ウクライナ疲れ・ゼレンスキー疲れ・支援疲れがウクライナ政府高官汚職で加速か?

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ウクライナ政府高官汚職

<2023/9/5追記>「ゼレンスキー大統領がウクライナ国防相を汚職疑惑で解任」との報道がありました。

ウクライナ国防相解任

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日夜のビデオ演説で、ロシアによる侵攻前から国防相を務めるレズニコウ氏を解任し、後任に国有財産基金トップのルステム・ウメロウ氏を起用する考えを明らかにしました。レズニコウ氏は今年初めに国防省の汚職疑惑が報じられ、監督責任を追及する声が上がっていました。

ウクライナ国防相

ロイター通信などによると、レズニコウ氏は侵攻開始前の2021年11月に国防相に任命されました。弁護士で軍事経験はほとんどありませんが、西側諸国の軍事援助の確保に貢献してきました。

<2023/5/17追記>「ウクライナ当局、最高裁長官を拘束 『違法な利益』3億円超得た疑い

」との報道がありました。

ウクライナ国家反汚職局(NABU)と反汚職専門検察(SAP)は16日、270万ドル(約3億7千万円)の「違法な利益」を関係者とともに得た疑いで、ウセボロド・クニャジエウ最高裁長官(43)を拘束したと発表しました。

両機関は最高裁判所の指導部内で組織的な汚職が行われたと言明。三権の長の1人に対する疑惑に、ウクライナ国内でも衝撃が広がりそうです。

ウクライナでの汚職蔓延はかねてから指摘されていましたが、この報道にはウクライナを前のめりに支援し続けている西側諸国にも波紋が広がりそうです。

前に「岸田首相はウクライナ支援に前のめり過ぎ!日本の国力と国益を考えた自制をが必要。」という記事も書いていますので、ぜひご覧下さい。

<2023/1/25追記>「ウクライナ政府高官らが汚職疑惑で次々解任。賄賂5000万円も」との報道がありました。

ウクライナ政府高官解任

昨年2月にもロシアの戦争犯罪を捜査する検察と保安局のトップがロシアに内通した疑いで解任されましたが、今回は複数のウクライナ政府高官が私腹を肥やす「汚職疑惑」で次々と解任されました。中にはゼレンスキー大統領の側近のスポークスマンだった人物もいます。

「ウクライナ疲れ」「ゼレンスキー疲れ」「支援疲れ」がさらに加速し、場合によってはゼレンスキー大統領が率いる現在のウクライナ政府が内部崩壊してしまう恐れもあります

ロシアによる侵攻が長引くウクライナで、収賄などの汚職疑惑で政府高官らが次々と解任されました。

ウクライナの汚職防止当局は23日、収賄の疑いでインフラ部門などを担当していたロジンスキー次官の身柄を拘束したと発表しました。

政府の発電機購入額を水増しするなどし、賄賂として日本円でおよそ5000万円を受け取っていたということです。

また、ゼレンスキー大統領は、人道支援用の自動車を私的に流用したと批判されていたティモシェンコ大統領府副長官(上の写真)を解任。これに関連し、ザポリージャ州など4つの州の知事も辞任しました。

さらに検察は、成人男性の国外への渡航が原則として禁じられている中、新年の休暇をスペインで過ごしていたと報じられた副検事総長を解任したほか、軍の食糧調達をめぐる汚職報道に関連し、国防省のシャポバロフ国防次官ら4人の次官も解任されました。

