JR西日本の大雪対応は危機意識ゼロ!大阪府北部地震対応の失敗を忘れたのか?

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JR西日本の大雪対応のお粗末さ

今年(2023年)1月24日~25日にかけての「10年に1度くらいの最強寒波」で、近畿の平野部でも積雪があるとの天気予報があり、この強烈な寒波への備えを促す情報番組やニュースもありました。

国土交通省は1月23日大雪に対する緊急発表を行ないました。発表によると、1月24日から26日ごろにかけて日本の上空にこの冬一番の強い寒気が流れ込むため、日本海側を中心に大雪となり太平洋側でも大雪や積雪となるところがある見込みであるとし、大雪や暴風雪、吹きだまり、低温による路面凍結などによる交通障害に警戒するよう呼びかけました。

今後の気象の見通し(1月23日11時時点)として、関東甲信地方、北陸地方、中国地方、九州北部地方、九州南部では大雪の可能性が高いとして、東北地方、東海地方、近畿地方、四国地方についても大雪の可能性があるとしていました。予想される24時間降雪量については、25日12時までの24時間降雪量で、北陸地方で70〜100cm、関東甲信地方で60〜80cm、中国地方で50〜70cm、九州北部地方でも30〜50cmなどと予想していました。

大阪府高槻市にある私の家では、少しやり過ぎかとは思いましたが、念のため「屋外の水道管に布を巻いてガムテープで縛る」「風呂の水をちょろちょろ出しておいて水道管の凍結に備える」などの対策をしました。

そのため、鉄道各社は万全の備えをしているものとばかり思っていました。

1.JR京都線や琵琶湖線で列車が立往生

特にJR西日本の場合は、JRと並行して京都ー神戸間を走る「阪急電鉄」や、少し離れてはいますが京都ー大阪間を走る「京阪電鉄」と違って、豪雪地帯の滋賀県も路線に含まれていますので、他の私鉄以上に万全の態勢を取っているものと思っていました。

ところが、結果は1月24日の夜から25日にかけてJR京都線や琵琶湖線で列車が立往生して多くの乗客が最大で10時間も車内に閉じ込められる事態が発生しました。

一時、およそ7,000人が車内に閉じ込められ、16人が体調不良を訴えて救急搬送されました。

原因は、大雪となった24日の夜京都線や琵琶湖線の複数の地点線路のポイントの切り替えができなくなり、15本の列車が立往生したとのことです。

2.1月25日はJR京都線が全面運休

京阪神エリアについては、1月24日夜からの大雪の影響で、1月25日は北陸本線、湖西線、東海道本線(JR京都線・神戸線)、山陽本線、赤穂線、片町線(学研都市線)、JR東西線、福知山線(JR宝塚線)、関西本線、湖西線、草津線、奈良線、おおさか東線、加古川線(西脇市駅~谷川駅)、姫新線で運行を見合わせ、ほぼ麻痺状態となりました。

そのため、通勤・通学に大きな影響が出ました。ただし、JR京都線の京都ー大阪間については、阪急電鉄が並行して走っているため、混雑はあったものの振替輸送で凌ぐことができました。

3.JR西日本の対応の問題点

(1)事前の対応の問題点

JR西日本は25日の記者会見で、社内での予想降雪量(8cm)をもとに線路のポイントの雪をとかす装置(融雪機)を作動させなかったことで、ポイントに雪が挟まるなどして切り替えができなくなり、立往生につながったことを明らかにしました。

実際には15cmの積雪になったにもかかわらず、社内での予想降雪量が基準の10cmに満たないため、融雪機を作動させませんでした。気象情報を時々刻々チェックしていれば、融雪機を作動させる判断は事前に十分できたのではないかと私は思います。

これが最大のミスです。

私は前に「日本は世界の豪雪都市ランキング上位を独占し積雪世界記録もある!?その理由は?」「ドカ雪の原因[JPCZ(日本海寒帯気団収束帯 )]をわかりやすく紹介!」という記事を書きましたが、JR西日本は豪雪地帯の北陸本線や山陰本線も抱えているわけですから、積雪対策はプロ中のプロのはずなのに、なぜこんな初歩的なミスを犯したのでしょうか?

