「昆虫テクノロジー」は昆虫の驚異の能力を人間に役立つ技術に応用するもの

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蜘蛛の糸

1.昆虫の歴史は4億年近い

昆虫(insect)というものが、地球上に現れたのは、3億5千万年~4億年前の古生代デボン紀の頃です。人類が出現するより遥か昔です。

「アウストラロピテクス」などの猿人でも300万年~400万年前で、「ホモエレクトス」と呼ばれる原人は約180万年前です。「ネアンデルタール人」などの旧人類は30万年~50万年前、そして現代の我々と同じ「新人類」(現生人類とも言います)が登場するのは、20万年前です。

2.昆虫は全世界で90万種以上もいる

昆虫は、全世界で90万種以上おり、全動物の種類の4分の3を占めています。私達が実際に接することのできる昆虫は、その内のほんの僅かですが、身近な生き物であり、昆虫と触れ合うことは、自然に親しむという意味でとても意義のあることだと私は思っています。

業者によるオオクワガタの乱獲は問題ですが、子供が昆虫採集をする程度では、昆虫が絶滅しないかと心配する必要は全くありません。それは、3億5千万年以上ある昆虫の歴史が証明しているとも言えます。

さて、私が小学生の頃、父が裏庭でグラジオラスやダリア、向日葵、千日紅などの花を育てていました。ある時、グラジオラスの花の中を覗いてみると、黄金虫の一種の「ハナムグリ(花潜)」が蜜を吸っていました。まさに花に潜り込んでいた訳です。

3.昆虫の驚異の能力

他にも髪切虫の一種でスズメバチのような模様の「ヨツスジハナカミキリ(四条花髪切)」が花弁の中にいるのを見つけたこともあります。樹液に集まるカナブンや、樹木にいるカミキリムシは知っていましたが、それ以外に花の蜜が好きな種類もいるというのは新しい発見でした。また、どれだけ遠い距離(5~6kmくらいか?)から、どういう手段で(花の匂いか花の色を頼りにしてか?)、この花や蜜のありかがわかったのか不思議でした。彼らの住処はたぶん里山だと思うのですが・・・

昆虫は「色」の識別能力が低いので、昆虫に気付かれやすいように、花の色は赤や黄色のような鮮やかな色になったのだと聞いたことがあります。

人間に例えれば、方々歩き回って取材して記事のネタや特ダネを見つけるジャーナリストのように、匂いのする花や鮮やかな色の花を探し求めて方々飛び回っているのでしょう。

昆虫は卵をたくさん産みます。生育環境が悪かったり外敵に襲われたりして、生き残る確率は非常に低いですが、必ず何匹かは生き残って、3億年以上にもわたり連綿として生命をつないで来ました。非常に不思議で興味深い昆虫ですが、私は「昆虫学者」になろうとまでは思いませんでした。

不思議なことと言えば、アゲハチョウの仲間は、必ず蜜柑や山椒などの柑橘類の葉に卵を産み付け、幼虫はその若葉を食べて育ちます。モンシロチョウがキャベツの葉に卵を産み付けるように、またタマムシが欅や榎の葉に卵を産み付けるように、幼虫の食草を知っているというのも不思議です。「本能」でしょうが、不思議な能力ですね。

蝶に関しては、母親の蝶が「脚先で植物の味を確認している」とか、「葉の表面にある特定の化学物質に反応する」と聞いたことがありますが、そんなことが出来るとはすごいですね。

チョウは呑気に飛び回っているように見えますが、一生懸命に卵を産み付ける木を捜しているのかも知れませんね。幼虫もその葉の化学物質に反応して摂食行動を起こすそうです。

4.昆虫テクノロジー

また、最近では昆虫の特殊な「能力」に着目して、それを応用する研究も行われているようです。「昆虫テクノロジー」とか、「生物模倣技術」と呼ばれるものです。

あるベンチャー企業は、クモの糸の構造を模倣して、ナイロンよりも高い伸縮性と鋼鉄製の糸の2倍の強度の糸を開発したそうです。

また昨年12月には、「興和」(名古屋市の会社)と「農業・食品産業技術総合研究機構」(茨城県つくば市)が、「ミノムシから糸を取る技術を開発した」と発表しました。

自然繊維で世界最強とされるクモの糸よりも強く丈夫なことも発見したそうです。新しい繊維などの材料として、自動車や航空機への応用が期待できるということです。

カイコを利用した「バイオ医薬品」等の医療用有用タンパク質の生産技術の開発も進められています。

東京大学では、の触角を使って匂いの発生源を探すロボットを作ったそうです。また大阪大学では、昆虫の体液で発電する装置をゴキブリの背中に取り付け。センサーの電源とするなど、地震などの災害発生時に、倒壊した家屋の下で救助を求める人を効率よく探せる技術の研究開発が進められています。

関西大学では、クマゼミの翅の「抗菌作用」に着目して、その翅の構造をナノ構造で模倣することで、同等の高性能抗菌作用の構築に成功したそうです。

今後も、昆虫のこのような特殊な能力を模倣し、参考にして人間の役に立つ技術の研究開発が進められると思いますが、改めて、3億年以上の歴史を持つ昆虫の驚異の能力を感じますね。