高官の相次ぐ引責は、政権に打撃となる可能性もありますが、ゼレンスキー氏は「正義の原則に反する者への警告にしたい」と政権内部の引き締めを進める姿勢です。

1.ゼレンスキー大統領によるウクライナの検事総長と保安局長官の解任

ウクライナゼレンスキー大統領が検事総長と保安局長官解任

2022年2月24日に「ロシアによるウクライナ侵攻」が始まって5ヵ月が過ぎましたが、7月18日に耳を疑うようなニュースが飛び込んできました。
クライナのゼレンスキー大統領は17日、ベネディクトワ検事総長と情報機関トップのバカノフ保安局長官を解任したと発表したのです。最高会議(議会)の同意を得て正式決定するとのことです。ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、検察と保安局の職員が協力した疑いがあるのが理由としています。
 ゼレンスキー氏は、国家反逆やロシアへの協力の疑いで検察や法執行機関の職員に対して651件の捜査が行われていると指摘。「国家安全保障の根幹に関わる一連の犯罪や、ウクライナの治安当局とロシアのつながりは、指導する人間の資質に疑問を生じさせる」と説明しました。
 ベネディクトワ氏は、ウクライナで初めての女性検事総長で「ロシア軍の戦争犯罪」の追及を指揮してきました。バカノフ氏は、ゼレンスキー氏と古くからの知人ですが、南部ヘルソン州がロシア軍に占領されたことで更迭されるとの観測が一部メディアで出ていました。
ロシア軍による「懐柔作戦」というか敵を内部から切り崩す作戦の結果としての「内通」かもしれませんが、このような大統領の側近・腹心とも言うべき検事総長や保安局長官の解任人事は、ゼレンスキー政権が盤石ではなく不安定になっていると見られても仕方ありません

2.最近欧米で囁かれ始めた「ウクライナ疲れ」や「ゼレンスキー疲れ」

新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の世界的感染拡大(パンデミック)が続く中、日本でも感染爆発(オーバーシュート)を抑えるために、「外出自粛」「三密の回避」「営業自粛」など様々な対策が打ち出されました。

その結果、一向に出口が見えない(終息の兆しが見えない)「コロナ」に対して「コロナ疲れ」という言葉が出てきました。

最近欧米では「ウクライナ疲れ」や「ゼレンスキー疲れ」「支援疲れ」という言葉が囁かれるようになりました

2022年2月24日に「ロシアによるウクライナ侵攻」が始まって5ヵ月が過ぎましたがいまだに戦争が終わる気配がありません。

ゼレンスキー大統領からは欧米各国に対する「武器供与の要求」が止まりません。しかもゼレンスキー大統領が東部や南部の親ロシア派支配地域だけでなくクリミアまで奪還しなければ戦争は終わらない」と口走ったことから、全く出口が見えなくなり「ウクライナ疲れ」や「ゼレンスキー疲れ」が出てくるのも無理がありません。

ロシアのウクライナ侵略状況

3.ウクライナ支援のジレンマ

ゼレンスキー大統領はドイツに対して、「武器供与が他の国より遅かった」と名指しで批判しました。

さらに駐独ウクライナ大使のメルニク氏は、結構ドイツに批判的なことを言って、ドイツ国内で反感を買いました。プレッシャーのかけ方が強すぎました。

要するにドイツはメルニク大使に圧力をかけられ、それに屈して武器を提供するいう印象を与えたくないのです。武器供与に二の足を踏む国はドイツばかりではありません。

フランスでは、ウクライナに対し、自走りゅう弾砲「カエサル」を供与していますが、ある議員は「フランス軍はカエサルを64両しか持っていない」、またある議員は「我々の戦争ではない」などから武器を供与している場合ではないと述べています。

西ヨーロッパの大国は、ロシアとはいずれどこかで手打ちになるのだから、戦後のことを考えると完全にどちらかに肩入れしたくないというのが本音です。

ウクライナをどんどん支援することは、物理的には可能だとしても、それによってウクライナが急速にロシア軍を駆逐して、ゼレンスキーが目指す2月24日のラインまで押し戻すことが現実味を帯びてきた時、今度はロシアの核使用も現実味を帯びてくるというジレンマがあります。

4.「ゼレンスキー離れ」という新しい言葉も出てきたが「情報戦」の懸念もある

ウクライナ支援について、各国の思惑が揺れ動く中、「ゼレンスキー離れ」という新しい言葉も聞かれ始めています。

2022年6月15日~16日の2日間、本部のあるベルギー・ブリュッセルで開かれたNATO国防相会議。ウクライナ支援国や加盟申請中のフィンランド、スウェーデン、さらにウクライナを加えた約50か国が参加しました。

