今やインターネットビジネスの世界では、年齢は全くと言っていいほど、関係ありません。7歳の天才的「子供ユーチューバー」が年間25億円を稼ぐ時代ですから、インターネットビジネスの世界は、若い世代の独壇場と言ってもよいくらいです。
ただ、「子供ユーチューバー」の場合は、子供は好きな玩具の包装紙を外して中の玩具の遊び方を説明しながら楽しく遊ぶだけで、両親や動画撮影専門のカメラマン・動画編集専門のスタッフの力で、YouTubeに投稿しているだけです。
しかし、今回紹介する17歳の高校生起業家は、「電子決済事業」を自力で立ち上げていますので、その事業手腕に注目が集まるのは当然です。
1.孫正義育英財団
この財団は、ソフトバンクグループの創業者の孫正義氏が、25歳以下の若い「異才を発掘し、支援すること」を目的として2016年12月に設立したもので、孫正義氏が私財を投じた財団です。
財団のホームページには、『未来を創る人材の支援。「高い志」と「異能」を持った若者に自らの才能を開花できる環境を提供し、人類の未来に貢献する』とあります。
2.山内奏人(やまうちそうと)さん
山内奏人さんは、2017年の秋、16歳で東京の繁華街六本木にオフィスを構えた高校生起業家です。2017年7月に孫正義育英財団が支援を決めた96人のうちの一人です。
2017年9月末に1億円の資金調達をして、「ONE FINANCIAL(ワンファイナンシャル)」という「電子決済サービス業」の会社をスタートさせました。
3.「電子決済サービス業」の内容
山内さんが手掛ける「電子決済関連事業」の内容は、「スマホがあれば、簡単にカード決済ができるアプリ」で、「ONE PAY(ワンペイ)」と言います。
山内さんは「最近、メルカリなど個人同士の売買取引が盛んになっています。それぞれが独自に売買取引の決済をするには、1台数万円の専用端末が必要になります。しかし、ONE PAYを使えば、個人間取引や小規模な店舗との取引についても、簡単にスマホでカード決済ができるし、手数料も5%だけです」と話しています。
売り手はこのアプリをダウンロードして登録、決済金額を入力した後、買い手のクレジットカードをスキャンするだけで簡単に決済が完了する仕組みです。すでに大手のVISA、アメックス、マスターカードが使えるようになっているそうです。
4.偽造カード等の不正取引対策
複雑なアルゴリズムを駆使した監視体制をシステム内で取っており、カード会社とは決済取引のデータを共有し、常時監視体制を敷いているとのことです。
5.今後の事業の展望
「目標は流通総額1兆円」を目指しているそうですが、「着実に事業を進める」とも語っています。ほかに「ビットコイン事業」も手掛けているそうです。
ただ、若い創業者による急成長企業が、手を広げすぎて失敗する例も多いので、山内さんには、ぜひ地に足をつけて着実に事業拡大を図っていただきたいものです。
最近の例では、ライザップが、「結果にコミットする」(トレーナーがあなたのなりたいカラダにコミットする)というキャッチコピーと有名人を使ったCMなどで自社の「マンツーマントレーニング(パーソナルジム)」を急速に広め、基幹事業の「フィットネスクラブ」では大成功を収ました。
しかしこの4年間で、M&Aで75社もの大量の企業を買収し、「巨大グループ」となってしまいました。衣料小売りの「ジーンズメイト」、体型補正用婦人下着の「マルコ」、『漫画ゴラク』で有名な出版社の「日本文芸社」など全く業種を問わない買収でした。
フィットネスクラブの大成功に味を占めて、「経営多角化」と「規模の利益」を狙ったのかも知れませんが、無定見な「ダボハゼ経営」(極めて危険な無秩序多角経営のこと)に陥っているような気がします。
「以って他山の石とすべし」です。