「シュレディンガーの猫」とは何か?わかりやすくご紹介します!

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シュレディンガーの猫

前に物理学の考え方から出てきた「ラプラスの悪魔」の記事を書きましたが、量子力学の考え方から出てきた「シュレディンガーの猫」という話をご存じでしょうか?

今回はこれについてわかりやすくご紹介したいと思います。

1.「シュレディンガーの猫」

(1)「シュレディンガーの猫」とは

これは、量子力学における有名な思考実験です。

ふた付きの箱の中に

①「猫」

②「1時間以内に50%の確率で崩壊する放射性原子

③「原子の崩壊を検出すると青酸ガスを出す装置

を入れた場合、1時間後には、「生きている状態と死んでいる状態が1:1で重なり合った状態の猫」という不可思議な存在が出てくるのではないか?という「思考実験」です。

「箱を開けるまで猫が生きているか死んでいるかわからない」「何事もフタを開けてみないとわからない」という話だと誤解している人もいるかもしれません。あるいは「シュレディンガーという学者は何と残酷な実験をする人だ」と勘違いしている人もいるかもしれませんが、そうではありません。あくまでも「思考実験」です。

(2)批判するための思考実験

シュレディンガーは、この理論が正しいと思っているわけでもなく、こんな残酷な実験を実際にしようとしたのでもありません。

「この理論が正しいとすると、生きていると同時に死んでいる猫が存在することになる。それはおかしいではないか?」と相手の理論の問題点を指摘し批判するための「たとえ話」です。

(3)実験の目的は量子力学の確率解釈

我々が見ている現実の世界はマクロ(巨視的)ですが、量子の世界はミクロ(微視的)です。

マクロでの「力学」「目に見える大きさ」「コップ1杯の水」は、ミクロでは「量子力学」「目に見えないほどの小ささ」「水分子を構成する原子・電子」となります。

量子力学においては様々な状態が「重なり合った状態」で存在しうるということです。この「重なり合った状態」は観測機器によって粒子を観測することで、いずれかの状態に収束するということです。

量子力学の考え方では「未来にはいくつもの可能性があり、どの可能性が実現するかはサイコロのように確率で決まる」ということです。

マクロでは「存在確率は100%か0%のみ」「観測されても状態は変わらない」「重なり合った状態は存在しない」のに対し、ミクロでは「存在確率が50%になることもある」「観測されると状態が変わる」「重なり合った状態が存在する」ということになります。

2.「シュレディンガーの猫」は「コロナウイルス」に似ている?

私はこの「シュレディンガーの猫」の話は、「目に見えないコロナウイルスの活動にちょっと似ているな」と感じました。

コロナウイルスに感染して「陽性」になった人が、一旦「陰性」になっても、また「擬陽性(疑陽性)」になったり「陽性」になることもあります。これは体内にいたウイルスが変異して強力なウイルスになる場合もあれば、新たな別のウイルスが侵入する場合もあります。

我々の普段見ている「マクロの世界」に対して、ウイルスは我々の目には見えない「ミクロの世界」に存在しているという意味では、「シュレディンガーの猫」の話と似ているような気がするのです。間違っているかもしれませんが・・・

3.「色即是空、空即是色」と「量子論」の類似性

余談ですが、「量子論」は、仏教でいう「色即是空、空即是色」という考え方に似ています。まず「色」とは目に見える「物」、すなわち存在のことです。それから「空」とは存在ではない関係性の事象の「事」です。全体の意味としては、目に見えるものは実は物があるのではなく、物がない関係性の現れ(事象)」である、ということです。

一方「空即是色」となると、それとは逆に関係性=事が、物=存在となって現れてくるということです。たとえば「机」は物であると思われますが、それは使用目的から名づけられただけであって、机という真の実体があるわけではありません。木材の組み合わせで、机という機能を実現しているだけです。

では、木材という実体が存在するかと思うと、これも木材と名づけられただけです。ではその構成物質であるセルロース(繊維)はというと、これも炭素原子や水素原子が組み合わされた、ある一つの関係性の名前にしかすぎません。その原子から、さらに分割を続けて行って、これ以上分割できない究極の物に到達したのが素粒子です。原子も素粒子の関係性により現れたものです。

南方熊楠が「人の生と死」について面白いことを言っています。「人が死に瀕しおると、地獄の衆生が一人生まるると期待する。その人また気力を取り戻すと、地獄の方では、今生まれかかった地獄の子が難産で流死しそうだとわめく。いよいよその人死して、眷属の人々が泣き出すと、地獄ではまず無事で生まれたといきまく。」彼は「生死の統一」ということを考えていたようです。

4.シュレディンガーとは

シュレディンガー

エルヴィン・シュレディンガー(1887年~1961年)は、オーストリアの理論物理学者です。

1933年に「新形式の原子理論の発見」により、イギリスの理論物理学者ポール・ディラックとともにノーベル物理学賞を受賞しています。

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