最近は将棋の藤井聡太さんや囲碁の天才小学生プロ仲邑菫さんが現れて、将棋や囲碁の人気が急上昇していますが、今回は碁盤や将棋盤の「足の形の由来」と「裏面中央のへこみの名称」についてご紹介します。
1.碁盤や将棋盤の「足の形の由来」
碁盤や将棋盤の「足」は独特の変わった形をしていますね。伝統的な建築物の装飾などに用いられる擬宝珠(ぎぼし)型の八角形です。
これは「囲碁や将棋の観戦者の口出しはタブー」ということに関係しています。「岡目八目」という囲碁に由来する言葉がありますが、対局に熱中している当人同士よりも横で観戦している第三者の方が冷静な判断を下せるものです。
しかし、だからと言って観戦者が他人の手合いに口を出すことはタブー中のタブーです。そんな禁忌を犯したら、とんでもない目に遭うかもしれません。極端な話、あなたの首が斬り落とされても文句は言えないのです。
ところで、クチナシの実(上の左の画像)は熟しても割れないため、「口無し」という和名で呼ばれたりします。
碁盤や将棋盤の足の形は、このクチナシの実の形を模したものなのです。つまり「打ち手(指し手)は無言、周囲は口出ししてはいけない」という意味でこの形にされました。
なお、実際のクチナシの実は「六角形」ですが、日本の風習として「八」はめでたいということで「八角形」になったようです。
2.碁盤や将棋盤の「裏面中央のへこみの名称」
足つきの碁盤や将棋盤を持っている人は少ないかもしれませんが、私が子供の頃に住んでいた家は明治20年代に建てられた古い京町家で、明治時代のご先祖が使っていた足つきの碁盤がありました。
そのため、碁盤の裏にへこみがあることは知っていましたが、飾りか何かだろうと思っていただけで名称や由来までは知りませんでした。
このへこみは、一般的には「へそ」あるいは「音受け」と呼ばれており、その効用は木の加工時において乾燥による歪(ひず)みや割れを防ぎ、完成時には盤に石や駒を打ち込んだ時に音が響きやすくなるためと言われています。
しかしこの「へそ」には「血溜(だ)まり」というもう一つの呼び名があります。この恐ろしげな名前の由来は、その昔、対局に口を出した第三者の首を斬り落とし、ひっくり返した盤を台にして首をさらしたからと言われています。
しかも台に付いている四つ足の装飾はクチナシの実をかたどっています。クチナシは「口無し」と同じ音で、「死人に口無し」というと出来すぎですが、血溜まりとクチナシは意味深な符牒です。
3.碁盤の各部の名称
蛇足ながら、その他の碁盤の各部の名称を画像でご紹介します。