シャーロック・ホームズと言えば、イギリスのアーサー・コナン・ドイルの創作した架空の探偵で、シャーロック・ホームズシリーズの主人公です。
日本でも明智小五郎(江戸川乱歩)や金田一耕助(横溝正史)、神津恭介(高木彬光)、三毛猫ホームズ(赤川次郎)、名探偵コナン(青山剛昌)などたくさんの名探偵がいます。
しかし、シャーロック・ホームズほど全世界に熱狂的なファンが存在する名探偵は、他にいないと思います。
1.アーサー・コナン・ドイルとは
アーサー・コナン・ドイル(1859年~1930年)はエジンバラ大学医学部出身の医師で、診療所を開業しましたがあまり成功しませんでした。そこで患者を待つ暇な時間を利用して執筆活動を始め、雑誌社への投稿を始めます。
また無資格の眼科医への転身を図りますが、患者は全く来ず、執筆活動一本に絞る決意をします。
1891年から「ストランド・マガジン」誌上にホームズの読み切り短編小説の連載を始め、爆発的な人気を獲得しました。
2.シャーロキアンとは
シャーロキアンは、「シャーロック・ホームズの熱狂的愛好者のこと」ですが、彼らの特徴は、シャーロック・ホームズを実在の人物とみなして、「シャーロック・ホームズシリーズ」を「正典」または「聖典」と呼んで各種研究を行う点です。
これはキリスト教の「聖書研究」をパロディー化した行動様式です。日本でも「東京サザエさん学会」による「サザエさん」に関する「磯野家の謎」という研究がありますが、シャーロキアンと似た研究ですね。
また、シャーロック・ホームズの多くは、相棒のワトソンが執筆したとの設定で、コナン・ドイルが書いていますが、シャーロキアンは、ワトソンを実際の執筆者とみなして、ドイルはワトソンの出版エージェントもしくはゴーストライターと位置付けています。
ただ、これは本当に信じ込んでいるわけではなく、「遊び心」であり、「研究ごっこ」のようなものです。
歴史に「if」はありませんが、「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史も変わっていたであろう」とか「織田信長が本能寺の変で死去していなければ、その後の歴史はどうなっていたか」とか歴史については、いろいろと想像して楽しむことができます。シャーロキアンもそういう楽しみ方をしているのでしょう。
なお、アメリカや日本ではシャーロキアン(Sherlockian)とは呼ばれていますが、本家本元のイギリスでは、ホームジアン(Holmesian)と呼んでいます。
3.シャーロック・ホームズ博物館
私は仕事でロンドンに出張した折に、「ベーカーストリート駅」の近くにある「シャーロック・ホームズ博物館」を見学しました。
シャーロック・ホームズファンには堪らない場所だと思います。私はそれほど熱心なファンではありませんが、たくさんの人が詰めかけているのを見て、ファン層の厚さに驚きました。
私が調査チームの一員として海外出張する前に、担当役員から「君たちは、樺太探検をした間宮林蔵のようなもので、実情は自分も含めて誰も知らない。だから予断を持たずに調べて来てほしい。それともう一つ、自分の経験だが、海外出張の時は見聞を広める絶好の機会だから、仕事を手早く片付けて、あとはいろいろな場所を見て来るようにすればよい」との言葉をもらったのが印象的でした。「ワーケーション」を予見するような言葉でした。
私は「大英博物館」も見たいと思っていたのですが、同行者のこともあり、時間がなくて結局ロンドンではウィンザー城・ロンドン塔・ハイドパーク・シャーロックホームズ博物館を見て終わりでした。