繰り上げ当選とは?補欠選挙とは?分かりやすくご紹介します

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溝手顕正

溝手顕正氏(1942年~ )は、第一次安倍内閣で国家公安委員長を務めた参院議員当選5回の実力者です。2019年7月の参院選にも予定通り自民党公認で広島県選挙区から立候補しました。

ところが、自民党本部は溝手氏のほかに、河井克行衆院議員の妻で元広島県議会議員の河井案里氏にも公認を出しました。河井案里擁立方針の撤回を求めた自民党県連を押し切る形で、擁立が決定されました。

党本部は公示前に破格の1億5千万円を河井案里氏に支給しました。溝手氏へは1500万円しか支給されませんでした。河井陣営の物量戦の前に溝手氏は敗れ、次点で落選しました。

ちなみに選挙結果は、当選が無所属の森本真治氏(329,792票)と自民党の河井案里氏(295,871票)で、自民党の溝手顕正氏(270,183票)は追撃及ばず落選となりました。

前に「河井克行元法相夫妻の選挙違反事件」の記事を書きましたが、河井案里参院議員が公職選挙法違反で「失職」した場合、2019年7月の参院選で次点となった溝手顕正(みぞてけんせい)氏が「繰り上げ当選」となるのでしょうか?それとも「補欠選挙」が行われるのでしょうか?

今回は「繰り上げ当選」と「補欠選挙」について分かりやすくご紹介します。

1.「繰り上げ当選」と「補欠選挙」

(1)繰り上げ当選とは

繰り上げ当選とは、一般に「選挙や抽選において、上位に欠員(失格者・降格者を含む)が出た場合に、下位の者が繰り上げされて当選すること」です。

参議院の選挙区から立候補して当選した同じ政党の議員が辞職した場合、繰り上げ当選が行われる条件は次の二つに該当する場合です。

①投票日から3ケ月以内に辞職した場合(比例ブロックの場合は期限なし)

②欠員が選挙区の定数の4分の1を超えるとき(広島は定数2。1人辞職で超える)

(2)補欠選挙とは

補欠選挙とは、一般に「議会における議員の欠員を補充するための選挙のこと」です。

参議院の選挙区から立候補して当選した議員が辞職した場合、補欠選挙が行われる条件は次の場合です。

①欠員が選挙区の定数の4分の1を超えるとき(広島の場合1人辞職で超える)

2.河井案里参院議員が公職選挙法違反で「失職」した場合、どうなるのか?

前回の参院選挙は2019年7月に行われたため、既に3ケ月以上経過しており、上記1.(1)の①の条件に合致しません。したがって、「繰り上げ当選」はなく、「補欠選挙」が行われることになります。

溝手顕正氏が次回の参院選までに国会議員に復帰するためには、広島選挙区の補欠選挙に立候補して当選する必要があります。

補欠選挙の日程は、公職選挙法第33条の2第2項により、次の二通りしかありません。

9月16日から3月15日までに欠員が生じた場合は、4月の第4週に実施されます。

3月16日から9月15日までに欠員が生じた場合は、10月の第4週に実施されます。

したがって、早くても今年10月の第4週になります。