「日本人アスリート」差別の「ルール改定」の横行

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荻原健司

最近、日本人のアスリートが大活躍をしているのを見ると、2020年の東京五輪が大変楽しみになってきます。

しかし、私には以前から気になっていることがあります。それは、日本人選手が優勝を重ねる大活躍をすると、必ずと言っていいほど、活躍している日本人選手に不利な「ルール改定」が行われてきたということです。

1.田口信教(のぶたか)さん(1951年~ )

平泳ぎの田口信教さんは、1972年のミュンヘンオリンピックの100m平泳ぎの金メダリスト、200m平泳ぎの銅メダリストです。

彼は中学時代から持ち前の天性に加えていろいろと工夫を凝らして、記録を伸ばし、中学新記録を出しましたし、高校でも大活躍しました。そして高校在学中の1968年のメキシコオリンピックに初参加し、100m平泳ぎ準決勝で1分7秒1の「世界新記録」を出しましたが、まさかの「泳法違反」で失格となってしまいました。

彼が開発した「田口キック」と呼ばれる足の動きが、「バタフライのドルフィンキック」であると判定されたのです。

この時の優勝タイムが、彼が予選で出した記録よりも低いことに納得が行かなかった彼は、「判定に抗議」するのではなく、「奮起して猛練習を重ねる」という行動に出ます。その結果が、1972年のミュンヘンオリンピックでの見事な金メダル獲得につながる訳です。

私は、彼のフェアな態度に感服するとともに、自ら編み出した「田口キック」の修正に多大の苦労を強いられたであろうことに同情を禁じ得ません。

2.鈴木大地さん(1967年~ )

背泳ぎの鈴木大地さん(現スポーツ庁長官)は、1988年のソウルオリンピックの100m背泳ぎで金メダルを獲得しました。

彼は「黄金の足を持つ」と言われた「バサロキックのパイオニア」です。彼のバサロは25m潜行(21回キック)ですが、ソウルオリンピックの決勝では、30m潜行(27回キック)としました。

彼の30m潜行での優勝後、「潜行距離は10mまで」にルールが改定され、その後の改定でクイックターンが認められることになりました。その後の更なる改定で、現在は「潜行距離は15mまで」(スタートとターンを含めると30mまで)認められています。

3.荻原健司さん(1969年~ )

スキー複合の荻原健司さんは、1992年のアルベールビル、1994年のリレハンメルの各五輪の団体で金メダル、ノルディックスキー世界選手権では団体で金2回と個人で金2回、ノルディック複合ワールドカップでは、個人総合優勝3回と輝かしい成績を残しています。

彼は、以前はマイナーだった「ノルディック複合競技」の人気を日本で上昇させた立役者です。

彼は前半の「スキージャンプ」で圧倒的にアドバンテージを稼ぎ、後半の「クロスカントリー」で逃げ切るという必勝パターンで優勝を重ねました。

しかし、外国勢、特にスキー複合競技発祥の欧州勢にとっては、「スキージャンプでの得点配分が高く、タイム差がつき過ぎて、荻原健司の『一人旅』『一人勝ち』となって面白くない」という不満が強くなったのでしょう。

そこで、3本飛んでそのうち良い2本を得点とする方式から、2本飛んでそのまま得点とするように「ルール改定」が行われました。しかし、この改定では、ジャンプが得意な荻原健司にはさほど影響がなく、かえってジャンプのへたな外国勢の得点が下がるという皮肉な結果となりました。

そこでさらに、「ジャンプ」の得点を時間に換算する計算式を変更して、ジャンプで得点を稼いでもあまりタイム差が出ないように「ルール変更」(改悪)をしたのです。

その結果、日本勢はジャンプの強みを生かせなくなり、苦戦を強いられることになりました。露骨な「日本人いじめ」「日本人たたき」「日本人封じ込め」ですね。

同様の「ルール改悪」は、「スキージャンプ競技」でも行われました。身長に合わせてスキー板の長さを制限するもので、小柄な日本人には不利な変更です。

葛西紀明さんの好敵手だった天才ジャンパーも164cmと身長が低かったため、この「ルール改悪」の影響をもろに受け、スキー板の長さを5cm短くさせられたため、飛距離が急降下したそうです。そのため減量して体重を軽くして飛距離を伸ばそうとしましたが「拒食症」になり、結局「スキージャンプ競技」からの引退に追い込まれました。葛西紀明さんは177cmと長身だったため、この「ルール改悪」の影響をあまり受けずに済んだそうです。

4.高梨沙羅さん(1996年~ )

また、高梨沙羅さんを標的にしたという噂もある「加点目的のゲート変更禁止」という改定もありました。それまでは、コーチの判断で加点目的でゲートを下げることが認められていたのですが、それ以後は、「安全確保上必要な場合のみ認められる」ことになりました。

ゲートを下げると、助走速度が落ちて飛距離は抑えられますが、飛型が安定するメリットがありました。飛型に課題がある高梨は、ゲートを下げて飛距離を抑え、テレマーク姿勢を入れやすくする作戦を取ったこともあるようです。

しかし、彼女はこのルール改定後も、工夫と努力を重ねて大活躍しています。ただ、今後新たな「ルール改定」に見舞われる恐れは十分にあります。

5.羽生結弦さん(1994年~ )

フィギュアスケートの羽生結弦さんは、今や「絶対王者」と言われるほど圧倒的に強い選手ですが、「フリーでのジャンプの回数を8回から7回に変更」する「ルール改定」が行われました。

この結果、一つ一つのジャンプにつく「出来栄え点」が多く加算されますので、あえて怪我のリスクを冒してまで「4回転アクセルジャンプ」をする必要がなくなる訳です。

彼はそれに機敏に対応して、一つ一つののジャンプの精度を上げ「ルール改定のハンディ」を乗り越えようとしています。

6.岡本綾子さん(1951年~ )

女子プロゴルフの岡本綾子さんは、優勝回数62回(日本44回、米国17回、欧州1回)を誇り、日本の賞金女王だけでなく、アメリカでも賞金女王になっています。

このように、日本女子プロゴルフ協会元会長の樋口久子さん以上に全米女子プロツアーで大活躍した彼女ですが、同伴競技者からの人種差別・嫌がらせ・蔑視という辛い思いもしたようです。

最近では、女子テニスの大坂なおみさんが、「全米オープンテニス」の試合で、元世界女王のセリーナ・ウィリアムズを下しましたが、試合中の元女王による審判への執拗な抗議や、会場のブーイング、そして表彰式での大ブーイングなど、アウェイだからやむを得ない面もあるとはいえ、日本人の私としては、大坂なおみさんがかわいそうで仕方がありませんでした。

やはり、アメリカ人(ヨーロッパ人もそうですが)の「日本人に対する差別意識」が根強くあることを見せつけられた思いです。表彰式では、優勝したのがどこの国の選手であれ、また自分の贔屓にしている選手が優勝できなかったとしても、「勝者に惜しみない拍手を送る」というのがフェアな態度だと私は思うのですが・・・



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