「サルスベリ」と「アガパンサス」にまつわる思い出話

フォローする



アガパンサス

「サルスベリ」と「アガパンサス」の花は、私にとって思い出深い花です。今回はこの二つの花にまつわる話をご紹介します。

1.サルスベリ(百日紅)

サルスベリ(拡大)

高校の現代国語の教科書に次のような俳句が載っていました。

「颱風の 空飛ぶ花や 百日紅」(水原秋桜子)

国語教師が、「皆さん、サルスベリの花って知ってますよね?」と問い掛けましたが、「寂(せき)として声無し」だったので、「それじゃ、今度持って来ます」と続けました。

私も、その当時はサルスベリがどんな花か知らなかったので、期待して待ちましたが、次の時間もその次の時間も、持ってくる気配はありませんでした。これは、「近いうちに飯でも食おう」という社交辞令と似たようなその場しのぎの発言だったのでしょうか?

その後、社会人になってから、サルスベリがどんな花か知ることになります。住宅の庭のサルスベリの木から塀の外側にこぼれ落ちた沢山の花殻を見て、高校時代に習った上記の俳句を思い出しました。それまでにも見かけていたはずですが、関心が薄かったため「見れども見えず」という状態だったようです。

そのサルスベリは、妻の実家に植えてあり、夏には桃色の房状の花をたくさん付けていました。木肌も滑らかで「猿が滑り落ちる」という所から名付けられたというのも納得です。

義父が「このサルスベリは花期が長くて、100日も咲き続けるから百日紅(ひゃくじつこう)とも言うんだよ」と教えてくれました。

サルスベリは、ミソハギ(禊萩)科の落葉中高木です。花言葉は「雄弁」「愛嬌」「不用意」です。

房状の花をよく見ると、フリルの付いた小花が密集しています。「造化の妙」を感じます。

2.アガパンサス

アガパンサスのつぼみ

私は、明治20年代に建てられた築100年以上の京町家風の家を取り壊して、自宅を新築する時に、庭にどんな草花を植えるかということで楽しい空想を巡らせていました。

父が草花を育てるのが好きだったこともあり、私は子供の頃から、他の人に比べると草花をよく知っている方だったと思います。

夏の代表的な花と言えば、ヒマワリ(向日葵)・タチアオイ(立葵)・ユリ(百合)・グラジオラス・ダリアなどです。しかし、どうも私にはどれも在り来たりのように感じました。

そこで私が夏に咲く草花として思いついたのは、自転車で住宅街を走っていて、ある家の花壇に大きな紫色の花を咲かせているアガパンサスでした。

このアガパンサスも、小さな百合のような花の集合です。7月初め頃に、先端がスペード型の花茎が顔をだします。すると数日も経たないうちに花茎がどんどん伸び出します。面白いことに光を求めて花茎をくねくねさせます。

そして、7月上旬には満開となります。この花もじっくり見ると、小さな百合のような花がそれぞれ自己主張するように誇り高く咲いており、「造化の妙」を感じます。私は宗教を信じませんが、「動植物などの自然の万物を作り出した者」という意味での「造物主」の意匠の素晴らしさに驚きます。

アガパンサスという名前の由来は、ギリシャ語で「最高の愛」を意味する「agape」と、花を意味する「anthos」が語源で、南アフリカ原産の多年草です。

花言葉は、「恋の訪れ」「ラブレター」「知的な装い」です。