1.殺虫剤や農薬が混入した冷凍食品中毒事件事件
一番衝撃的だったのは、2007年から2010年にかけて相次いで発生した「殺虫剤が混入した冷凍餃子中毒事件」です。JTフーズや味の素といった日本の大手企業が中国企業に委託して生産した製品でしたので、製造工程の安全管理は日本人がちゃんと行っていなかったのか不安感・不信感が募りました。
そのほか、2008年には「冷凍カツ」・「肉まん」から毒性の強い残留農薬が検出される事件がありました。
また、同じ2008年には、ニチレイフーズが中国企業に委託して生産した「冷凍いんげん」に、日本の食品安全基準の34,500倍もの化学物質「ジクロルボス」が検出される事件がありました。購入した主婦は調理後の味見で舌に痺れを感じてすぐ吐き出したそうですが、入院しました。厚生省によれば、「検出量の多さから、残留農薬とは考えられず、故意に原液を混入したものと考えられる」とのことです。
そのほか、肉類・肉加工品からも有毒物質が検出される事件が相次ぎました。「カドミウム汚染米」や「人毛醤油(人の毛を精製して作った醤油)」や「地溝油(下水道の汚水を精製して作った油」など、聞いただけでおぞましいような事例が続発しました。「人毛醤油」や「地溝油」の存在は中国政府も認めています。「人毛醤油」は秘密裡に日本にも輸出されていたようですが、その後中国政府が製造を禁止したそうです。
2.原因究明や犯人逮捕、製造工程での安全管理体制の見直しが行われたのか不明
しかし、その後、原因の究明や犯人の逮捕、製造工程での安全管理体制の見直しなどが行われたのか、その後どうなったのかについては、報道がぱったり途絶えましたので、よくわからないというのが実情です。
いずれにしても、日本に比べて中国の「食の安全」に対する意識の低さは、農家やメーカーはもとより政府に至っても驚くばかりです。中国政府は「中国の食品は安全」と言うだけで、事件の隠蔽・幕引きに躍起になっているように見えて仕方がありません。
3.中国に食品の製造委託をしたり、農産物を輸入する場合は、厳しい安全管理が必要
今後、中国に食品の製造委託をしたり、農産物を輸入する日本企業には、日本並みの厳しい製造工程の安全管理を日本人自ら行い、農産物については、中国での出荷前に自社で厳しい有毒物質の有無の検査を行うなど、よほど注意してかからないと、また同じような事件が発生する恐れが十分にあります。また、厚生労働省による検査も、中国製品についてはより厳格にしていただき、販売されて消費者の口に入る前に「水際で食い止める」ように努力してほしいものです。