踏切番の「定年最終日の踏切事故」と、徒然草の「高名の木登り」

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踏切番

静岡県牧之原市の「川崎幼稚園」で9月5日午後、園児の河本千奈ちゃん(3)=同市静波=が通園バスの中に5時間も放置された末に意識不明の状態で発見され、その後死亡した事故(事件?)がありました。死因は熱射病でした。

同日は本来のバス運転手が休暇を取っており、園長の70代男性が代わりに運転していて、「降車時の人数確認や残された園児がいないかの安全確認」を園長も補助職員も怠っていたこと(「たぶん相手がやっているだろう」という意識がお互いにあったようです)が直接の原因ですが、降車後の幼稚園での担任などの「出欠確認義務を怠っていたこと」「情報連絡・情報共有の欠落」も重なった事件です。

長年にわたる「基本的な安全確認作業を怠った結果」で「惰性や気の緩みによる慣れの恐ろしさ」を痛感します。

1.踏切番の「定年最終日の踏切事故」の話

国鉄(現JR西日本)に定年まで勤めた私の父から聞いた「踏切番のおじさん」の話です。

昔の踏切は、現在のような機械式の「自動遮断機」ではなく、踏切番(踏切警手)が待機する小屋があって、踏切番が電車の通過する前後に手動で遮断機を開閉していました。

その日は、踏切番の定年退職日で、彼は「いよいよ今日が最後の勤めだ」と感慨無量の気持ちで仕事に取り掛かったと思われます。

ところが、「魔が差した」というのでしょうか、「ふと気が緩む瞬間があった」のでしょうか、電車がまもなく通過するのに遮断機を閉じ忘れ、クルマが踏切に進入して電車と衝突事故を起こしてしまったのです。

長年国鉄で勤めあげた最後の一日の、ほんの一瞬の手抜かり(ミス)で、一生を棒に振ってしまった気の毒な人の話です。

最後まで気を緩める(抜く)な」という教訓です。

なおこの教訓を英語では次のように言います。Keep your focus(又はguard) up to the end.

2.徒然草の「高名の木登り」の話

この話は、木登りの名人が、人に指示して高い木に登らせ、梢を切らせた時、高所でとても危なく見えた時は何も声を掛けず、軒の高さぐらいまで降りて来た時に「怪我をするな。気を付けて降りろ」と声を掛けたという話です。

この「高名の木登り」が言うには、「失敗は、簡単なところになって必ず起きる」ものだそうです。「油断大敵」というわけです。慢心や油断があると、思わぬ失敗を招くものです。

九仞(きゅうじん)の功(こう)を一簣(いっき)に虧(か)く」や「磯際で船を破る」という故事ことわざも同様の教えです。

3.最近の高齢者ドライバーによる交通事故多発の話

最近、高齢者ドライバーが「ブレーキとアクセルの踏み間違い」で重大事故を起こしたニュースをよく聞きます。

私も70歳を過ぎ、注意力や瞬時に反応する能力は低下しているので、他人事とは思えません。ただ、母親が入居している介護付き有料老人ホームに週2回、洗濯物の取り換えや菓子・果物などの大きな荷物を持って見舞いに行く関係でクルマは欠かせません。

交通事故を起こさないように十分注意して、安全運転に努めたいと思っています。「助手席の妻と2人で一人前」(by historia)という感じで、二人で注意しながら運転を続けている今日この頃です。

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