「一」から「万」の数字を含むことわざ・慣用句(その8)「八」

フォローする



八卦

数字を含むことわざ・慣用句と言えば、「三人寄れば文殊の知恵」とか「三つ子の魂百まで」などたくさんあります。

前回は「人数・年齢・回数・年月や時間・距離・寸法」を表す数字を含むことわざ・慣用句を紹介しました。そこで今回は、その他の「一」から「万」までの数字を含むことわざ・慣用句をまとめてご紹介したいと思います。

なお面白い数字の単位についての話は、前に「数字の単位は摩訶不思議。数字の不思議なマジック・数字の大字も紹介!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧下さい。

8.「八」を含むことわざ・慣用句

(1)当たるも八卦当たらぬも八卦(あたるもはっけあたらぬもはっけ):占いは当たることもあれば当たらないこともあるということ。

八卦

「八卦」とは占いのこと。易で、陰と陽を示す算木の組み合わせで得られる八種の形から。
占いで悪い結果が出た時に、必ずしも的中するわけではないのが占いなのだから、吉凶は気にするなという意味で使われます。

占い師が占いを勧める時の前口上としても使われます。

(2)口八丁手八丁(くちはっちょうてはっちょう):しゃべることもやることも達者なこと。また、そのさま。「口も八丁手も八丁」「手八丁口八丁」とも言います。

口八丁手八丁

(3)腹八分目に医者いらず(はらはちぶんめにいしゃいらず):満腹になるまで食べないで、八分目くらいで抑えておけば健康に良いということ。暴飲暴食を戒めることわざ。

腹八分目に医者いらず

<類義語>

・腹も身の内

・節制は最良の薬なり

(4)八方塞がり(はっぽうふさがり):陰陽道 (おんみょうどう/おんようどう) で、どの方角に向かって事を行っても、不吉な結果が予想されること。また、どの方面にも差し障りがあって、手の打ちようがないこと。

「八方」とは、四方と四隅。東・西・南・北と北東・北西・南東・南西の八つの方角。

(5)八分されてもまだ二分残る(はちぶされてもまだにぶのこる):仲間外れにされても負けないということをしゃれていった言葉。

「八分」は「村八分」の略で、仲間外れの意。まだ二分残っているから、完全には負けていないといったもの。

(6)八細工七貧乏(はちざいく、しちびんぼう):なんでもできるような器用な人は一つの事に専念できずにどれも中途半端になってしまい、そのためにかえって貧乏するということ。
「七細工八貧乏」とも言います。

(7)朝寝八石の損(あさねはちこくのそん):朝寝坊は万事につけて損が多いというたとえ。一石は百升で約百八十リットル。

(8)借りる八合、済す一升(かりるはちごう、なすいっしょう):人に物やお金を借りたら、少し多めに返すか、お礼を添えて返すのが常識であるということ。

「済す」は、返済すること。

八合借りたら、一升にして返すべきであるとの意から。

(9)客人一杯手八杯(きゃくじんいっぱいてはちはい):客に酒を一杯すすめる間に、主人が手酌で酒を八杯飲むということ。

酒好きの人が客にかこつけて酒を飲むことにも言います。

(10)虚無僧に尺八(こむそうにしゃくはち):必ず付いているもののたとえ。

(11)八方破れ(はっぽうやぶれ):備えがなく、隙だらけであること。
または、生活態度が勝手気ままな様子。

(12)額に八の字を寄せる(ひたいにはちのじをよせる):機嫌が悪かったり、悩んだりしている様子。

眉を八の字の形にすることから。「八の字を寄せる」とも言います。

(13)胸突き八丁/胸突八町(むなつきはっちょう):①山頂付近の険しく急な坂道。富士登山で、頂上までの八丁(約八七二メートル)の険しい斜面のことから。

②物事を成し遂げる前の、一番苦しい局面。

(14)やけのやん八(やけのやんぱち):やけくそになることを人名めかして言った言葉。

(15)八幡の藪知らず(やわたのやぶしらず):迷うこと、また出口がわからなくなることのたとえ。

「八幡の藪知らず」は千葉県市川市八幡の森の通称。

古くから禁足地とされている場所で、一度入ると迷って二度と出られないとの言い伝えがあることから。