フランス語由来の「外来語」(その2:カ行)キャバレー・カモフラージュ・カフェ・コンソメ・ギャルソン・ギロチン他

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キャバレー

古来日本人は、中国から「漢語」を輸入して日本語化したのをはじめ、室町時代から江戸時代にかけてはポルトガル語やオランダ語由来の「外来語」がたくさん出来ました。

幕末から明治維新にかけては、鉄道用語はイギリス英語、医学用語はドイツ語、芸術・料理・服飾用語はフランス語由来の「外来語」がたくさん使われるようになりました。

日本語に翻訳した「和製漢語」も多く作られましたが、そのまま日本語として定着した言葉もあります。たとえば「科学」「郵便」「自由」「観念」「福祉」「革命」「意識」「右翼」「運動」「階級」「共産主義」「共和」「左翼」「失恋」「進化」「接吻」「唯物論」「人民」などです。

フランス語由来の外来語(フランス語から日本語への借用語)は、日本が幕末に開国して以来、欧米列強の学問や技術を取り入れる過程で日本語になりました。日本語になった外来語には、学術的な用語から料理・美術・ファッションなどの日常的な単語まで多岐にわたります。

そこで今回は、日本語として定着した(日本語になった)フランス語由来の「外来語」(その2:カ行)をご紹介します。

1.キャバレー(cabaret

キャバレー・ムーランルージュ

「キャバレー」とは、本来はダンスやコメディショーなどパフォーマンスをする舞台のあるレストランやナイトクラブのことで、日本の「接待飲食店」のキャバレーとは異なります。

語源については、オランダの「カブレット」や、同じフランス語圏内のピカール方言である「カンブレット」など諸説あり、はっきりしていません。

当初は「小部屋」の意味合いで使用されていましたが、その小部屋で酒がよく飲まれていたことから、「居酒屋」の意味に変わっていきました。パリのモンマルトル界隈ではかつて1881年にロドルフ・サリスによって開設され、伝説的な隆盛を見せた「ル・シャ・ノワール (黒猫)」と呼ばれるキャバレーがあり、エリック・サティやパブロ・ピカソなど、モンマルトルに住む名だたる芸術家たちの若き日の溜まり場となりました。

現在も「オ・ラパン・アジル」をはじめ、ピアノやアコーディオンなどの伴奏によるレトロなシャンソンを聴かせる往時の雰囲気を残すいくつかの小さなキャバレー(シャンソニエ)があります。

同様にパリ郊外の川沿いには「ギャンゲット」と呼ばれるレストラン兼ダンスホールがあり、19世紀から続いています。現在も年輩者をはじめ多くのパリ市民に親しまれている休日午後の娯楽となっています。

パリにはまた一方でムーラン・ルージュやリド、クレイジーホースなどのいわゆる高級キャバレーもあり、こちらは大規模な店内でトップレスの女性が舞台上でスペクタクルを繰り広げるのが特徴です。歴史的にはフレンチカンカンが展開されたことでも有名です。

2.カモフラージュ(camouflage

「カモフラージュ(カムフラージュ)」は、周囲の風景に溶け込むことにより、敵の視を欺き、対象を発見されないようにする方法のことです。カモフラージュの対象には、戦車・艦船・軍用機を始めとする兵器・兵士のほか、建造物も挙げられます。

カモフラージュとして代表的なものに「迷彩」がありますが、他にもさまざまな技術があります。

3.カフェ(café

「カフェ」は、もともとはコーヒー豆やそれを挽(ひ)いて淹(い)れたコーヒー(珈琲)のことです。転じて、客にコーヒーを飲ませるための店・施設も意味します。

ヨーロッパの都市などにある、コーヒーをその場で飲ませる店のことで、特にパリやウィーンのものが知られています。新聞や雑誌がそこで読め、時の話題について談笑し、情報交換のできる場所として親しまれています。

4.カフェ・オ・レ(café au lait

「カフェ・オ・レ」は、濃く淹れたコーヒーと温かい牛乳を、基本的には同量程度入れたもののことで、フランスで好まれるコーヒーの飲み方です。

“café カフェ” はコーヒーのことであり、”au オ” は前置詞 “à” +男性型単数形定冠詞 “le” の縮約型であり、”lait レ” は牛乳のことです。

フランスでは基本的に牛乳とコーヒーが同量のものを指しますが、牛乳がやや少なめでも「café au lait」と呼ばれます。反対に牛乳のほうがコーヒーよりも多い場合は「café renversé カフェ・ランベルセ」と呼びます。

5.コンソメ(consommé

「コンソメ」は、フランス料理におけるスープのひとつで、琥珀色・淡黄色の澄んだスープです。

もともと「コンソメ」とは、「完成された」という意味のフランス語で、中世から見られるようになりました。基本的な作り方は、牛肉・鶏肉・魚などからとった出汁(ブイヨン)に脂肪の少ない肉や野菜を加えて煮立てます。

6.ギャルソン(Garçon

「ギャルソン」とは、フランス語で男の子(少年)を表す言葉です。

英語などの他言語において、ギャルソンは男性給仕(ウェイター)、特に大きな飲食店などで飲食物を出す者を指します。女性給仕はセルヴーズ(Serveuse)と呼びます。

7.ギロチン(guillotine

「ギロチン」は、2本の柱の間に吊るした刃を落とし、柱の間にうつ伏せ状態にさせた被処刑人の首を切断する斬首刑の執行装置です。「フランス革命」において受刑者の苦痛を和らげる人道目的で採用され、以後フランスでは1792年から1981年まで使用されました。

