「ラプラスの悪魔」とは何か?わかりやすくご紹介します。

フォローする



ラプラス

皆さんは「ラプラスの悪魔」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?

東野圭吾の小説「ラプラスの魔女」(映画化もされました)でご存じの方も多いかもしれません。

アニメの「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」や「ローゼンメイデン」などにも登場するキャラクターのようです。私はよく知らないのですが・・・

今回はこの「ラプラスの悪魔」(ラプラスの魔)について、わかりやすくご紹介したいと思います。

1.ラプラスの悪魔とは

「ラプラスの悪魔」とは主に近世・近代の物理学分野で、「未来の決定性を論じる時に仮想された超越的存在」の概念です。「自然界のあらゆる力と宇宙全体のある時点における状態を完全に把握することができ、かつこれらの素材を完璧に解析する能力を持った仮想的な知的存在」を指す言葉です。

どのような複雑なものでも、位置と外力を完全に正確に測ると運動が決定してしまうことから、宇宙が始まった時からすでに全ての未来が決まっており、それらのデータを解析できるだけの能力の知性の存在があるという考え方です。

このような悪魔(demon)にとっては、宇宙の中に何一つとして不確実なものはなく、未来のことを完璧な形で予見することが可能ということになります。

何だか「運命論」か「神秘論」のような感じもしますが、この考え方はフランスの数学者・物理学者・天文学者ピエール=シモン・ラプラス(1749年~1827年)によって提唱されました。

彼自身は、この架空の超越的な存在の概念をただ「知性」と呼んでいましたが、後にそれをドイツの医師・生理学者エミール・デュ・ボワ=レーモン(1818年~1896年)が「ラプラスの霊」と呼び、その後広く伝わって行くうちに「ラプラスの悪魔」という名前が定着することになりました。

2.ラプラスの悪魔が生まれた背景

近世・近代になると学問の発達によって、さまざまな自然現象が「ニュートン力学」(古典物理学)によって説明できるようになりました。

「現象のメカニズム」が解明されるとともに、「原因によって結果は一義的に導かれる」という「因果律」や、「全ての出来事はそれ以前の出来事のみによって決定される」という「決定論」の考えを抱く研究者も現れるようになりました。ラプラスもその一人です。

「運動法則」は、運動に関する限り完全に一義的な因果連鎖を証明しました。この世界に存在する全ての物体が質点に還元され、その運動が全て運動法則によって一義的に描き上げられる以上、この世界に生起する一切の出来事が結局は決定されているという「力学的・機械論的決定論」の代表的な概念が「ラプラスの悪魔」です。

これは神の信仰や迷信を否定し理性や論理性を重んじるフランス啓蒙思想の頂点とも言えますが、科学で何事も割り切れるというあまりにも「科学万能の考え方」「科学を過信した考え方」です。

ただ、見方を変えれば、中世までのキリスト教神学の教える「全知全能の神」の存在を否定する試みだったのかもしれません。皮肉にも「悪魔」と名付けられましたが・・・

3.ラプラスの悪魔に対する現在の評価

20世紀初頭から勃興した「量子力学」によって、「原子の位置と運動量の両方を同時に知ることは原理的に不可能であることが明らかになった(不確定性原理)」ため、「ラプラスの悪魔」は完全に否定されました。



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする