「2.5次元ミュージカル」とは、アニメ原作のミュージカル。元祖はベルばら!

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美少女戦士セーラームーン

最近、ネットなどで頻繁に「2.5次元」という言葉を目にするようになりました。「2次元でもなく、3次元でもない2.5次元というのはよくわからない」という人も多いのではないかと思います。最近流行りの「ラブライブ!」なども「2.5次元」と呼ばれています。

サンリオのテーマパーク「サンリオピューロランド」が「2.5次元ミュージカル」などを取り入れて人気のV字回復に成功したことは、以前の記事にも書きました。

そこで今回は、「2.5次元」ならびにこの言葉でよく使用される「2.5次元ミューカル」についてご紹介したいと思います。

1.「2.5次元」とは

「2次元」は一般的に「平面の広がり」のことで、「漫画・アニメ・ゲームの世界」などがこれに含まれます。一方「3次元」は2次元に「立体的要素」が加わることで生み出される空間のことです。最近は「3D」と呼ばれることも多いですね。

では、「2.5次元」とは何かというと、文字通り考えると「2次元でもなく、3次元でもない(?)」「平面でもなく、立体でもない(?)」となりますが、これでは何のことだかさっぱりわかりませんね。

「ニコニコ大百科」では次のように説明されています。

イラスト・アニメ風2次元の世界と実際の人間・実写による3次元の世界の、何らかの狭間を指す単語。2次元的なイメージの3次元への投影か、またはイメージ自体の錯覚的・部分的な3次元化に適用される。ただし、一般には人物または人格が存在するイメージにしか適用されない。

そこで、もう少し具体的にわかりやすく説明すると、「漫画やアニメなどの世界を人間が演じることで形成される空間」のことです。アニメの「声優」なども「2.5次元」の存在と言えるでしょう。

2.「2.5次元ミュージカル」とは

「2.5次元ミュージカル」とは、「漫画・アニメ・ゲームを原作・原案としたミュージカル」のことで、1990年代以降注目されるようになりました。

この名称は、「2次元の漫画やアニメ」と「3次元と呼ばれる現実(舞台)」の中間という意味で、ファンの間で自然発生的に名付けられたとされています。

ミュージカル以外の形式もあるため、「2.5次元舞台」とも呼ばれます。

従来のミュージカルでは、「スターシステムにより、出演する俳優が人気を左右し、演目もサウンドオブミュージック」「レミゼラブル」「キャッツなどの名作の再演が中心で、新鮮味に欠け、停滞傾向がありました。

これに対して、「2.5次元ミュージカル」では、「時代を反映した独創的な作品」が次々と現れ、それぞれの作品にファンが付いているため、スター俳優が不在でも作品のファンの来場が見込めます。無名の新人でも収益が見込めることから、「若手の登竜門」としての側面もあります。

最近では「テニスの王子様」や「BLEACH」など「週刊少年ジャンプ」に連載された漫画が原作のミュージカルが代表的なものです。「美少女戦士セーラームーン」も少女漫画が原作の2.5次元ミュージカルです。

しかし「元祖2.5次元ミュージカル」といえば、「宝塚歌劇団」による「ベルサイユのばら」です。1974年の初演から40年以上、500万人を超える動員数を誇っています。

「ラブライブ!」は、2010年に雑誌「電撃G’s magazine」(KADOKAWA)、ランティス、サンライズによるユーザー参加型の「スクールアイドルプロジェクト」としてスタートしました。

少女たちが廃校の危機が迫った学校を救うべく、アイドルを目指して奮闘するという内容で、スタート当初はアニメやゲームではなく、「電撃G’s magazine」誌面でのショートストーリーなどを展開しましたが、並行して2010年8月の「僕らのLIVE君とのLIFE」から、登場キャラクター(声優)たちによるアイドルユニットが3次元に飛び出し、CDをリリースしました。

2014年には、さいたまスーパーアリーナで2日間にわたるライブイベントも開催しています。

3.「2.5次元ミュージカル」の市場規模とビジネスモデルとしての特長

2014年3月には「2.5次元ミュージカル協会」が設立され、2015年3月には渋谷に「アイアシアタートーキョー」が「2.5次元ミュージカル専用劇場」として作られています。

2018年の「2.5次元ミュージカル」の市場規模は、200億円を超えています。公演回数は3695回(前年比+35%)、動員数は278万人(前年比+25%)でタイトル数も197本(前年比+26本)に上っており、今や無視できない存在に急成長しています。

ビジネスモデルとしては、「従来のミュージカル」が「基本的に上演で完結しており、興行収入のみで収益を得ていた」のに対し、「2.5次元ミュージカル」は「舞台を収録した映像のパッケージ販売」や、「ライブビューイングなど映像の二次利用」、「関連グッズの販売」などの「メディアミックス」によって収益を上げることができるビジネスモデルです。