「社名」は、創業者の理念やルーツ、あるいはアイデアが詰まったものが多いですが、今回は面白い由来のある社名をいくつかご紹介します。
1.サントリー(SUNTORY)
サントリーは、創業者の「鳥井さん」を逆さまにしてた「さん鳥井」→「サントリー」が由来という話が広く流布していますが、本当は自社製品の「赤玉ポートワイン」の「赤玉」がもともと表している「太陽(サン)」と「鳥井」のトリーを合わせて出来たものだそうです。
2.アート引越センター
新しい引っ越し業者なので、職業別電話帳で一番最初に出て来る名前にしたいと創業者の寺田千代乃さんは考えました。そこで「あ」を頭文字にした名前にしたかったので「アート」にしたそうで、「art(芸術)」とは無関係です。
ところが、その後「アーク引っ越しセンター」や、「アーアーアイ引っ越しサービスセンター」や「アーアーアーアンシン引っ越しサービス」なども出て来ました。
しかし、アート引越センターは既にテレビのCMなどで十分認されるようになっているので、大した影響はなさそうです。
私も「便利屋」を電話帳で探していた時、「アーアーアーアンシン便利屋」というのが目につきました。同じような発想をする人がいるということですね。
3.SONY(ソニー)
「音(SONIC)」の語源となったラテン語の「SONUS(ソヌス)」と、小さいとか坊やという意味の「SONNY」から来ています。簡単な名前で、どこの国の言葉でもだいたい同じように読めて発音できることが大事ということで考案されたそうです。
4.ローソン
これは、ローソンの元になる店を始めたのが、アメリカのJ・J・ローソンという人だったからです。「ローソンの牛乳屋さん」という名前のお店だったそうです。何だか拍子抜けしますね。そういえば、ローソンのマークは「白いミルク缶」でしたね。
私はダイエー系のコンビニなので、「LAW=法」「SON=息子」なので「法子」を連想し、ダイエー創業者の中内功氏の奥様の名前かなと勝手に想像していました。
5.積水グループ
積水ハウスやセキスイハイム、積水化学、積水樹脂など多くの企業がある積水グループですが、この社名の由来は次の通りです。
「勝者の民を戦わしむるや、積水を千仭の谿(たに)に、決するがごとき形なり」という孫子の兵法「軍形編」にある言葉です。
「勝利者の戦闘というものは、満々とたたえられた水(積水)を深い谷底へ切って落とすような激しい勢いの得られる形のもとに、一気に決める」という意味です。
6.資生堂
資生堂は国内トップの化粧品メーカーですが、社名は四書五経の一つである「易経」の「至哉坤元萬物資生」に由来しています。
「大地の徳は何と素晴らしいものであろうか。全てのものはここから生まれる」という意味です。
西洋の最先端の薬学をベースとする一方で、社名は東洋の儒教的な思想哲学から命名したものです。
7.キヤノン
キヤノンは、カメラ、ビデオをはじめとする映像機器、プリンタ、複写機をはじめとする事務機器、デジタルマルチメディア機器や半導体・ディスプレイ製造装置などを製造する大手精密機器メーカーですが、社名は「観音(かんのん)」に由来しています。
キヤノンの前身は、1933年(昭和8年)に、内田三郎・吉田五郎(吉田は翌年に退所)によって創立された「精機光学研究所」です。観音菩薩の慈悲にあやかりたいという気持ちから、1934年(昭和9年)に完成した日本産初の精密小型カメラの試作機を「KWANON」(カンノン)、そのレンズを「KASYAPA」(カシャパ)と命名しました。
KASYAPAは、釈迦の弟子のひとりである大迦葉(梵: Mahākāśyapa マハーカーシャパ、巴: Mahākassapa マハーカッサパ)に由来しています。
1935年(昭和10年)、世界で通用するカメラのブランド名として、Canon(キヤノン)が採用されました。「正典」「規範」「標準」という意味を持ち、正確を基本とする精密工業の商標にふさわしいことと、KWANONに発音が似ていることが、この名称を採用した理由とされています。
なお日本語における正式な表記は「キヤノン」であり、小字を用いた「キャノン」ではありません。