ぎ出す能力は大変優れていると私は思います。

(1)花宴

これは1968年「婦人公論」に連載された長編小説ですが、一部がレマルクの「凱旋門」に酷似していると朝日新聞に指摘されました。最初彼女は「秘書が資料を集めた際の手違いだった」と釈明しましたが、その後芹沢光治良の「巴里夫人」、中河与一の「天の夕顔」などの小説からの盗用も指摘されて万事休す。謝罪文を出し、日本文芸家協会からも脱退(後に復帰)しました。

この盗作疑惑の釈明で「秘書」が出てきたことを奇異に感じた方も多いかもしれません。

実は、彼女には長年にわたる「有能な秘書」の女性がいて、彼女の取材や資料の整理、タイプなど全面的にサポート出来る人でした。

この秘書は、長年にわたるサポートの結果、彼女がどういう筋立て・展開をするかとか文体も熟知していて、「ゴーストライター」の資格十分だったそうです。

全ての作品ではないでしょうが、また一つの作品の一部分かも知れませんが、この秘書が「ゴーストライター」を務めていたという噂もあります。

(2)不毛地帯

1973年に「サンデー毎日」に連載した「不毛地帯」で、またもや朝日新聞に盗用を指摘されました。朝日新聞はよほど毎日新聞を目の敵にしているのか、毎日新聞社出身の彼女を執拗に攻撃しているようにも見えます。

彼女は朝日新聞を相手取って「名誉棄損」の裁判を起こしましたが、4年以上の係争を経て和解といううやむやの決着となりました。

この騒動では、松本清張氏が「引用の頻度から言って、これは無断借用じゃなく盗用だ」と批判し、瀬戸内寂聴さんも「山崎さんの盗作は一種の病気だと思う」と断じました。

なお、1983年の「二つの祖国」にもネタ本があったと指摘されています。

(3)大地の子

1991年に文芸春秋社から出版された「大地の子」も、筑波大学名誉教授の遠藤誉氏から盗用の指摘があり、遠藤氏が提訴しましたが、山崎さんが勝訴しました。

裁判所の判断は、「2冊の本はおおまかな筋では共通するが、それは歴史的事実であり、総合的に考慮すると盗用とは見なされない」というものでした。

彼女は参考とした資料をほとんど脚色せずに作品に反映させたため、盗作との指摘を資料の執筆者から何度も受けることになったようです。

私が大阪21世紀協会に出向していた時、当時の専務理事から、日経新聞社ロンドン支局長だった人の著した「シティーの内幕」を貸してもらったことがありますが、専務理事によれば、「この本には種本がある」とのことでした。確かに、いくら長年シティーで取材していても、そう簡単に内幕がわかるはずがないので、なるほどと思った記憶があります。



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