「脳梗塞」と言えば、冬場に暖かい室内や車内から急に外に出た時に、血管が急激に収縮して起こりやすいものと思っていましたが、夏場でも注意が必要なようです。
夏場は「熱中症」ばかりが注目されがちですが、「脳梗塞」にも注意が必要だということで、今回はこれについてわかりやすくご紹介します。
1.「脳梗塞」が夏場にも注意が必要な理由
心臓病や全身血管病は、一般に冬場に多い病気とされています。
しかし、「脳梗塞」が夏にも多いのは、汗をかいて水分不足になりやすく、血液もドロドロしてくるのが原因、つまり「脱水」が大きな原因です。
ちなみに「熱中症」の場合は、水分や塩分を摂り、体を冷やすことで回復しますが、「脳梗塞」の場合はこの対処法は効果がないどころか、かえって悪化してしまうこともあるそうなので、注意が必要です。
2.「脳梗塞」の予防法
(1)1日1~1.5リットルの水分を補給すること
(2)睡眠の前後にコップ一杯の水を飲むこと
(3)1~2時間に1回と時間を決めるなどして、定期的に水分補給すること
体の調節機能が低下している高齢者などの場合は特に注意が必要です。上記のようなこまめな水分補給を意識的に行う必要があります。
なお、緑茶やコーヒーなどカフェインの入った飲み物は利尿作用があるので、逆に水分を排出してしまいます。飲むのは水のほか、カフェインの入っていない麦茶がお勧めです。
また、エアコンによる乾燥も、体内から少しずつ水分を奪うので、気づかないうちに脱水症状になることがあるので注意が必要です。
3.「脳梗塞」の前触れ
脳梗塞の前触れとしては、「一過性脳虚血発作」があります。これは脳の一部の血流が一時的に悪くなることで起こるこ「半身の運動まひ」などの症状です。
具体的には、片側の手足や顔のまひ・しびれ、ろれつが回らない、言葉が出ない、片方の目が見えにくいといった症状です。
この症状は、数分から長くても24時間以内に完全に消えてしまいます。このような症状は、「一過性脳虚血発作」以外でも起こることがありますが、念のため医療機関を受診した方がよいようです。特に高齢者の場合はぜひそうすべきだと思います。
4.「脳梗塞」の3タイプ
脳梗塞は、「脳の血管に血栓(血の塊)が詰まって血流がとだえ、脳の組織が壊死していく病気」ですが、大きく3つのタイプに分けられます。
(1)ラクナ梗塞
脳の細い血管に動脈硬化が起こって詰まるもので、夏に多くなります。
(2)アテローム血栓性脳梗塞
脳の太い血管に血栓ができて詰まるもので、夏に多くなります。アテロームとは、血液中のコレステロールなどが血管壁に入り込んできた粥状の塊のことです。
(3)心原生脳塞栓症
心臓の血管内にできた血栓が脳に飛んで詰まるものです。