いつ頃からか、テレビ番組から「歌番組」や「ドラマ」、「お笑い番組」が激減し、代わって「クイズ番組」や「トーク番組」などの「バラエティー番組」がやたらに多くなりました。
「歌番組」については、「カラオケ・バトル」などの番組、「ドラマ」については、「韓流ドラマ」が増えてはいますが・・・
「クイズ番組」出場の常連といえば、最近では「東大王」と呼ばれる人たちもいますが、宇治原史規さん、宮崎美子さん、やくみつるさん、ラサール石井さん、伊集院光さん、カズレーザーさん、辰巳琢郎さん、林 修さんの名前がすぐに浮かびます。
しかし、それぞれ本業は、「漫才師」「女優」「漫画家」「コメディアン」「俳優」「予備校講師」などと多方面にわたっています。
1.トーク番組の名司会者
「トーク番組」にも、色々なジャンルの芸能人が出演していますが、「トーク番組」の司会者(MC)の代表格といえば、ビートたけしさんとタモリさんとやしきたかじんさんだと私は思っています。
(1)ビートたけし
ビートたけしさん、というより今は北野 武さんと呼ばれる方が多くなりましたが、かつての「漫才師」の片鱗は残しつつも、司会者として大活躍し、海外ではむしろ「映画監督」として高い評価を受けていますね。
(2)タモリ
タモリさんは、長年にわたって「笑っていいとも」の司会をしてきましたが、もともとは、「サングラス」をかけて無言で「イグアナ」の恰好の真似をする奇妙な「キワモノ芸人」が出てきたなという印象しかありませんでした。
最近のNHKの「ブラタモリ」は、純然たるトーク番組ではありませんが、訪れた土地にまつわる謎解きを、アシスタントの女子アナとの軽妙な雑談風会話が大変面白いです。
(3)やしきたかじん
やしきたかじんさんは、本業は「シンガーソングライター」ですが、司会者としても活躍(主に大阪ローカル局の放送ですが)されました。
コミカルなトークは、お笑い芸人顔負けで、円広志さんと掛け合い漫才のようなトークもしておられました。円広志さんも、本業は「シンガーソングライター」で、「夢想花」や、森昌子さんが歌った「越冬つばめ」の作曲者としても有名ですね。
2.落語家出身の名司会者
それに次いで明石家さんまさんと、笑福亭鶴瓶さんが話術の巧みな司会者だと、私は思います。ともに本業は「落語家」です。
このお二人について、それぞれの師匠が語っていた「弟子の人物評価」が、ちょっと意外な感じがしたので印象に残っています。
(1)明石家さんま
明石家さんまさんの師匠は、笑福亭松之助さんです。松之助さんは、今年92歳(注:2019年2月22日に93歳で亡くなられました)で、上方落語界の「最長老」ですが、上方落語の「四天王」(6代目笑福亭松鶴、3代目桂米朝、5代目桂文枝、3代目桂春団治)に比べ、落語家としての評価は一段下のようです。
これは、落語一筋でなく、吉本新喜劇などで「喜劇役者」として活動していた時期があったためもあるでしょう。
松之助さんは、弟子の明石家さんまさんについて、「ナンパしながら女の子を笑わせているが、芸人としてよく勉強している」と高く評価しており、高座では、「今売れているさんまの師匠の笑福亭松之助です」と言って笑わせていました。「出藍の誉れ」ですね。
(2)笑福亭鶴瓶
笑福亭鶴瓶さんの師匠は、6代目笑福亭松鶴さんです。松鶴さんは、本当に酔っているのかと思わせる酔態や、親をやり込めるませた子供を演じさせたら最高に上手な落語家でした。
私生活での酒と借金、豪遊に関するエピソードなどもあり、私が実際に見聞した中で、一番落語家らしい人物でした。
松鶴さんは、弟子の笑福亭鶴瓶の活躍を高く評価しており、弟子たち(鶴瓶さんの兄弟子たち)に、日頃から「鶴瓶を見習え」と叱咤していたそうです。
松鶴さんは、松之助さんとは違って、落語一筋の人でしたが、「テレビ時代」の時流にうまく乗って大活躍する弟子の鶴瓶さんを、目を細めて見ていたのでしょう。
頑固に「落語をしっかりちゃんとやれ」とか、「テレビでちゃらちゃら軽薄な真似をするな」とか言わずに、ちゃんと鶴瓶さんを評価していたということを知って、私は松鶴さんが一層好きになりました。
鶴瓶さんは、映画「おとうと」で、「酒好きで破天荒な生活を送る芸人志望の弟」役を好演していますが、「酔っ払い」の演技はまさに師匠譲りです。
<2020/9/8追記>
鶴瓶さんは2019年11月公開の「閉鎖病棟」(東映)でも熱演しました。