2019年にはひところは怒涛のような勢いだった中国からのインバウンドは一服し、大阪市内でも欧米からの観光客が目立つようになって来ていました。しかし、2020年4月以降になると、コロナによる入国制限の影響で外国人は全くと言っていいほど見かけなくなりました。
ところで、2018年からの「米中貿易戦争」の影響で、最近は日本企業の中には中国での生産から撤退して他の東南アジアに生産拠点を移す動きも出て来ているようです。
1.越境ECの活発化
最近「越境EC」という言葉をよく聞くようになりました。これは、「インターネットの通信販売サイトを通じて行う国際的な電子商取引「Electronic Commerce」(EC)のこと」です。
基本的には、海外の消費者に向けて国内の商品を販売することを目的としています。
近年はインターネットショッピングの利用が世界中で増加し、国内にいながら海外の商品を購入することが可能になっています。
2.越境ECの市場規模
経済産業省の調査によれば、平成29年度の日本の消費者によるアメリカ・中国事業者からの越境EC購入額は2,570億円で、前年比7.3%増加しています。
一方、アメリカの消費者による日本・中国事業者からの越境EC購入額は12,070億円で、前年比15.9%増加しています。
中国の消費者による日本・アメリカ事業者からの越境EC購入額は27,556億円で、前年比26.8%増加しています。
今や中国人の日本からの越境ECでの購入額(2014年で6,064億円)は、インバウンドでの購入額(2014年で4,020億円)を上回っています。
欧米では「ジャポニスム」の影響で、和服など日本ならではの民芸品の人気が高く、中国ではインバウンド最盛期によく爆買いされた家電製品や衛生用品が人気です。
また、タイやインドネシア、台湾などでは、「クールジャパン」と呼ばれるサブカルチャーや、高品質の日本製品を中心に越境ECのニーズが高まっています。
3.越境EC拡大の原因
(1)スマートフォンの普及
(2)訪日外国人のリピート購入
(3)コストを軽減できる
外国で直接出店する必要がないため、出店申請の手間や、家賃・現地スタッフの人件費、マーケティング調査が不要。実店舗を持つより、初期費用を大幅に抑えられるメリットがあります。
(4)商圏を拡大できる
このように、越境ECはメリットが大きく、今後ますます拡大すると思われますが、配送料や手数料が国内ECよりも高いこと、販売先の国により法律が異なること、関税など国際輸送にかかる取引規制が多いことには注意が必要です。
中国の「越境ECサイト」には、次のように多数の日本企業が出店しています。
・天猫国際:ユニクロ、無印良品、POLA
・京東全球購:DHC、オムロン、ソニー、近鉄百貨店
・網易考拉海購:ニトリ、カルビー、カシオ
・唯品国際:花王、小林製薬、SK-Ⅱ