デジタル化とは?DXとの違いは?デジタル化のメリット・デメリットとは?

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デジタル化の落とし穴

2021年9月1日に社会全体でデジタル化の進展を目的とした「デジタル庁」が発足し、2021年10月10日・11日に「デジタルの日」(*)が創設されました。

(*)「デジタルの日」( Japan digital days)は、日本のデジタル化推進に向け、国民がデジタルについて定期的に「振り返り」「体験し」「見直す」ための機会として、日本政府が創設した記念日です。これは、デジタル技術が情報を0と1を用いた2進法で処理することにちなみます

なお、2022年以降の「デジタルの日」の日程については、改めて国民の意見を広く聴いて決定されるそうです。

最近は「カーボンニュートラル(脱炭素化)」と同様に、「デジタル化」が社会風潮のようになっていますが、「デジタル化を無批判に善と考えることは危険」だと私は思います。

「デジタル化」で権力者が国民の個人情報を全て掌握し、強力な専制政治を行うことになる危険性を孕(はら)んでいます。現に習近平率いる共産党一党独裁の中国が良い例です。

また、国民の個人情報が集約されると、それが外国の政府や企業の手に渡る恐れすらあります。

1.デジタル化とDXとの違い

(1)デジタル化とは

デジタル化とは、「デジタル技術を活用することで、既存のビジネスプロセスを効率化し、コストを削減することを目的とする取り組み」です。
デジタル化には、大きく分けて2つの概念があります。

ひとつは「アナログをデジタルに変換する」という概念です。

紙で保存していた資料をスキャンし、PDFデータにしてサーバーに保存したり、備品購入の申請を用紙への記入と押印から電子申請で済ませるようになったという会社は少なくないでしょう。「FAXで送っていた請求書をメールで送信するようにした」ということもデジタル化の取り組みの一つです。

もうひとつは「デジタルデータをもとに業務を改革し、新しい価値を創る」という概念です。

収集したデータをもとにマーケティングを行い顧客満足度の向上につなげたり、ITやAIの技術をもちいて新たなサービスを開発したりすることを指します。

また、デジタル化は「デジタイゼーション(Digitization)」とも呼ばれます。
デジタル化の目的にもあるように、デジタル化を推進することで業務フローの効率化とコスト削減が可能になるので、多くの企業はデジタル化を推進しようと取り組んでいます。
(2)アナログとデジタルのメリット・デメリット
アナログとデジタルのメリット・デメリット
(3)DXとの違い
DXDigital Transformation (デジタルトランスフォーメーション)の略語です。
経済産業省の定義によると、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされています。
これを簡単にまとめると、「デジタル技術を活用することで、ビジネスモデルや人々の生活を根底から変えることを目的とする取り組み」と言えます。
例えば、CDを購入したりレンタルすることで音楽を楽しむことが主流だった頃に、サブスクリプションのシステムを導入することで「収益モデル」や「音楽の楽しみ方」を変革したことがDXの事例になります。
つまり、DXの目的はデジタル化のような業務効率化ではなく、新しい事業価値や顧客体験を目指すものです。
(4)デジタル化はDXの前段階
デジタル化とDXは全く違う概念ではなく、「デジタル化が進むと段階的にDXへと発展していく」という関係にあります。
デジタル化がDXへ発展するには、3つの段階が必要です。
①デジタイゼーション(Digitization)(デジタル化)
デジタル技術を活用することで、既存のビジネスプロセスを効率化し、コストを削減することを目的する取り組み
②デジタライゼーション(Digitalization)
既存の価値をデジタル化しながらも、新たな価値をデジタルによって創造していく取り組み
③デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)(DX)
デジタル技術を活用することで、ビジネスモデルや人々の生活を根底から変えることを目的とする取り組み

2.デジタル化のメリット・デメリット

(1)メリット

デジタル化のメリットには、業務を効率化し生産性を高めることなどさまざまな点があります。

①データの保管・検索が容易になる

資料の収集や納品書のファイリングなど、多くの会社で紙での情報管理が行われていました。

しかし、大量の資料保管のためには資料室など物理的な広さの確保が不可欠になり、情報の蓄積や必要な情報を探すときには人員や時間が必要です。

資料保管や請求処理などの情報のデジタル化を行うことで、保管のための場所が不要になり、情報の追加や管理も簡単になります。

また、過去の資料や処理履歴から調べものをしたい時にも、検索機能を用いて簡単に情報をピックアップすることができます。

②人手不足解消につながる

アナログで行っていた印刷・記入・押印・ファイリングなどの手間が省けると、業務が効率化することは言うまでもありません。

デジタル化によってこれまでの作業や情報共有がスムーズになることで、社員の生産性を高めることができれば、人手不足の解消にもつながります。

また、これまで時間を取られていた作業をデジタル化で簡略化することで、社員の業務範囲の幅を広げたり残業の削減などをすることができ、働きやすい環境づくりにもつながります。

③ペーパーレス化やIT化につながる

これまで行っていたいた作業をデジタル化することで、ペーパーレス化にもなります。

ペーパーレス化を推進することは環境への配慮につながるため、企業としての姿勢を社会にアピールすることや、環境ISOを取得する際などにも役立ちます。

また、デジタル化によりデータの詳細な分析がしやすくなると、サービス品質の向上への活用や、ITやAIの技術を取り入れたビジネスの構築に取り組むことができます。

ペーパレス化やIT化は今後の企業運営に必要とされる部分なので、デジタル化を推進することで効率的かつ効果的に進めることができます。

④情報共有がしやすくなる

日々の業務内容がデジタルのデータとしてサーバー上に残るようになっていたり、ビジネスチャットツールでこまめな連絡が取れるようになっていると、個人が得たナレッジの共有がしやすく、業務の属人化を防げます。

