「不可能なこと」「あり得ないこと」をたとえた面白いことわざ(その2)兎角亀毛など

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亀毛兎角

1.兎の角、亀の毛(うさぎのつの、かめのけ)

亀の甲に毛が生えることはなく、兎の頭に角は生じないところから、この世にあるはずもないことのたとえです。

「兎角亀毛(とかくきもう)」「亀毛兎角(きもうとかく)」「兎の角論(うさぎのつのろん)」「亀毛蛇足(きもうだそく)」とも言います。

「兎角亀毛」は、「現実に存在しないもの、現実に存在しないものを存在するかのように扱う愚かしさ、有って無いようなもの、曖昧な存在」を表す仏教用語です。

なお、「とかく」や「とにかく」を「兎角」「兎に角」とも書きますが、これは「兎角亀毛」を借用した「当て字」です。副詞の「と」と同じく副詞の「かく」を合わせた言葉で、古語では音便によって「とかう(とこう)」となる場合が多い言葉です。「とにかく」は古語では「とにかくに」と使われることが多かったようです。「に」は格助詞です。

2.氷を叩いて火を求む(こおりをたたいてひをもとむ)

方法を誤っては事の成就は困難なこと、また不可能なことを望むことのたとえです。

四字熟語で「敲氷求火(こうひょうきゅうか)」と言います。

「水中に火を求む(すいちゅうにひをもとむ)」「木に縁りて魚を求む(きによりてうおをもとむ)」も同様の意味です。

なお、氷とは異なりますが、最近注目されている「メタンハイドレート」は、日本の周辺海域の海底やシベリアの永久凍土の中に眠っているエネルギー資源で、見た目は氷に似ています。

これは天然ガスの主成分である「メタンガス」が水分子と結びつくことでできた氷状の物質です。

メタンハイドレート

3.竿竹で星を打つ(さおだけでほしをうつ)

竿竹で星を払い落とす意で、不可能なことをする愚かさ、また思う所に届かないもどかしさのたとえです。

「竿竹で星を搗つ(さおだけでほしをかつ)」とも言います。「搗つ」とは、叩き落す意。

小林一茶の「名月を取ってくれろと泣く子かな」の幼児と同じ発想ですね。

4.繋馬に鞭を打つ(つなぎうまにむちをうつ)

繋いだ馬に鞭を打って走らせようとしても不可能であるところから、やっても無駄であること、するのが無理だというたとえです。

5.畑に蛤(はたけにはまぐり)

畑で蛤を得ることはできない意から、全く見当違いなこと、また不可能なことを望むことのたとえです。

「木に縁りて魚を求む」「氷を叩いて火を求む」「水中に火を求む」も同様の意味です。

余談ですが、私が小学生の頃、カブトムシクワガタムシの採集に熱中しましたが、彼らがクヌギやコナラの樹液が出ている木に集まること、主に夜間に活発に活動すること、7月中旬~8月上旬までが最適な最終時期であることを知らなければ、捕まえることは不可能です。

また、セミ羽化の様子を見たければ、早朝ではなく夜8時頃に神社や公園などに行かなければ見られないことも案外知られていないのではないかと思います。大阪では最近はクマゼミが大量発生しており、市街地の公園のケヤキの木などでも簡単に見つけられます。

6.水にて物を焼く(みずにてものをやく)

不可能なこと、あり得ないことのたとえです。

7.烏頭白くして馬角を生ず(うとうしろくしてうまつのをしょうず)

あり得ないことが起こることです。

「烏の頭が白くなる」「駒に角生ゆるまで」とも言います。

四字熟語では「烏白馬角(うはくばかく)」です。

「兎の角、亀の毛」も同様の意味です。

出典は「史記」で次のような故事が由来です。

古代中国の戦国時代、秦に人質となっていた燕の太子丹は、秦王から「カラスの頭が白くなり、馬に角が生えたら帰国を許してやろう」と言われました。絶望して天を仰ぎ嘆いたところ、カラスの頭が白くなり、馬に角が生えたということです。

8.嬰児の貝を以て巨海を測る(えいじのかいをもってきょかいをはかる)

小さな貝殻で海の水を汲み、海水の量を測る意で、自分の狭い見識だけをもとにして、大きな問題を議論するような浅はかさをたとえたものです。

また、到底できないことのたとえにも用います。

「貝殻で海を測る」とも言います。

9.水母骨に会う(くらげほねにあう)

出会うはずのないものに会うこと、珍しいものに出くわすことです。

10.死に馬が屁を放る(しにうまがへをひる)

死んだと思った馬が生き返って放屁(ほうひ)することで、ほとんど絶望と思っていた事態が思いがけなく好転するたとえです。また、絶対にあり得ないということのたとえです。

11.大海を手で塞ぐ(たいかいをてでふさぐ)

到底不可能なことをしようとすることです。

「大海を手で堰く(おおうみをてでせく)」「大川を手で堰く(おおかわをてでせく)」とも言います。

12.灯心で首括り麻殻で腹切る(とうしんでくびくくりあさがらではらきる)

しようとしても出来るものではない、やれるものならやってみろ、死ねるものなら死んでみろなどという時のたとえです。

「灯心」とは、行灯(あんどん)・ランプなどの芯(しん)のことで、灯油に浸して火をともす紐状のものです。綿糸などを縒(よ)り合わせて作ります。

「麻殻」とは、皮を剥(は)いだ麻の茎です。盂蘭盆(うらぼん)の門火(かどび)を焚く時などに用います。

13.灯心で竹の根を掘る(とうしんでたけのねをほる)

その方法ではやってもできないこと、苦労しても効果の上がらないことです。

14.灰吹きから大蛇が出る(はいふきからだいじゃがでる)

意外な所から意外な物が出るの意から、思ってもみなかったことが突然起こること、また途方もない出来事が起こることです。

「灰吹きから蛇が出る」「灰吹きから竜(たつ)が上がるよう」とも言います。

「灰吹き」は、「タバコの吸いがらを入れる筒」のことです。

「瓢箪から駒が出る」も同様の意味です。

15.盆を戴きて天を望む(ぼんをいただきててんをのぞむ)

盆を頭の上に乗せると天を仰ぎ見ることができず、天を見ようとすれば盆を乗せることができないように、一度に二つのことを行うのは困難であるということです。

16.蚯蚓の木登り(みみずのきのぼり)

不可能なことのたとえです。

「蚯蚓の木登り鼈(すっぽん)の居合抜き」「蚯蚓の木登り蛙の鯱立ち(しゃちほこだち)」とも言います。

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