1.「東海道中膝栗毛」とは
「東海道中膝栗毛」とは、1802年から1822年にかけて刊行された十返舎一九の滑稽本です。「栗毛」とは栗色(黄褐色)の毛を持つ馬のことですが、「膝栗毛」というのは、自分の膝を馬の代わりに使う「徒歩旅行」(テクシー)のことです。この「テクシー」という俗語も今では死語となったようですが・・・
しくじりを繰り返して江戸に居づらくなった栃面屋の弥次郎兵衛(弥次さん)と居候の喜多八(喜多さん)が、江戸から逃げるように厄落としの「伊勢参り」に出発します。伊勢神宮からさらに京・大坂も巡ります。軽薄・粗忽でお調子者の二人組が道中で狂歌・洒落・冗談を交わし合い、東海道を行く先々で、珍妙・滑稽な騒動を起こします。身勝手な小悪人なのになぜか憎めない二人の珍道中を描いた傑作コメディーです。挿絵も彼が描いています。
この「本は、東海道の名所を紹介する「旅行ガイドブック」としても読まれ、当時の「ベストセラー」となっています。江戸から伊勢神宮までは片道15日間もかかったそうですから、長距離を歩いた昔の人は偉かったとつくづく思います。
1650年(慶安3年)以降ほぼ60年を周期とした「お蔭年」に特に盛んにおこなわれた「おかげ参り」の流行の影響も大きかったのではないかと思います。
また、この「東海道中膝栗毛」という本が「おかげ参り」の流行に、さらに拍車をかけたかもしれません。
上方古典落語に「伊勢参宮神乃賑(いせさんぐうかみのにぎわい)」(通称:「東の旅」)というのがあります。大坂からでも片道5日間の徒歩旅行です。かつて桂三枝(現在の六代目桂文枝)が相方の落語家と二人で伊勢参りをするテレビ番組の企画がありました。
最近ではMBSの平日午後の情報番組「ちちんぷいぷい」で、楠雄二朗と河田アナが「江戸日本橋から京都三条大橋までの東海道五十三次を歩く」という長編企画がありました。
2.「十返舎一九」とは
十返舎一九(1765年~1831年)は、江戸時代後期の戯作者であり、絵師でもあります。「黄表紙」「滑稽本」「合巻」作者ですが「東海道中膝栗毛」が代表作です。
3.歩くことは大変だけれど毎日続けることが大切
私は中高年になってから、膝痛に悩まされるようになり、特に長く歩くと膝や足が痛くなりました。
派遣社員として働いていた頃は、自宅からJR高槻駅までとJR大阪駅から淀屋橋まで(事務所移転後は本町まで)徒歩で往復していましたので、月に14日くらいは一日2時間は歩いていたことになります。2018年6月18日の8時前、通勤電車の中で「大阪北部地震」に遭遇した時は、JR吹田駅から高槻の自宅まで4時間以上かけて歩いて帰ったこともあります。
ところが、完全リタイアしてからはほとんど出歩かなくなったため、また膝が痛くなり始め、そのせいで余計歩かなくなりました。
これは歩くことによって膝の曲げ伸ばしができるのに、それをしないことで「膝が固まってしまう」ようです。「自転車」だけでは効果が薄いようです。
2020年1月に「一念発起」して、毎日最低1時間は近所を「散歩」するようになりました。おかげで膝の痛みが減ってきたように思います。これからも無理のない範囲で散歩を続けて行きたいと思っています。
かつて「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」という交通安全のキャッチコピーがありましたが、自転車で走っていると気付かなかった発見もあったりします。「ユックリズム」や「スローライフ」は70歳を超えた私にはぴったりのように思います。