「ボディーガード」を呼ぶ植物?ハダニに取りつかれるとSOS信号を発信!

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森の中の食物連鎖

「ダニ」というと、犬や牛につく大きな丸いダニや、いわゆるハウスダストに混じっている小さなダニのことを思い出す方が多いと思いますが、植物の葉につくハダニもたくさんいます。

「ダニ」は「社会のダニ」という言葉もあるように嫌われ者で、園芸家にとっても嫌な存在ですし、植物にとっても葉の養分を吸い取られて、やがて枯れてしまうなど恐ろしい存在です。

1.ハダニに取りつかれると、植物はSOS信号を発して「ボディーガード」を呼ぶ

ハダニ葉につくハダニチリカブリダニ

ハダニ(上の画像の左と真ん中)は体長が1mmの半分か三分の一のごく小さなダニです。彼らはいろいろな植物の葉裏をすばしこく走り回って、口吻(こうふん)を突っ込んで葉の汁を吸います。

ハダニがたくさんつくと、葉は縮れて枯れてしまいます。するとダニたちはまだ元気な葉にどんどん移っては葉を枯らしていきます。

ハダニの繁殖は早いので、そのままではやがてその植物の葉はほとんど全て枯れてしまい、植物は危機に陥ります。

ところが25年ほど前に、オランダの研究者たちによって「そのような状況に立ち至った植物はボディーガードを呼び寄せ、それにハダニを退治してもらって危機を逃れる」ということが明らかになりました。

昆虫の驚異的な能力」はよく知られていますが、「植物の能力も侮るなかれ」です。

このボディーガードとは、「チリカブリダニ」という肉食性のダニです。チリカブリダニはハダニをつかまえて、その体に口吻を突き刺し、体液を吸い取って殺してしまうのです。

ところで、チリカブリダニがなぜハダニのいるところがわかるのかというと、ハダニに取りつかれた植物が「SOS信号」を発して呼ぶのだそうです。

「SOS信号」とは、具体的には「チリカブリダニを惹きつける匂いの出る物質」を作り出すのだそうです。

全ての植物がSOS信号を出すわけではないでしょうが、少なくともそういう実例があったということです。

なおハダニは「SOS信号」の物質が出たら、それに気付いて逃げればよさそうなものですが、この物質には「無反応」で危機を察知できないそうです。

実際に農業分野では、ハダニの「天敵」であるチリカブリダニ(上の画像の右側)は、「生物農薬」として使用されています。

余談ですが、「天敵」を使った駆除対策で有名な失敗例があります。それはハブの被害に困った沖縄県が「動物学の権威」の東大教授のアドバイスでマングースを放った事例です。

マングースは捕食が難しいハブをほとんど取らずに、希少種のヤンバルクイナなどを食べ、ヤンバルクイナの激減とマングースの大繁殖を招き、沖縄県では今もマングースの駆除対策に苦労しているそうです。

2.ダニは「食物連鎖」の縁の下の力持ちの「分解者」

食物連鎖の縁の下の力持ち・分解者ダニ

ダニは「植物だけでなく、我々人間の暮らしにも害を及ぼす悪者」というイメージが定着しています。

しかしダニは約5万種いますが、人間に害を及ぼすダニはそのうちの1割程度です。残りの9割は森の中でひっそりと生息しています。そこで、落葉や朽ちた植物、動物の死骸などを食べて「分解」しています。

そして彼らダニの糞を土の中の微生物が食べて「分解」し、最終的には養分となって植物の根っこから吸収されるわけです。

その植物を虫や鳥などの動物(草食動物)が食べ、さらにその動物を別の動物(肉食動物)が食べるという「食物連鎖」が成り立っているのです。

そういう意味で「分解者」であるダニや微生物は「食物連鎖」の「縁の下の力持ち」であり、徒(あだ)や疎(おろそ)かにしてはいけないのです。



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