島村信之の昆虫やロブスターの「超細密写実絵画」は神業に近い

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ロブスター

前に「超写実絵画」や熊田千佳慕による昆虫や花の「写実絵画」をご紹介しましたが、写実絵画専門美術館であるホキ美術館の代表的作家の一人である島村信之も、神技のような描写力を持つ画家です。

1.島村信之とは

島村信之(1965年~ )は、埼玉県出身で武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒の写実主義の画家で、「白日会」会員です。女性を柔らかに超写実的に描いた作品も多いですが、昆虫やロブスターの迫真性・迫力も相当なものです。神業に近い感じがします。

「良い悪い」や「好き嫌い」は別として、熊田千佳慕の絵には、物語性や画家の優しい眼差しが感じられますが、島村信之の絵には、そういう感情をシャットアウトした「ものの本質に迫る気迫」や「透徹した写実の目」が感じられます。

しかし、昆虫やロブスターを描く時とは異なり、女性を描く時は一転して「生命の力や健やかな心」を感じさせる「究極の女性の理想美」を追求しているように感じられます。

彼は初めての画集で次のように述べています。

「リラックスしている時に人は自然な美しさを見せる。弛緩したなかで出てくる無防備な姿を捉えたかった。また、腕や顎を上げたポーズを多用するのは、健康を強調するためであり、画面から溢れ出るような身体の伸びやかさを表現するためでもある。

そういう女性の姿は生命力に満ちている。これまで描いてきたのは、まぎれもなく自分が求めた形だった」

女性

2.白日会とは

白日会(はくじつかい)は、公募展の一つである「白日会展」を主催する美術団体です。

白日会は洋画家の中沢弘光と川島理一郎の二人が欧遊の帰途、同じ船に乗り合わせて意気投合し設立した美術団体で、インド洋上で仰いだ「白日に輝く太陽」にちなんで中沢弘光が命名しました。中沢弘光は、「朝妝」「湖畔」などの写実絵画で有名な黒田清輝の弟子です。

白日会のホームページを見ると「見えるものを通して見えないものを描く、写実の王道」という言葉が掲げられています。写実絵画の理念のようですね。