「七」という漢字の読み方の「しち」と「なな」の正しい使い分けとは?

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下村式漢字学習辞典

皆さんは「七月」をどう読むでしょうか?「しちがつ」と読む人もいれば「なながつ」と読む人もいると思います。

しかし正しい読み方は「しちがつ」だということをご存知でしょうか?

1.「七」という漢字の読み方の「しち」と「なな」の正しい使い分け

七という漢字

(1)「音読み」と「訓読み」の違い

「七」という漢字の「音読み」は「シチ」で、「訓読み」は「なな」「なな(つ)」「なの(か)」「なぬ(か)」です。

「七」の次に「漢語・字音」が来る場合は「シチ」となり、「和語・和訓」が来る場合は「なな」となるのです。

「字音」(漢字音)とは、漢字の読み方のひとつで、日本に伝来して国語化した漢字の発音のことです。呉音・漢音・唐音などが主なものです。

「和訓」(国訓)とは、漢字・漢語に和語を当てて読むこと。また、その読み方のことです。

なお、「日」を「か」と読む和訓は、「和語の数詞」に付きます。

たとえば「七時」は、日本語の読み方としては「シチジ」が正しいです。 ついでに言えば、「7人」=「シチニン」、「7本」=「シチホン」、「7匹」=「シチヒキ」であるべきだとされています。

「7時」を漢字で表記すると「七時」ですが、 七:音読みで「シチ」、訓読みで「なな」 時:音読みで「ジ」、訓読みで「とき」 です。

一般的に漢字表記の読みは、音読み+音読み、若しくは、訓読み+訓読みが標準であり、音読み+訓読み、訓読み+音読みは例外的(「重箱読み」「湯桶読み」)であるとされます。

数字の読みに関しての例外は「四」であり、「シ」=「死」を連想させるため、例えば「四時」は「シジ」ではなく「よジ」という訓読み+音読みが定着しています。 「四歳」も同様に「よんサイ」です。「四」以外は、上記漢字の読みの原則が適用されます。

もっとも、「一時(いちじ)」との聞き間違いを防ぐという実用上の理由からか、「ななジ」という読みもそれなりに許容されています。

(2)その他の具体例

・「七月」は「しちがつ」が正しく、「なながつ」は誤りです。

・「七冠」は「しちかん」が正しく、「ななかん」は誤りです。

・「十七条憲法」は「じゅうしちじょうけんぽう」が正しく、「じゅうななじょうけんぽう」は誤りです。

・「四十七士」は「しじゅうしちし」が正しく、「しじゅうななし」は誤りです。

・「七月七日」は「しちがつなのか」または「しちがつなぬか」が正しく、「なながつななにち」は誤りです。ただしこう読むのは、聞き間違いを防ぐ場合くらいでしょうが・・・

ところで、「七日」は「なのか」と「なぬか」の二通りの読み方があり、「初七日」は「しょなぬか」と言いますね。

「なぬか」が音変化して「なぬか」になりました。NHKでは「なぬか」と読んでいます。

なお、「七歳」は例外的に「ななさい」が正しく、「しちさい」とは言いません。

2.中学時代の国語教師のユニークな教え方

数字の読み方については、私は中学時代の国語教師が面白い試みで教えてくれた記憶があります。

まず「ひとつ、ふたつ、・・・、と順番に言ってみよ」と言われました。名指しされた級友が怪訝そうな顔をしながらも素直に次のように唱えました。

ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、ここのつ、とお

先生は満足そうに頷きながら、次のように正しい読み方を教えてくれました。

ひとつ、ふたつ、みつよつ、いつつ、むつ、ななつ、やつ、ここのつ、とお

つまり、「古文」ではこのように読むのだというわけです。

次に「いち、に、さん、・・・、と順番に言ってみよ」と言って、別の生徒を指名しました。

この生徒も「小学生に九九の暗誦テストをするわけでもあるまいし・・・」というような顔で次のように唱えました。

いち、に、さん、し、ご、ろく、なな、はち、きゅう、じゅう

先生はまた満足そうに頷きながら、次のように正しい読み方を教えてくれました。

いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう、じゅう

つまり先生は「数字の訓読みと音読みの正しい使い分け」をこのような方法で教えてくれたのです。

なお、「しち」を「ひち」と発音してしまう人がいます(私も子供の頃はこのように発音していました)が、これは「しち」と発音しにくいのが原因です。「屋(しちや)」も子供の頃は「ひちや」と発音していました。これは大阪人特有のことかもしれませんが・・・

私の知人で生粋の東京人(江戸っ子)が「コーヒー」とうまく言えないので「コーー」と言っているように聞こえるのと似ているかも知れませんね。

ちなみにその人は「ひびや」を「びや」のように発音するので、「しぶや(渋谷)」と「ひびや(日比谷)」をよく聞き間違えられるとこぼしていました。

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