フランス革命勃発後、内科医で「憲法制定国民議会」議員だったジョゼフ・ギヨタン(1738年~1814年)は、受刑者に無駄な苦痛を与えず、しかも身分や貧富に関係せず名誉ある斬首の刑が適用できる「単なる機械装置の作用」によって人道的な処刑を行うよう議会に提案しました。

結局彼の提案が採用され、議会で正式に処刑道具として認められたため、彼の名前にちなんで「ギロチン」と呼ばれるようになりました。人名が食物、機械や行為等の一般名称になった「エポニム」の一つです。

8.クーデター(coup d’état

「クーデター」は、一般に暴力的な手段の行使によって引き起こされる政変を言います。

フランス語で「国家への一撃」もしくは「国家に対する打撃」を意味します。

日本語では「クーデタ」や「クー・デ・タ」と表記することもあります。英語では単に「coup」(クー)とも表記されます。中国語では「政変」と言います。

9.クーペ(coupé

「クーペ」(クッペ)とは、車体形状や使用形態により分類される自動車の形態のひとつで、1列もしくは、2列シートを有し、2枚ドアの箱型乗用車のことです。

10.グラタン(gratin

「グラタン」は、フランスのドーフィネ地方が発祥の地といわれる郷土料理から発達した料理です。「オーブンなどで料理の表面を多少焦がすように調理する」という調理法、およびその調理法を用いて作られた料理の両方を意味します。

この調理法を用いたものはすべてグラタンであり、デザート用に作られるものなどもあります。主にマカロニがベースとして入ることが多く、ドリアとは一線を画しています。 日本では、ベシャメルソースを用いオーブンで焼いた料理を「グラタン」と呼んでいますが、フランス語では、本来「鍋に張り付いたおこげ」という意味でもあり、転じて素材が何であれ焼いて焦げ目をつけた料理を意味する言葉です。

11.グランプリ(Grand Prix

「グランプリ」(略称:GP)とは、フランス語で「大賞」、grand(大きい、最高の)prix(賞)を指すことばです。英訳するとグランド・プライズ (Grand Prize) です。

一般には芸術・文化・スポーツなどの各分野で最高位とされる賞、もしくは、その受賞者を選出するコンクールや競技会のことです。特に日本では国際映画祭の最高賞を指すこともあり、1951年(昭和26年)に黒澤明監督の「羅生門」がヴェネチア映画祭「金獅子賞」を受賞した時、グランプリ受賞として国内報道されたことからこの言葉が一挙に広まりました。

12.グルメ(Gourmet)

「グルメ」は、洗練された、さらには精巧な準備やプレゼンテーションによって特徴付けられる高級料理の料理芸術、または高級料理に関連する文化的理想のことです。

「グルメ」は、食に関して探求する行為で、味を探求する人を「グルメな人」と呼びます。

「グルメ」とされる人物としては、篆刻家、画家、 陶芸家、書道家、漆芸家、料理家・美食家などの様々な顔を持っていた北大路魯山人(きたおおじろさんじん)(1883年~1959年)が有名です。

13.クレープ(crêpe

「クレープ」は、パンケーキの一種で、フランス北西部のブルターニュが発祥の料理です。

元になったのは、蕎麦粉で作った薄いパンケーキのガレット(galette)という料理です。

14.コンシェルジュ(concierge

「コンシェルジュ」は、本来フランス語では「集合住宅(アパルトマン)の管理人」という程度の意味しか持たない言葉です。

そこから解釈を広げ、今ではホテルの宿泊客のあらゆる要望、案内に対応する「総合世話係」というような職務を担う人の職業名として使われています。宿泊客のあらゆる要望に応えることをそのモットーとしていることもあり、「(宿泊客の要望に対して)決してNOとは言わない」と言われています。

15.クレヨン(crayon de cire

「クレヨン」は、溶かした蝋と顔料などを混ぜて棒状に冷やし固めた画きっす。皆さんもきっと子供の頃「お絵描き」に使ったことがあるでしょう。

16.クロッキー(croquis

「クロッキー」は、速写(速写画)と言って、対象を素早く描画すること、またはそうして描かれた絵そのものを指す言葉です。

「スケッチ(写生)」とも言いますが、特に短時間(10分程度)で描かれたものをクロッキーと称する。

主に動物や人体など動きのあるものを素早く捉える訓練として行われます。また「タブロー(完成作品)」へ昇華させるための習作として行われる場合もあります。

17.クロワッサン(croissant

「クロワッサン」は、フランス語で「三日月」という意味で、バターをパン生地に折りこんで焼き上げるパンです。フランス発祥で、サクサクした食感が特徴的です。

18.コラージュ(collage

「コラージュ」は、絵画の技法の1つで、フランス語の「糊付け」を意味する言葉です。

通常の描画法によってではなく、ありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類、雑多な物体など)を組み合わせることで、例えば壁画のような造形作品を構成する芸術的な創作技法です。

作品としての統一性は漸進的な並置を通して形成されます。コラージュは絵画と彫刻の境界を消滅させることを可能にしました。

19.コンクール(concours)

「コンクール」は、特定のテーマを指定して参加者を募り、作品のできばえや技能・演技などの優劣を競う催しのことで、英語のコンテスト(contest) とほぼ同義です。

テーマを決めて、参加者の技能や作品の優劣などを競う競技会、競演会を指すフランス語表現です。

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