「電線の地中化(無電柱化)」はメリットだけでなく意外なデメリットもある!

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電線と電柱の多い町

1.電柱と電線のある雑然とした日本の風景

日本の風景がヨーロッパと比べて「雑然としていて、すっきりしない」原因の一つが、「電柱が地上にあって、多数の電線が蔓延(はびこ)っているため」ということが以前から指摘されて来ました。

ロンドンやパリ、香港は「無電柱化率」が100%であるのに対し、東京23区は8%、大阪市は6%にとどまっています。特に東京23区では電線(電話線などを含む)が束のように空を覆っているところも少なくありません。

他のアジア地域の「無電柱化率」も、台北95%、シンガポール93%、ソウル46%、ジャカルタ35%と日本を上回っています。

空を覆う電線

2.電線の地中化(無電柱化)の動き

無電柱化ニュータウン

そのため、近年はニュータウンを開発する時に全ての電線を地中化する動きもあります。また、大阪の北新地などの繁華街でも「電線の地中化」計画が進められています。

3.電線の地中化(無電柱化)のメリット・デメリット

(1)メリット

①景観が良くなる

電柱を無くし、電線類を全て地下に埋設してしまうと、街の見栄えが大変良くなります。また観光地の風景や歴史的建造物も電柱によって見栄えが損なわれることがなくなります。

②停電が減る

空中を通る電線(架空線)は、常にさまざまなリスクに晒されており、それが時として停電を引き起こすのです。架空線の電線で起こるトラブルの原因の36%が台風や大雪などの「自然災害」、28%が樹木や鳥獣などとの「他物接触」です。

③地震に強い

「地下鉄や地下街は地震に強い」と言われるように、地上に比べて地下・地中は揺れによる影響が少ないのです。

④防犯上の利点

都市部では「空き巣」が電柱を利用して侵入するケースがあります。電柱が無くなることで、侵入時の足場となるものが減り、防犯効果が期待できます。

⑤バリアフリー化が進む

電柱が無くなることで、そのぶん歩道が広くなります。また、電線の地中化工事の際に歩道部分も工事し直すのが一般的なので、凹凸があって歩きにくかった歩道が、きれいに舗装される(またはレンガ敷きになる)ことも多いのです。

⑥交通事故を減らす

狭い道路では、電柱を避けるために車道に出た歩行者と自動車が接触する事故も少なくありません。

車で側道から合流する場合に、電柱が邪魔になって見通しが悪く事故になることもあります。また電柱への衝突事故もあります。

(2)デメリット

①建設コストが高い

電柱を立てる場合に比べると10倍~20倍のコストがかかります。

②工期が長い

電線を地中に埋めるには、様々な関係者の同意が必要になります。関係者とは、道路管理者である行政、電柱を利用する電力会社、通信会社、ケーブルテレビ会社、沿道の家屋の住民などです。

住民説明会を実施しても、住民の同意がなかなか得られないケースもあります。

実際の工事期間についても、道路の通行規制や既存の埋設物(上下水道やガスなど)の関係でどうしても長くなりがちです。

③歩道にスペースを取る

「無電柱化」で電柱は無くなりますが、すべての設備を地下化できるわけではありません。「変圧器」の設置のため、歩道上に一定のスペースが必要です。(ただし、街路灯と一体化して空中に設置する「柱上変圧器」もあります)

④浸水リスクがある

浸水しても感電することはまずありませんが、停電する場合があります。また、復旧は地上にある場合よりも困難になります。

⑤監視カメラ、カーブミラーや標識の設置に困る

電柱が無くなることで、監視カメラ、カーブミラーや標識を別の場所に移動する必要があります。

⑥メンテナンスに手間がかかる

電線の老朽化や停電などの不測の事態が生じた場合、地中に埋設された電線を補修するには手間がかかります。復旧費用も割高になります。

⑦ネット化を阻む

光ファイバーや同軸ケーブルの埋設時に「管路使用料」がネックとなって、通信会社が配線を渋ることがあるからです。

4.都市部での電線の地中化(無電柱化)の進捗状況

(1)大阪市

曽根崎新地無電柱化

幹線道路(歩道のある4車線以上の道路など)は多くの人や車が通行し、人の目にふれる機会の多い道路であり、まちの景観形成や災害時の避難や救援活動のための空間として重要な役割を担っています。このため、大阪市では、主要な幹線道路について、主に地中化方式による無電柱化を重点的に進めています。

また、こうした幹線道路での整備進捗などを考慮しつつ、幹線道路以外についても、良好な都市景観の形成等が特に必要な地区を中心に、路線の実情に応じた無電柱化を進めていくこととしています。

(2)東京都

東京無電柱化

 東京都は、都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出を図るため、電線共同溝等の整備により、道路上に張り巡らされた電線類を地下に収容する無電柱化を進めています。
 「東京都無電柱化推進計画」では、2020年の 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催までに、センター・コア・エリア内の都市計画幅員で完成した都道の無電柱化を完了させるとともに、震災対策上、重要な位置付けにある緊急輸送道路や利用者の多い主要駅などで重点的に整備を進めることにしています。



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