外国の国名の漢字表記についての面白い話をご紹介します。

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外国の国名漢字表記

1.「美国村はどこか?」と聞かれた話

私が派遣社員として大阪市内の本町の近くで働いていた頃の話です。

私が昼休みに御堂筋を南に向かって歩いていると、通りがかりの中国の人から中国語で書かれた大阪市内地図を見せられ、「美国村」という地点を指されました。「この場所へ行きたいので道順を教えてほしい」ということのようです。

私は一瞬、「美国村」が何を指すのか分からなかったのですが、しばらくして「村」とあるので「アメリカ村」のことだと気付き、南を指さしながらおよそ次のような下手な英語で説明しました。

Please go straight .So you will see Daimaru department store on the left side.

American Village is across the street from the department store.

It is about ten-minute walk.

一応相手も大体わかってくれたようで、礼を言って南に向かって去って行きました。

2.外国の国名の漢字表記

外国国名漢字

(1)アメリカ

「アメリカ合衆国」の漢字表記は、「亜米利加」です。そして、日本での略称は「米国」「米」です。

一方、中国では「美利堅合衆国」で略して「美国」と表記されます。「ビリケン合衆国」とも読めてしまいますが、「ビリケンさん」とは無関係で、「America」の音訳です。「A」は弱い発音のため、「亜」の文字を入れなかったようです。これは日本で「メリケン波止場」と言うのと同じですね。

(2)中国

戦前は、中国のことを「支那」と呼んでいました。これは英語の「China」が由来です。「支那の夜」という歌謡曲や映画があったり、「日華事変」のことも「支那事変」と呼んでいました。

日本では伝統的に、黄河流域の国家に対して「唐、漢、唐土」の文字で「とう、から、もろこし」などと呼んでいました。玄奘三蔵の「大唐西域記」ほかの著作が入って来てからは、仏教界では「支那」という呼び方が一般化したようです。明治に入ると「支那」が一般的に使用されるようになりました。

しかし、戦後は、戦勝国の「中華民国」を率いる蒋介石から「支那という言葉は、日本の軍閥や帝国主義を想起するので使わないでほしい」との要請により、「中国」という呼び方をするようになりました。その後蒋介石(国民党)は毛沢東(共産党)によって大陸から追われて台湾に逃れました。その結果、現在では大陸の「中華人民共和国」を「中国」と呼び、台湾の方は「台湾」あるいは「台湾国民政府」と呼んでいます。

なお「中華」という言葉は、「中華思想」(「華夷思想(かいしそう)」とも呼びます)において「世界の中心」を意味する言葉です。中国の「天子」が世界の中心で、その周りに「内臣」「外臣」がおり、更にその外側に「朝貢国」があります。それより外は「化外の地」(東夷・西戎・南蛮・北狄)というわけです。

(3)朝鮮

高麗(918年~1392年)を打倒して李氏朝鮮を開いた李成桂が、国号変更を計画し、「朝鮮」(朝の静けさの国)と「和寧」(平和の国)の二つの候補を準備し、明の洪武帝に選定を依頼しました。洪武帝は、「前漢の武帝が滅ぼした王朝(衛氏朝鮮)の名前であり、かつ平壌付近の古名でもある」との理由で「朝鮮」を正式の国名に選び、李成桂がこれを受け入れました。

戦後、朝鮮半島は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と南朝鮮(大韓民国)に分断されたため、北朝鮮の略称を「朝」、南朝鮮の略称を「韓」と呼ぶようになりました。

(4)ロシア(ソ連)

「ロシア帝国」(帝政ロシア)(1721年~1917年)の時代、「露西亜」と漢字表記していました。しかし、1917年にレーニンが主導して起きた「ロシア革命」によって社会主義国家である「ソビエト社会主義共和国連邦」(1922年~1991年)が成立してからは「ソ連」と呼ばれるようになりました。

しかし、1991年には当時のゴルバチョフ大統領が、冷戦を終結させ「ペレストロイカ」「グラスノスチ」を推進し、「ソビエト社会主義共和国連邦」から「社会主義」を外し「ソビエト共和国連邦」に衣替えしようとしましたが、各地で民族主義が噴出し、共産党内部の対立も激化したために失敗し、「ソ連崩壊」に至りました。

そして「ロシア共和国」が連邦から離脱し、新たに「ロシア連邦」となりました。

「ソビエト社会主義共和国連邦」は、異なる民族による15の「共和国」の連邦でしたが、「ロシア連邦」は主として同じ民族、つまりロシア人が主体の7つの「連邦管区」から成り、その中に多数の「共和国、州、地方、自治州、自治管区など」があります。

「ロシア連邦」は「ソビエト社会主義共和国連邦」の正式な継承国と認められたため、現在は北方領土返還交渉なども「ロシア連邦」と行っています。漢字表記は「ロシア帝国」と同じ「露西亜」ですが、最近の新聞では、「ロシア」とか「日ロ交渉」のようにカタカナ表記となっています。

(4)オーストラリア

「オーストラリア」の漢字表記は、「濠太刺利亜」です。そして、日本での略称は「豪州」「豪」です。「濠太刺利亜」は音訳による当て字です。

ところで、「豪州」という略称ですが、「国」ではなく「州」になっているのはなぜでしょうか?

それは、外国の国名を漢字表記することが多くなった幕末から明治時代にかけて、オセアニア(大洋州)地域一帯がヨーロッパ各国の植民地であったため、オセアニア地域一帯を豪州と呼んでいたためです。



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