「終身制」のアメリカ最高裁判事・ノーベル賞選考委員には問題が多い!

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アメリカ最高裁判事に保守派女性判事指名

<2021/7/31追記>2020年、日本人の平均寿命は過去最高を更新

2020年の日本人の平均寿命は、男性が81.64歳(2019年は81.41歳)で、スイスに次いで世界第2位、女性が87.74歳(2019年は87.45歳)で引き続き世界第1位です。

<2020/10/8追記>今年も村上春樹氏はノーベル文学賞を授与されず

スウェーデン・アカデミーは、2020年のノーベル文学賞をアメリカの女性詩人ルイーズ・グリュック氏(77歳)に授与すると発表しました。

同アカデミーは「個人の存在を普遍的なものへと高める朴訥とした美しさをたたえた比類なき詩的表現が評価された」と述べています。

「やはり今年もダメだったか」というよりも、「スウェーデン・アカデミーの依怙地な『村上春樹外し』にはがっかり」というのが、私の正直な感想です。

2020年9月18日に亡くなったリベラル派のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事(享年87)の後任として、保守派のエイミー・バレット連邦高裁判事(48歳)が指名されたとの報道がありました。

就任には議会上院の承認が必要ですが、彼女が就任すると、最高裁の判事は9人のうち6人が保守派となり圧倒的に保守派が優勢となります。

私がこの報道で一番驚いたのは、「アメリカ最高裁判事は終身制」だということです。

そこで今回は「終身制の問題点」について考えてみたいと思います。

1.終身制(終身官)の問題点と具体的例

(1)終身制とは

「終身雇用制」とは区別する意味で、「終身官」という言葉が使われますが、これは「本人の自発的な退任、もしくは重大な不祥事による懲戒処分を受けない限り、死亡するまでその任を解かれることのない官僚や官吏」のことです。

(2)終身制の問題点

名目的な名誉職的なものであれば終身制も問題ないと思いますが、実質的で非常に重要な職務を担当する最高裁判事やノーベル賞選考委員のようなものを終身制にするのは、次のような問題があります。

①高齢になると視野が狭くなったり判断力が低下したり、認知症になったりする恐れがある

②「権力は腐敗する」という格言の通り、長期在任による様々な弊害が必ず出てくる

③若い世代の活躍の場を奪うとともに、若い世代の判断や感覚が反映されなくなる

④終身身分保障のため本人は腰を据えて職務に当たれる反面、人材の流動性が阻害される

⑤最高裁の司法判断の傾向が、「保守派」か「リベラル派」のどちらか優勢になったほうの考え方に、長年にわたって固定化される

(3)終身制の具体的例

①アメリカ最高裁判事

合衆国憲法第3条1項で、「最高裁判事は善行を保持する限り、その職を保つ」と定められています。この「善行」(good behaviour)とは、生命と同義と解釈されています。

したがってアメリカ最高裁判事は終身制であり、本人が死去または自ら引退するまで、弾劾裁判によって罷免される場合を除いては、生涯にわたってその身分が保証されます。

ちなみに今まで弾劾裁判によって罷免された例はありません。

現在のアメリカ最高裁判事は次のような構成となっています。

・ジョン・ロバーツ長官(65歳)白人系男性、保守派、在任15年目

・クラレンス・トーマス(72歳)アフリカ系男性、保守派、在任29年目

・スティーブン・ブライヤー(82歳)ユダヤ系男性、リベラル派、在任27年目

・サミュエル・アリート(70歳)イタリア系男性、保守派、在任15年目

・ソニア・ソトマイヨール(66歳)ラテン系女性、リベラル派、在任12年目

・エレナ・ケイガン(60歳)ユダヤ系女性、リベラル派、在任11年目

・ニール・ゴーサッチ(53歳)白人系男性、保守派、在任4年目

・ブレット・カバノー(55歳)白人系男性、保守派、在任2年目

蛇足ながら、日本の最高裁判事の定年は70歳です。裁判所法第50条に定められています。

日本人の平均寿命(男性:81.41歳、女性:87.45歳)とアメリカ人の平均寿命(78.54歳)を勘案すると、認知症などのリスクもあるのでアメリカもやはり「70歳定年」にすべきだと私は思います。

ノーベル賞選考委員

ノーベル文学賞を選考する「スウェーデン・アカデミー」の会員(定員18人)は「終身制」で、制度上自らの意思で辞任することはできず、死亡するまで会員の補充は行われないそうです。アカデミーの意思決定を行うには最低12人の出席が必要となっています。

数年前から会員のうち2人が「活動を停止」しており、2018年の不祥事への甘い対応に抗議して、前事務局長を含む3人が「辞任を表明」したことから、活動中の会員は13人となりました。あと2人が「辞任を表明」すれば、アカデミーは機能停止に追い込まれます。

やはり、認知症などの「老害」と「権力は腐敗する」ということを考慮して、規約を改正して若返りを図るべきだと私は思います。

2.独裁国家の「実質的終身制」の独裁者

『「絶対王政(絶対主義体制)」の歴史と現代の「共産党一党独裁国家」との類似性』という記事の中で下記の3人の独裁者の問題点を書いていますのでご参考にしてください。

(1)ロシアのプーチン大統領

(2)中国の習近平主席

(3)北朝鮮の金正恩委員長

これらの独裁者の話とは全く異なりますが、日本の天皇についても現在の上皇さまが「高齢で天皇としての任務を全うできない」として「生前退位」されたことも勘案すると、憲法改正の議論と合わせて「天皇定年制」や「女系天皇」の議論をしてもよいのではないかと私は思います。

また、話は変わりますが「国際連合」という組織は「第二次世界大戦の戦勝国」に「拒否権という特権を与えて永久に優遇」し、「日本を含む敗戦国に対する敵国条項をいまだに削除しない」という非常に不公平極まりない国際組織です。

これでは「第二次世界大戦の戦勝国の終身制」のようなもので、問題の多い国際組織だと私は思います。