他の私鉄各社は、「融雪機」を作動させたり、「手動」(人力)で対応していたようです。

(2)立ち往生発生時の対応の問題点

立ち往生発生時点で、ポイントの「融雪機」を作動させることができなくなったのであれば、「手動操作」で対応できなかったのでしょうか?私はド素人なので、それが可能かどうかわかりませんが・・・

最寄り駅の駅員との連係プレーで、少なくとも「最徐行運転で最寄りの駅までは乗客を運ぶ」ことが必要だったと思います。駅間で列車を止められると、トイレにも行けませんし、列車から降りても線路伝いに最寄りの駅まで歩かざるを得ないからです。

寒い夜中に、雪の降り積もった線路沿いに乗客を歩かせるのは、あまりにも酷です。

(3)事後の対応の問題点

JR西日本は、線路のポイントの雪を溶かす装置(融雪機)を作動させなかった判断など一連の対応を検証した上で、運用の見直しを検討することにしています。

これは当然のことながら、徹底的な原因究明と今後の危機対応をしっかりと決めてほしいと思います。

くれぐれもお役所仕事的な「検証と対策マニュアルの作成」だけに終わらないようにしてください。

今のJR西日本は、組織が硬直的で官僚的になっているように感じます。これは旧国鉄時代の「親方日の丸」的な考え方が染みついているからかもしれません。

もっと「現場」が、臨機応変に柔軟で適切な対応ができるようにすべきです。「大本営」のような「中央指令所」が指示や許可を出さないと全く動けないのでは、乗客が困ります

4.「大阪北部地震」に電車内で遭遇した時の悪夢を思い出す

今回の列車立ち往生のニュースを見ていて、私はどこかで見たような「デジャヴ(既視感)」を感じました。

実は私は2018年6月18日7時58分に発生した「大阪北部地震」に大阪行きの通勤電車の中で遭遇したのです。

その顛末については、「大阪北部地震で被害。通勤電車で被災、トイレが心配もJRの配慮はゼロ!」「大阪北部地震で被害。課題が残るJRの対応とタイムリーな大学生の対応!」「大阪北部地震で被害。徒歩帰宅と日産自動車販売店の神対応!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

「大阪北部地震」の時は、季節が夏で、時間帯も午前中でしたが、吹田駅までわずかの地点で2時間15分も電車内に閉じ込められ、トイレの心配がありました。

特に「いつになったら電車が動くのか?」「いつになったらこの電車から出られるのか?」が全くわからなかったので、「出口の見えないトンネルの中にいる」ようで、不安は募るばかりでした。

しかも、社内アナウンスが「地震のため、全車両が停止しています。運転再開まで、今しばらくお待ちください。」と壊れたテープレコーダーのように繰り返すばかりなので、イライラが募りました。

この時も、なぜ現場の運転士・車掌の判断で最寄りの駅まで最徐行運転でよいのでたどり着けなかったのか不可解です。

やっと電車から降りて線路伝いに吹田駅まで行くと、多くの乗客がトイレに殺到して大混雑となりました。

その後、駅員に聞いても「運転再開のめどは立っていません」の一点張りで、駅前のタクシー乗り場は長蛇の列で、車も全く来る気配がなく、いつ乗れるのかも全くわからない状態でした。

結局、私は12時30分まで吹田駅で待機していましたが、らちが明かないため、会社には「本日は出勤できるめどが立たないので、休暇を取ります。」と連絡して、何時間もかけて「徒歩帰宅」することにしました。結局、徒歩で(暑さと足の疲れで途中で何度も休んだため)4時間以上かかり、午後4時40分頃に家にたどり着きました。

携帯電話も最初はなかなかつながりませんでしたが、昼過ぎにやっと電話がつながりました。

この時も「危機対応マニュアル」を見直して、同じような失敗を繰り返さないようにしたはず(?)ですが、今回の事態を見るとその失敗の教訓が生かされなかったようです。