コロナのワクチン開発状況は?日本の対応は?わかりやすくご紹介します

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コロナのワクチン開発

1.コロナのワクチン開発競争が過熱

今、アメリカ・ロシア・中国は「覇権争いの延長」のように、コロナのワクチン開発競争にしのぎを削っていますが、イギリス・ドイツ・日本も急ピッチで開発を急いでいます。

ロシアのプーチン大統領は8月11日に、「ロシア保健省が開発した新型コロナウイルスワクチンを認可した」と発表しました。これは世界で初めて認可された新型コロナウイルスワクチンです。

しかし、安全性や効能を確認する「最終段階の臨床試験は続行中」とのことで、評価は今一つです。加藤厚生労働大臣も、ロシアのワクチンの輸入や承認の可能性について、慎重に対応する考えを示しました。

また、中国の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)社は、開発中の新型コロナウイルスワクチンをめぐり、「安全性と有効性に関する大規模な臨床試験の完了前」に使用する「緊急承認」を得るため、複数の国と協議しているそうです。このワクチンは中国軍と共同開発しているものです。

何やら、ロシアも中国も相当焦っており、安全性や有効性を度外視してワクチンを「戦略物資」として「ワクチン外交」を進めようとしているように見えます。

アメリカやイギリスの情報機関の発表によると「アメリカやイギリスのワクチン開発をしている研究機関が、ロシアの情報機関からワクチン情報を狙ったサイバー攻撃を受けた」とのことです。

厚生労働省は、日本でもリスクが高まっているとして、国内の製薬会社や研究機関などに対策を呼び掛けています。

2.世界のコロナのワクチン開発状況と実用化の時期

コロナワクチン開発状況

海外では6社が「臨床試験の最終段階」に入り、そのうちロシアが前記の通り1社について承認しました。しかしWHOはこの1社について「まだ安全性は確認されていない」としています。

日本では5社が臨床試験の段階に入っており、来年春の承認をめざしています。

ロシアのワクチンのように、2020年中に治験の最終プロセスである「第三段階の臨床試験」を始めるワクチンはあります。

また中国のワクチンのように、第三段階の治験と流通を同時進行させようとする動きもあります。

しかし、専門家の保冨康宏氏によると、「患者を数万人規模で抱えている一部の国でしか、安全性や有効性についての有効なデータは取れない」とのことです。



3.開発中のコロナワクチンの「タイプ」と「開発者」

(1)ウイルスベクターワクチン

「ベクター」とは「運搬係」のことです。

新型コロナウイルスの遺伝子のうち、「感染の仕組みに関わっている部分」だけを取り出してベクターに持たせると、挿入したコロナウイルスの遺伝子産物に対する抗体ができて、新型コロナウイルスを撃退するということです。

「病気に関する部分」は持たせないので、比較的安全だということです。

開発者は、アストラゼネカ(英)、カンシノ・バイオロジクス(中)、国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所(ロ)などです。

(2)DNAワクチン

「感染の仕組みに関わっている部分」だけのDNAを体内に入れ、体内の細胞に、そのDNA産物(タンパク)を作ってもらいます。タンパクに対する抗体ができれば、新型コロナウイルスにも機能します。

DNAワクチンの特長は、早く大量にできることですが、今までに実績がないそうです。

開発者は、イノビオ・ファーマシューティカルズ(米)、アンジェス/大阪大学/タカラバイオ(日)、ジェネクシン(韓)、カディラ・ヘルスケア(印)などです。

(3)RNAワクチン

設計図であるDNAからタンパク質が作られるとき、二本鎖の片割れであるRNAの情報を読み取ります。それなら「最初からRNAをいれればよい」というのがRNAワクチンです。

DNAワクチン同様、早く大量にできるものの、実用化の例はありません。

開発者は、中国人民解放軍・軍事医学研究院/ワルバックス(中)、モデルナ/米国立アレルギー感染症研究所(米)、ビオンテック(独)/上海復星医薬(中)/ファイザー(米)、インペリアル・カレッジ・ロンドン(英)、キュアバック(独)などです。

(4)不活性化ワクチン

新型コロナウイルス本体を化学処理などで不活性化した(病原性をなくした)もの、もしくは不活性化した一部を用いたワクチンです。不活性化ワクチンの実績は豊富ですが、開発に時間がかかります。また、免疫力が弱いため、免疫の獲得には複数回の接種が必要です。

開発者は、中国医学科学院医学生物学研究所(中)、シノファーマ/武漢生物製品研究所(中)、シノファーマ/北京生物製品研究所(中)、シノバック・バイオテック(中)、バーラト・バイオテック(印)などです。

4.日本のコロナワクチン対応について

日本国内では、今のところコロナの「実効再生産数」は減少傾向にあり、感染のピークは過ぎたと見られます。

上記のようにコロナが大流行していない日本では、ワクチンの安全性や有効性についての有効なデータは取れないのが現実です。

日本政府としては、イギリスの「アストラゼネカ」社から来年初頭以降1億2千万回分と、アメリカの「ファイザー」社から来年6月末までに1億2千万回分の供給を受けることで基本合意しているようです。

しかしコロナワクチンについては決して焦って大量に確保してお金をドブに捨てるようなことはせず、「安全性」と「有効性」を十分慎重に確認した上で、優れたワクチンを選んで購入すべきだと私は思います。また二回接種するタイプのワクチンは、より強い副作用(副反応)が出る恐れがあるとの専門家の意見もあります。副作用(副反応)のリスクをゼロにすることは無理だとは思いますが・・・

過去には「RSウイルス感染症のワクチン」で、運用されてから多くの重篤者を出した例もあるそうです。

中国製ワクチンについては、「ワクチン投与による重い副作用」が出ているとの噂もありますので、日本で「ワクチンの安全性の問題」が発生することは何としても避けるべきです。

日本政府の慎重な対応をお願いしたいと思います。

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