社内の情報共有にアナログな手法やメールでのやり取りを用いている場合、チームの一人が急に欠勤した際に代理でどのような作業をすればよいか把握しにくかったり、個人に仕事を割り振りしていると全体の進捗状況が見えにくいことがあります。

情報共有をデジタル化するメリットは、最新の内容をスピーディーに伝えられることです。

特にビジネスチャットの場合は全社員向けグループ、部署やチームごとのグループ、個人あてのダイレクトメッセージなど、共有したい範囲をワンクリックで選び、メールよりも気軽に入力して送信できます。

ブラックボックス化しない組織運営には、情報共有にもデジタルの利点を活かす必要があります。

⑤リモートワーク推進につながる

デジタルデータは保管されているサーバーにアクセスさえできれば、いつでもどこでも閲覧や更新をすることができます。

場所の制限なく業務ができることは、働き方の多様化への対応や、災害や感染症流行などにおける緊急事態下での事業継続においても重要なポイントです。

クラウドサービスやバーチャルプライベートネットワーク(VPN)などを利用して、自宅のPCからインターネットを介し、業務データが保管されているサーバーにアクセスできる環境が必要となります。

近年注目されているテレワークやワーケーションを実施するためには必須の条件となるため、デジタル化の推進は大いに役立ちます。

(2)デメリット

デジタル化にはメリットが多くありますが、適切に推進や運用を行わなければ、デメリットを生じさせてしまう場合もあります。

①情報セキュリティ対策が必須

デジタル化の最も注意すべき点は、セキュリティ対策をしっかり行う必要があることです。

紙に残されたデータとは異なり、デジタルのデータは改ざんやコピーが容易にできるため情報漏洩への対策が必須であり、インターネットを介してデータにアクセスする場合はマルウェアなどのウイルス対策も不可欠となります。

総務省の情報セキュリティサイトにおいては、ウイルス対策ソフトやファイアウォールの導入、ユーザー権限やパスワードの管理をするほか、情報セキュリティ対策の方針と規則を定めた「情報セキュリティポリシー」を策定し、従業員への教育を介してセキュリティ意識の向上を促すことが必要とされています。

万が一、ウイルス感染やネットワークの不正侵入によって情報漏洩が起きてしまった場合、企業の信用と存続に関わるので、多方面から会社のデジタルデータを守るための対策が求められます。

②検討時間と費用がかかる

これまでアナログで行っていた業務をデジタルに移行する場合、さまざまなパターンのシミュレーションや、使用するシステムの構築・選定など、検討に時間を要します。

検討時間に係る人件費のほか、デバイスやソフトの購入、ネットワーク環境の整備、システムの導入にももちろん費用がかかります。

火災や地震などの災害による機器障害に備えて、停電時でも電力の共有ができる無停電電源装置などの設備導入も必要です。

デジタル化による業務効率化やサービスの向上によって最終的には会社にとってプラスとなることが想定されますが、一時的な支出と、減価償却費やレンタル・リース料など長期的にかかる費用も頭に入れた上で検討する必要があります。

③知識と柔軟な考えがないとメリットを得られない

デジタル化の2つの概念のうち、「アナログをデジタルに変換すること」については誰でも想像しやすく、環境さえ整えばすぐに着手し継続できるかもしれません。

しかし「デジタルデータをもとに業務を改革し、新しい価値を創ること」については、データという名の財産をフルに活用できる知識を持った人材や考えを持たなければ、実現することは困難です。

一度デジタル化を成し遂げても、既存システムに固執していると事業の進化を妨げることになり、デジタル化によって見込める効果を十分に得られないことになります。

複雑化・老朽化した既存システムが残存した場合、維持や保守に資金や人材を割かれ、コストの高騰やセキュリティ上のリスクが高まることが懸念されています。

これによって2025年以降、年に最大12兆円の経済損失が見込まれており、「2025年の崖」とも呼ばれています。

新たなデジタル技術を取り入れ続け、事業を成長させるためには、知識だけでなく柔軟性も求められているのです。

3.デジタル化のメリットを得るためにすべきこと

デジタル化のメリットを最大限に得るためには、アナログでおこなっていたときの習慣にこだわらず、着手から完了までを一元化してデジタルへ移行する必要があります。

備品の購入申請を例にあげると、申請や承認の工程をデジタル化したつもりでも、申請書の作成は紙で行い、スキャンしてデータ化したものを送るというのでは、用紙の印刷やシュレッダーにかける手間は変わらず、ペーパーレス化が推進できているとは言えません。

また、会社にとってデジタル化とは「業務を改革し、新しい価値を創る」ための手段でしかありません。

業務をデジタル化すること自体を目的にするのではなく、デジタル化によって何を成し得たいのか、会社がなりたい未来の姿やニーズを考える必要があります。

会社の目標や本質的な目的について社内でよく話し合い、その過程としてデジタル化の進め方を考えていけば、方向性を見失わずデジタル化のメリットを最大限に得ることができるでしょう。



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