このタイミングに合わせるようにウクライナのポドリャク大統領府長官顧問が次のようなツイートをしました。

戦争を終わらせるためには重火器を(ウクライナとロシア)同等にする必要があります。(中略)決断を待っています。

ウクライナが求める武器リスト

アメリカ・ブルームバーグは次のように報じました。

“ゼレンスキー疲れ”の恐れがある。経済が弱まり兵器が不足する中で、ゼレンスキー大統領が兵器などを要求し続けることに西側指導者が疲れてしまう危険がある。

アメリカの世論調査でも共和党支持者の中で、“ウクライナ支援は過剰だ”と思う人が、3月の13%から5月には27%に増えています。

一方で情報戦への懸念もあります。実は「ゼレンスキー疲れ」というのを書いているのはアメリカのメディアだけではなく、ハンガリーの新聞などが結構そういうことを書いてます。ハンガリーといえばオルバン首相がプーチン氏と近く、ハンガリーのメディアはかなり政府寄りが多いですから、ゼレンスキー疲れ”“ウクライナ疲れ”というムードを西側に広めるために多用している可能性もあります。

情報戦に乗せられない「リテラシー」が求められますが、一方で侵略者が得をする結果は絶対に避けなければなりません。

東京大学先端科学研究センターの小泉悠専任講師は、
「この戦争は長引くと思う、その中で“疲れ”があるかもしれない、ゼレンスキーの物言いにイライラすることもあるかもしれない。でも、侵略した結果、望み通りになりましたっていう履歴は残してはならない。うんざりしながらも付き合っていく…まぁコロナ対策に似た部分があるんじゃないかと思いますね」と述べています。

防衛研究所の高橋杉雄研究室長は、
「ゼレンスキー疲れする前にアテンションの低下…ワシントンポストもウクライナの記事がどんどん小さくなっているし、後ろの方の面に行っている。ゼレンスキー疲れする前に、戦争自体に注意がなくなってきているのではないか。(ゼレンスキー疲れを)ゼレンスキー批判みたいに捉えると、ロシアの情報戦に乗せられていく可能性もあるので注意が必要」と述べています。

5.アメリカやNATO諸国の思惑

アメリカやNATO諸国は、「第三次世界大戦」になるのを避けるという名目でウクライナに対して武器供与などの支援とロシアに対する経済制裁はするものの、ロシア国内を攻撃できる長距離砲は供与せず、自国の軍隊を投入することは巧妙に避けています

そしてアメリカやNATO諸国は、この戦争が、「ベトナム戦争」(1955年~1975年)のように泥沼化して何年も続くことで、ロシアが国力を消耗して弱体化することを密かに期待しているのかもしれません。

6.ロシアのウクライナ侵攻の背景と日本にとってのウクライナ問題

ロシアがウクライナに侵攻した理由は、「ウクライナがNATOに加盟したら、ロシアの安全保障が危機に陥るから」です。

そして、アメリカがロシアに対して経済制裁しかしない理由は、アメリカ本国の安全保障には関係がないからです。

この国際政治の現実を踏まえれば、中国が台湾や尖閣に侵攻した時や、ロシアが北海道に侵攻した時に、日本に何がもたらされるかも明白です。その意味で、ウクライナ問題は、「日本の問題」にほかなりません。

日本は、今のウクライナ同様、領土を自らの手で守らなければならなくなるでしょう。

ロシアがウクライナに侵攻したのは、1997年から続くNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大、とりわけウクライナの加盟を阻止するためです。ロシアにしてみれば、歴史的・文化的にも関係の深い隣国ウクライナのNATO加盟は、自国の安全保障に対する直接的な脅威であり、喉元に匕首を突きつけられるに等しいものです。

そのためロシアは、ウクライナのNATO非加盟を何度も要求してきましたし、実際、2014年にはクリミア奪取の挙にも出ました。米国は戦争を回避したければ、少なくともウクライナのNATO非加盟を約束し、ウクライナをロシアとの間の地政学的な緩衝地帯とすべきでした

しかし、「米国がそうしなかったので、ロシアがウクライナへの侵攻を決断したのも当然」という解釈もできます。

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