「かばん屋」がカバンの将来性不安から「ミニマルホテル」を開業した逆転の発想

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林五ホテル玄関

バッグの林五(本社:大阪市)が、2019年6月に東京・浅草橋にカフェを併設した簡易ホテル「カフェ・アンド・ミニマルホテル・アワアワ」(CAFE/MINIMAL HOTEL OUR OUR)を開業しました。

最近の必要最小限の物しか持たない生活スタイルである「ミニマリズム」の社会風潮を反映したのが「ミニマルホテル」という簡易ホテルです。

1.「カフェ・アンド・ミニマルホテル・アワアワ」とは

これは同社の東京支社として使っていたビルを改装したものです。

1~5階を使用し、1階がカフェと物販、2~4階が宿泊スペースで、5階はシャワーと風呂です。2階は女性専用で、そのほかは男女兼用。個室やグループで泊まれる部屋もあります。

5階の大きな「ヒノキ風呂」からは、外のボタニカルガーデンが眺められます。

ヒノキぶろ

ベッド数は80床で、午後2時間から利用できる「デイユース」や「ランニングステーション」として、風呂やシャワーを使えるメニューも用意しています。

価格は朝食付きで4000円、個室は1万2千円からとなっています。

訪日外国人観光客や、平日の朝にジョギングを楽しむビジネスパーソンなどに人気が出そうなホテルです。

「最先端のカルチャーと洗練された日本の美が集まっている」「最も新しいスタイルのホテルが下町にあった」として、雑誌「Hanako」の「よくばる夏の旅2019」にも紹介されました。

2.かばん屋さんがミニマルホテルを開業した理由

ところで、なぜかばん屋さんがミニマルホテルを開業したのか、疑問に思う人も多いのではないでしょうか?私もその一人です。

(株)林五にの担当者は次のようにコメントしています。

当社はこれまでかばんという”モノ”を通して旅行業界に携わってきましたが、”モノ”を売るのではなく”サービス(=コト)”を売る時代へと変わっていく流れのなか、来年の創業130年という節目に向けてホテル事業に参入し、”コト”の提案として新たな旅のプラットフォームを構築することを目指します。

確かに、携帯電話・スマホが小型化し、紙幣がキャッシュレス決済となり、書類や本がデジタル化・電子化する中で、人の持ち物が減り、カバンが不要になる時代が来るという「カバンの将来性への不安」を逆手に取る「逆転の発想」でホテル事業に参入したようです。

また、「カバンー旅行ー旅行者ーホテル」という連想によるホテル事業参入も面白いと思います。

畑違いの「武士の商法」ではなく、現在の時代の変化やニーズ(外国人観光客の激増、ジャポニスム、ジョギング愛好家の増加など)をうまく取り込んでいるように見えます。