非課税世帯への5万円給付・ガソリン補助金等の「物価高対策」の効果は疑問。

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岸田政権の物価高対策

最近の諸物価の急激な高騰は、直接的には「円安」とロシアによるウクライナ侵略に伴う燃料費の高騰が原因ですが、賃金や年金の上昇を伴わない「悪性インフレ」だと私は思います。

1.岸田政権の「物価高対策」とは

政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」は9月9日、燃料油などの物価高への追加対策を決めました。ガソリンの値上げを抑えるため、石油元売りに配る補助金の支給期限を9月末から12月末まで延長します。9月下旬にも予備費から3兆円規模を出します。

ガソリン補助金は今年1月から支給を始め、延長・拡充してきました。いまの上限は1リットルあたり35円で、35円を超える分は半額を出す仕組みです。10~12月の資金として予備費から1兆3000億円を拠出します。

政府は11月以降に上限を下げる案も検討しましたが、経済への影響を懸念して維持しました。補助金は需給バランスをゆがめるとの指摘もあります。

住民税の非課税世帯に1世帯5万円の給付金を配ることも盛り込みました。電気やガス、食料品の値上げで家計の負担が増える可能性があるからです。

国が購入して製粉会社などに売る輸入小麦は10月以降も価格を維持し、パンや麺の値段が上がらないようにします。

畜産農家が10~12月に払う配合飼料の費用を抑えるため、コスト上昇分を国が補塡し、卵や肉の値上がりを抑えます。

地方自治体が困窮者支援などに充てる地方創生臨時交付金も予備費などを使って積み増します。

2022年度予算は予備費を5兆円計上しました。子育て世帯への給付金や中小企業支援などで計1兆1000億円ほどを出すと4月に決定しました。5月に成立した22年度第1次補正予算で補い、残額は4兆7500億円ほどになります。

新型コロナウイルス対策をあわせると予備費から拠出する額は3兆円代半ばになる見込みで、残りは1兆円強になる見込みです。

今回の物価高対応とは別に、10月には「総合経済対策」を新たに策定します。その経済対策を裏付ける22年度第2次補正予算案を編成し、秋の臨時国会に提出します。

2.岸田政権の「物価高対策」の効果は疑問

(1)住民税非課税世帯への5万円給付

この対策では、「住民税非課税世帯」には一定の恩恵がありますが、大多数の中間層世帯には全く恩恵がありません

また、住民税非課税世帯にとっても「5万円では少なすぎる」という不満が残ります

しかも、約1,600万世帯いる「住民税非課税世帯」の大半(8割近く)は「高齢者世帯」で、預貯金などの資産を持っている人も多く、そのことは考慮されていません。

むしろ、「母子(父子)家庭」や「共働き世帯」の方が、「住民税非課税世帯」の「高齢者世帯」より苦しいケースもあります。

(2)石油元売り各社への補助金の12月末までの延長

この対策では、「石油元売り各社」と「車を利用している事業者や個人」には一定の恩恵がありますが、車を利用していない人には全く恩恵がありません

また、毎月3,000億円に上る補助金支出は、石油元売り各社への「補助金の大盤振る舞い」だと私は思います。

(3)輸入小麦の政府売り渡し価格の据え置き

2022年は1月~8月の間にすでに約1万品目が値上げされていますが、さらにこの秋だけで8043品目の値上げが予定されています。

小麦の価格を抑制するだけでは、パン製造業者には一定の恩恵がありますが、燃料費や原材料費の高騰にも苦しむ多くの企業の値上げは避けられません。

結局、物価高を抑制できず、一番しわ寄せを受けるのは大多数の消費者で、「悪性インフレ」を退治することは不可能です。

3.「円安」の元凶である「日銀のマイナス金利政策」の即時停止と利上げが必要

消費税を5%や3%に引き下げよとの主張もあります(消費税ゼロの主張もまります)が、これでは「社会福祉の財源」として「広く薄く負担する消費税」を創設した意味が台無しになります。

私は日米金利差を主な要因とする「円安」に歯止めをかけるには「口先介入」では一時的な効果しかなく、結局のところ「日銀のマイナス金利政策」の停止と利上げを日本がしない限り、「円安」は解消できないと私は思います。

しかも「日銀のマイナス金利政策」の即時停止と利上げは、即効性のある「コロナ不況対策」でもあります。

これについては、「今の日本の悪性インフレの元凶は円安=日銀のマイナス金利政策!ハイパーインフレの恐れも!!」「コロナ不況の克服策には、金利引き上げが一番!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。



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