「2035年までに純ガソリン車の新車販売禁止」政策は性急・拙速で疑問が多い

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電気自動車

2021年1月20日に就任したバイデン大統領は、トランプ大統領が脱退した「パリ協定」(地球温暖化対策の国際的枠組み)に直ちに復帰しました。

日本を含めて世界の一般的な受け止めは「歓迎」ですが、私は「温暖化対策」全般を含めて疑問があります。

なぜ疑問かと言うと、いくら日本を含む先進国がわずかの効果しか望めない「温暖化対策」を巨額の費用を投じて行っても、エネルギー生産の倍増を目指すアフリカなどの開発途上国が今後CO2の排出をどんどん増大させるからです。中国も大気汚染が深刻なほど大量のCO2を排出し続けています。

中国の大気汚染中国大気汚染大量の車

たとえ「温暖化対策」が必要だとしても、これでは「穴の開いたバケツに、いくら一生懸命に水を入れても水が貯まらない」のと同じことです。

1.「2035年までに純ガソリン車の新車販売禁止」政策とは

2020年12月25日に政府の「経済財政諮問会議」のもとにある「成長戦略会議」が、2020年10月に菅首相が宣言した「2050年カーボンニュートラル」に基づいて、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を採択しました。

その中で、気候変動緩和を「成長の機会と捉える時代」になったと位置付け、「変革のロードマップ」を示しました。自動車・蓄電池(バッテリー)産業については以下のように明記されました。

 自動車は、電動化を推進する。欧州の一部の国やカリフォルニア州ではガソリン車の販売の禁止が相次いで打ち出されるなど、自動車の電動化は、想像以上のペースで進んでいる。日本は、この分野でのリーダーを目指さなければならない。

遅くとも2030年代半ばまでに乗用車新車販売で電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車)100%を実現できるよう、包括的な措置を講じる。商用車についても、乗用車に準じて2021年夏までに検討を進める。

 この10年間は電気自動車の導入を強力に進め、電池をはじめ、世界をリードする産業サプライチェーンとモビリティ社会を構築する。この際、特に軽自動車や商用車等の、電気自動車や燃料電池自動車への転換について、特段の対策を講じていく。

こうした取組やエネルギーのカーボンニュートラル化の取組を通じて、カーボンニュートラルに向けた多様な選択肢を追求し、2050年に自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2ゼロを目指す。

CO2排出削減と移動の活性化が同時に実現できるよう、車の使い方の変革による地域の移動課題の解決にも取り組む。ユーザーの行動変容や電動化に対応した新たなサービス・インフラの社会実装を加速する。

また、蓄電池は、自動車の電動化や再生可能エネルギーの普及に必要となる調整力のカーボンフリー化の要である。研究開発・実証・設備投資支援、制度的枠組みの検討、標準化に向けた国際連携といった政策により、蓄電池の産業競争力強化を図る。

2030年までのできるだけ早期に、電気自動車とガソリン車の経済性が同等となる車載用の電池パック価格1万円/kWh以下、太陽併設型の家庭用蓄電池が経済性を持つシステム価格7万円/kWh以下(工事費込み)を目指す。

また、2030年以降、更なる蓄電池性能の向上が期待される次世代電池の実用化を目指す。具体的には、まずは全固体リチウムイオン電池の本格実用化、2035年頃に革新型電池(フッ化物電池・亜鉛負極電池等)の実用化を目指す。

(出典:経済産業省・2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略)

2.「2035年までに純ガソリン車の新車販売禁止」政策への疑問

(1)欧米の電動化の後追いをする必然性・必要性はない

欧米で「電気自動車」が一般化して来ているからと言って、日本も同様の道を歩む必然性も必要性もありません。

ひところビジネスの世界でも「グローバルスタンダード」と称して欧米のマネをすることが流行しましたが、「国際社会の波に乗り遅れるな」とばかりに「温暖化対策」や「脱炭素化政策」を性急に推進するのはどうかと思います。

(2)急激かつ拙速な「電動化政策」は日本の自動車産業や石油産業への影響が大きい

日本の自動車産業は多くの下請け中小企業を含む巨大産業です。「電気自動車」へ急激に舵を切ると、これらの自動車産業集団に多大な影響があり、壊滅的な打撃を受ける恐れもあります。

2020年7月からは意味の分からない「レジ袋有料化」も始まりましたが、石油産業への影響も大きいと思います。ただし皮肉なことにコロナ禍の影響で、テイクアウトが増えてプラスチック容器の使用が増えたり、飛沫防止のためのビニールやプラスチックの仕切りが急増しています。

(3)電動化するとしても日本の電動化対応状況に合わせて漸進的にやるべき

菅首相は「功を焦っている」のか「パフォーマンス好き」なのか、「カーボンニュートラル」や「自動車電動化」にしても「デジタル化」にしても性急過ぎるように見えます。

入念にきちんとした「態勢整備」をして、国民の受け入れ態勢が整ってから徐々に進めるべきものです。そうしないといたずらに国民を混乱させるだけでなく、不要な負担を強いたり、無駄な手間をかけさせることになります。

(4)そもそも「温暖化対策」「脱炭素化対策」に疑問がある

海洋プラスチックごみ問題」もそうですが、「温暖化対策」や「脱炭素化対策」も、日本はその幻想的な理念(「ドグマ」とも呼ぶべきもの)に幻惑され、呪縛に陥って莫大な税金の無駄遣いをしているように思います。

諸外国はしたたかに自国の利益を優先的に考えており、日本は「正直者が馬鹿を見る」結果にならないか心配です。

3.電気自動車のメリットとデメリット

電気自動車の充電

(1)メリット

①減税や補助金がある

「クリーンエネルギー自動車補助金」「グリーン化特例」「エコカー補助金」などがありますが、これも国民の税金から支出されているものです。

②燃費が安い

③排気ガスが出ないので、環境に優しい

④音が静か

(2)デメリット

①車両価格が高すぎる

②充電時間が長すぎる

③充電スタンドが整備されていない

④連続走行距離が短かすぎる

上の③と④の理由から、電気自動車が多くなると、充電切れで動けなくなる車が続出するのではないかと心配です。町中なら、JAFを呼べば短時間で来てくれるかもしれませんが、山道や人里離れた田舎では立ち往生する時間も多くなるのではないでしょうか?

寒い冬だと、「電気自動車の充電切れで凍死」という事態も起きかねません。

⑤豪雪で高速道路で多数の車が動けなくなった場合の対応能力に疑問がある

 昨年12月に関越道で起きたように、急激な豪雪のために高速道路で長時間多数の車が動けなくなり燃料切れになった場合、「ガソリン車」であれば、ガソリンを給油すれば対応できますが、「電気自動車」の場合、除雪が終わっても復旧に相当時間がかかるのではないでしょうか?

最悪の場合、「電気自動車」は「急速充電車」を呼ぶかレッカー車で充電ステーションに運ぶしかないのではないかと思います。

⑥充電するための電力供給が不足する可能性

電気自動車はCO2を出さないと言っても、化石燃料を直接内燃機関で燃やすガソリン車よりも、CO2を出す発電所から長い距離を送電して充電してから利用するものであり、「化石燃料の効率の悪い使い方」とも言えます。

現状では、日本が得意とする「ハイブリッド車」を引き続き全世界に普及させるのに注力するのが現実的だと思います。「電気自動車」で欧米の後追いをするのは得策ではありません。

「オール電化」が停電時に全く無力なように、「電気自動車」は電気が切れると全く役に立たず大変脆いものです。




 



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