<2021/1/6追記>京都府亀岡市の「プラ製レジ袋全面禁止。有料でも不可」条例は疑問
2021年1月1日から京都府亀岡市で上記のような全国初の条例が施行されました。飲食店や量販店の大手チェーンも亀岡市内の店舗だけは紙袋を使うなど、対応に追われているようです。
条例では、国が無料配布を認めているバイオマスプラスチック25%以上配合のレジ袋でも提供できず、紙袋でも有料が義務となります。この条例に違反して、市による立ち入り調査や勧告などを経ても改善されなければ、6月以降は事業者名公表の手続きも始まるそうです。
これは明らかに行き過ぎで、「プラスチック憎しの間違った大暴走」としか言えません。
今年(2020年)7月から、百貨店やドラッグストア、コンビニのレジ袋がいよいよ有料化されることになりました。スーパーなどのレジ袋有料化はすでに定着した感があります。
しかし、この動きに私は疑問を持っています。前に「プラスチックごみ問題解決法」の記事や「自販機のペットボトル排除問題」の記事も書いていますので、ぜひご一読ください。
1.レジ袋有料化の問題点
レジ袋を有料化することは、プラスチックごみ問題の根本的解決にはならないと私は思います。
ポリエチレンは「エチレンプラント」での石油精製の過程で必然的に出来るもので、ポリ袋やペットボトルなどのプラスチック製品はこれの「有効活用」と言えます。
このポリ袋は安価で、買い物袋に使った後は、ゴミ袋にもなりとても便利なものです。これを「悪者」扱いするのは、本末転倒です。
しかも、ポリ袋(レジ袋)は、国内で1年間に出るプラスチックごみの2%程度と見られています。2016年に環境省が国内10地点で行った海岸の漂着ごみ調査によれば、プラスチックごみのうちレジ袋を含むポリ袋は容積で0.3%、ストローやフォークなどの食器類もわずか0.5%でした。比率が高いのは、漁網やロープ(26.2%)、発砲スチロールブイ(14.9%)などの産業用品で、生活関連では飲料用ボトルが12.7%を占めていました。
今の風潮は、「木を見て森を見ず」で、「穴の開いたバケツの、大きな穴(中国や東南アジア諸国)を修理せずにそのまま放置し、小さな穴(日本などの先進国)を一生懸命修理しようとしている。その結果、水漏れ(海洋プラスチックごみ汚染)はほとんど改善しない」ように見えます。
消費者に経済的負担を強いる一方、百貨店やドラッグストアの利益を増やすだけの「レジ袋有料化」は正しい政策とは思えません。
環境問題を考えて「プラスチック製のレジ袋を有料化」するのであれば、その前に「環境に配慮した無料で提供できるレジ袋」を用意してから実施するのが筋だと思います。
私は「環境問題」に関連して「温暖化対策」についても疑問を持っています。これについては前に「温暖化対策問題」の記事を書きましたので、ご一読ください。
この「プラスチック製のレジ袋を有料化」政策については、遅くとも1年以内に「効果とデメリット・問題点」を検証し、「コロナの謎対策・過剰対策」のようなものであることがわかれば、「過ちを改むるに憚ることなかれ」で、即刻中止すべきだと思います。
2.容器リサイクル法改正の内容
(1)容器リサイクル法とは
ペットボトルやプラスチックの袋、瓶など容器包装ごみをリサイクル(再商品化)し資源を有効利用するために1995年に制定され、1997年に施行された法律です。正式名称は「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」です。
これに基づいて、家庭ごみを「一般ごみ」「リサイクルごみ」「不燃ごみ」に分別して出すやり方はすでに定着しています。
プラスチックごみは、自治体が分別収集し、日本容器包装リサイクル協会を通じて、再商品化事業者に引き渡しています。
(2)容器リサイクル法改正の内容
①レジ袋等の容器包装を多く用いる小売業者に対し、レジ袋の有償化、マイバッグの配布等の取り組みを求め、事業者に対して排出抑制を促進するための措置の導入
②事業者が市町村の再商品化の合理化に寄与する程度を勘案して市町村に資金を拠出する仕組みの創設
③罰則の強化による事業者間の公平性の確保
④円滑なリサイクルに向けた国の方針の明確化