葬儀費用で家族に迷惑をかけたくない人のための「葬儀保険」とは?メリットとデメリットを紹介。

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葬儀保険

最近、「家族に迷惑をかけたくない」「葬儀費用ぐらいは準備しておきたい」という高齢者を使った高齢者向け(と思われる)保険のテレビCMをよく見ますね。

でもこのような「葬儀保険」は大丈夫なのか気になりますよね。

そこで今回は、葬儀費用で家族に迷惑をかけたくない人のための「葬儀保険」のメリットとデメリットをご紹介したいと思います。

1.「葬儀保険」とは

葬儀保険

葬儀には多額の費用(全国平均で112万円)が必要となります。最近多くなった「家族葬」でも、意外と高額な費用がかかります。

葬儀費用本来は喪主が負担し、足りない分は香典等で賄うとされてきました。 しかし最近は「香典を辞退」するケースが増えており、自分の死後に残される家族に負担・迷惑を掛けたくないと思う人も増えてきました。

将来の葬儀に備えて葬儀費用を積み立てる人も増えているようです。

そこで今回は自分の葬儀費用を自分で準備する方法の一つとしての「葬儀保険」をご紹介します。

葬儀保険」とは、その名の通り葬儀費用の負担軽減という目的に特化した保険(自分の葬儀代や葬儀後の整理費用をまかなうための保険)です。

「少額短期保険(ミニ保険)」と呼ばれるものの一種で、保険金額が少額保険期間が1年と短いものです。

そもそも「葬儀保険」は、「少額短期保険会社」が扱う保険商品の1つです。少額短期保険会社とは生命保険会社、損害保険会社に続いて発足した第三の保険会社であり取り扱う保険金額(補償限度額)は1,000万円以下と定められています。

「葬儀保険」で支払われる保険金額は最大300万円他の生命保険等よりも少額になっており、掛け金も月々1000円程度のものが多く、加入しやすいという特徴があります。

掛け金が少額ということ以外にも、様々なメリットがあります。一方で注意しなければならない点もあるのでそれぞれご紹介します。

2.「葬儀保険」のメリットとデメリット

(1)メリット

①医師の診断書が不要

葬儀保険の加入条件は、他の生命保険等に比べてかなり緩やかです。まず医師の審査・診断書が必要ないという点が特徴的です。

現在の健康状態や病歴等を保険業者に告知する義務がありませんので、万が一持病があっても加入することができます

②高齢でも入れる

年齢審査もとても緩やかです。通常の生命保険は高齢になると入りにくくなり、また80代で打ち切られてしまうことが多いです。

しかし多くの葬儀保険では79歳まで新規加入が可能で、更新すれば99歳まで保障が受けられます。もちろん年齢が上がるにつれて保険料も上がっていきますので、年齢次第では加入しない方がお得になるという場合もあります。加入前にきちんと確認すべきです。

③掛け金が少ない

月々の掛け金が通常の生命保険と比べてかなり安価で、利用しやすいという特徴があります。

主要な葬儀保険では50歳までは数百円程度、50歳から69歳で1000円程度という料金設定になっています。

年齢が上がれば保険料も上がりますが、それでも通常の生命保険に比べればかなりリーズナブルです。

④支払いが早い

請求から支払いまでの期間が短いことも葬儀保険の大きなメリットです。被保険者が亡くなり、受取人が請求をしてから翌営業日には支払われるものも多くあります

そのため、受け取った保険料をそのまま葬儀社に支払うことが可能です。多額の費用を用意する必要がないため遺族の負担は大きく軽減されます。

また相続税に関しても受取る金額が500万円以下のため非課税となります。この点も遺族にとっては大きなメリットといえます。

⑤葬儀費用以外にも使用可能

葬儀保険の保険金は、葬儀以外の費用にも使用できます。

例えば

  • 仏壇
  • お墓代
  • お布施・戒名など寺院への支払い
  • 年忌法要
  • 遺品整理の資金
  • 入院費用

などです。

ちなみに金融機関は、口座名義人の死亡を確認すると口座を凍結します。故人の預金から葬儀費用を捻出する場合、「預貯金仮払い制度」を利用する必要があり、金額にも上限が定められているので注意してください。

葬儀保険の保険金は受取人に振り込まれるので、口座凍結で困ることはありません。

(2)デメリット

①年齢によっては入らない方が得

その他の保険でも同じことが言えますが、高齢になるほど支払う保険料が高くなります。葬儀に掛かる費用と支払う保険料の額が釣り合わないこともあるので、きちんと確認すべきです。

②葬儀の規模に見合わないこともある

葬儀費用と保険料の金額が釣り合うかを確認するには、葬儀費用がどのくらいになるかをある程度把握しておく必要があります。

葬儀費用は葬儀の規模に大きく影響されます。小規模な葬儀でそれほど費用がかからないと見込まれる場合には、加入する必要はないでしょう。

また、加入を検討している保険内容で、どの程度の葬儀ができるのかをきちんと把握しておくことも大切です。

③経済的な影響で保険金額が下がることもある

終身型の葬儀保険では、保険会社の破綻や物価変動などの経済的な影響によって、受け取れる保険金額が下がる可能性もあるので考慮に入れておく必要があります。

④保険料は掛け捨て

保険料は積み立てではなく掛け捨てであるため、解約しても返戻金が発生しません。

葬儀保険は掛け捨て型なので、加入期間が長いと受け取れる保険金が、支払った保険料の総額を下回る可能性があります

3.生命保険(終身保険)との違い

「葬儀の費用をまかないたい」という理由から、生命保険(終身保険)に加入している人も多いと思います。

生命保険(終身保険)とは、一定額の死亡保障・高度障害保障が一生涯続く保険商品のことです。被保険者の死亡によって死亡保険金が支払われ、解約した場合も保険料に応じて解約返戻金を受け取れるという貯蓄性があります。

ただし解約返戻金がある分、保険料は高くなります。

4.互助会との違い

互助会(冠婚葬祭互助会)で、自分の葬儀代をカバーしたい人もいると思います。

互助会とは、相互扶助の精神に則り、冠婚葬祭に備えて毎月、互助会の会員が共同で掛け金を出し合って積み立てていく仕組みです。積立金は葬儀一式費用に充当できるため、葬儀に伴う出費を抑えられます。また解約する際は、契約に基づいて積立金が返金されます