前に「生きた化石と言われる植物」の記事を書きましたが、今回は「生きた化石と言われる動物」について考えてみたいと思います。
皆さんよくご存じの嫌われ者「ゴキブリ」も、実は「生きた化石」なのです。ゴキブリが出現したのは、今から約3億年前の古生代石炭紀で、日本における最古の昆虫化石が、中生代三畳紀の地層から発見されたゴキブリの前翅です。
2020年1月に、「平成25年から活発な噴火活動が始まり、島の面積が10倍に広がった小笠原諸島の西之島で、ゴキブリが大繁殖している」という報道がありました。他の生物が長期間続く噴火によって死に絶えてもしぶとく生き残って、更に勢力を拡大しているということでしょう。今後地球で「6回目の生物大量絶滅」が起きて、人類が絶滅しても生き残る可能性は十分あると私は思います。
この記事では、身近でありふれたゴキブリは除いて、シーラカンス・カブトガニ・カモノハシを取り上げてみたいと思います。
1.シーラカンス
「シーラカンス」はシーラカンス目に属する魚類です。
シーラカンス目は多くの化石によって、その存在が知られており、古生代デボン紀に出現して、広く世界の水域で繁栄しましたが、約6500万年前(中生代白亜紀末)の「大量絶滅」を境にほとんどが絶滅しました。
長い間、シーラカンス目は「完全に絶滅した」と考えられていましたが、1938年に南アフリカの沖で現生種の存在が確認されました。
その後、インド洋コモロ諸島や、インドネシアのスラウェシ島近海でも現生種が確認されています。
かつては世界中の淡水や浅い海に生息していたと考えられていますが、現生種は深海にひっそりと生息し、魚やイカを捕食しているようです。
2.カブトガニ
「カブトガニ」はカブトガニ目に属する節足動物の総称です。
カブトガニの祖先は、約5億年前の古生代カンブリア紀に栄えた「三葉虫」と言われています。約2億年前の中生代ジュラ紀には、現在のカブトガニとほとんど同じ形態まで進化しています。ということは、逆に言えば「2億年間ほとんど進化していない」ということです。「生きた化石」と言われるゆえんです。
日本では瀬戸内海に古くから多く見られましたが、取り立てて何の役にも立たず、漁師には網を破るので嫌われたようです。干潟の泥の溜まった海底に生息しています。
ただ、近年は環境汚染や埋め立てにより生息数が激減しているそうです。環境省のレッドデータブックでは「絶滅危惧I類」に指定されています。
3.カモノハシ
「カモノハシ」は、哺乳綱単孔目カモノハシ科カモノハシ属の哺乳類です。オーストラリアの一部にだけ生息しています。
哺乳類の中では最も古い歴史を持つ生物と言われ、恐竜の栄えた中生代には既に存在していたという説もあります。化石からの推定では、恐竜が絶滅し哺乳類が地球上に多く出現し始めた6500万年前にはカモノハシが存在していたと考えられています。
カモノハシは哺乳類でありながら卵を産みます。また、カモノハシのオスは、毒の混合物を分泌する蹴爪を持っています。手と足には「水掻き」があり、泳ぐのに適した体になっています。
カモのような「くちばし」を持っていますが、鳥のような硬いくちばしではありません。水中では目を閉じて泳ぎますが、くちばしで生体電流を感知して獲物を探します。
体毛は二重構造になっており、外側は防水性に富んだ体毛で、内側は保温性に優れた体毛となっています。
とにかく奇妙で不思議な哺乳類ですね。