公営ギャンブルに加えIRでカジノ解禁。ギャンブル依存症対策や治安対策が必須

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公営ギャンブル

<2024/3/22追記>大谷翔平の通訳・水原一平氏はギャンブル依存症だった!

ドジャース・大谷翔平選手の水原一平元通訳について3月21日(日本時間22日)、内国歳入庁(IRS)が捜査を始めている、と米各メディアが伝えました。

 IRSは水原氏と違法ブックメーカーについて捜査していると認めた一方で、詳しい状況について明らかに出来ないとしています。

 今回の事件は水原氏がカリフォルニア州での違法賭博である賭け屋(ブックメーカー)に多額の借金があり、大谷の口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)を送金したことが明るみに出て発覚。21日にドジャースは同氏を解雇しました。

水原一平氏は韓国でのパドレスとのメジャーリーグ開幕戦第一日後のドジャースの監督・選手の前で謝罪し、「全て私の罪です。私はギャンブル依存症でした」と告白したそうです。

落語に「高津の富」という「富くじ」にまつわる噺があります。「富くじ」というのは江戸時代に行われた「宝くじの元祖」のようなもので、「高津の富」は、大阪にある高津神社が寺社奉行の許可を受けて勧進(神社の新造や修理・再建のために浄財の寄付を募ること)のために行ったものです。

歴史小説を読んでいると、江戸時代の大名の下屋敷で「中間(ちゅうげん)」が賭場を開く場面がよく出てきます。

「維新の十傑」に公家で唯一人選ばれた岩倉具視(1825年~1883年)なども、幕末の貧乏公家だったころに、自宅に賭場を開いて「寺銭(てらせん)」を取り、お金を稼いでいました。

江戸時代も「賭博」や「賭博開帳」はご法度でした。

現在、日本では「賭博および富くじに関する罪」は刑法185条および187条に規定されています。

185条:賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供す

る物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。 (常習賭博及び賭博場開張等図利)

187条:富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。

2 富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

3 前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。 (富くじ発売等)

1.「公営ギャンブル」

「カジノ解禁の今こそ公営ギャンブル等の禁止を検討すべき時期ではないか?」という記事も書いていますので、ぜひご覧ください。

現在「公営ギャンブル」は、「競馬」「競輪」「競艇」「オートレース」です。

「国民の健全な経済的生活の風習」を保護法益とする賭博罪の趣旨からすれば、明らかに反する行為ですが、「国や地方公共団体に財政的貢献をする」ということで違法性を阻却されています。

「宝くじ」も「公営富くじ」とも言うべきものです。

「パチンコ」も景品だけでなく、実質的に現金に換金できるので、「黙認された公営ギャンブル」とも言えます。

2005年に発足した自民党遊技業振興議員連盟(自民党パチンコ議連)は、現在「パチンコ換金の法制化」を実現するための「時代に適した風営法を求める議員連盟」に移行していますが、要するに「自民党のパチンコ業応援団」です。

ちなみに韓国では2006年からパチンコが禁止されています。韓国の元裁判官の話では「犯罪者の8割が頻繁にパチンコ屋通いをしていた」そうで、これが禁止された一番の理由とのことです。

パチンコ店絡みの事件も多かったそうです。パチンコで大損した客がガソリンでゲーム場に放火したり、パチンコ台を叩き壊したりしたする事件などです。

禁止されるまでは韓国にも、コンビニ店より多い1万5000軒のパチンコ店があり、夜通し営業していたそうです。市場規模は3兆6500億円規模に達していたそうです。

2.「ギャンブル依存症」

「ギャンブル依存症」とは、「ギャンブル等(公営ギャンブル、パチンコ・スロット等)にのめり込むことにより日常生活または社会生活に支障が生じている状態」のことです。

これは、本人と家族の生活に支障を及ぼし、多重債務・貧困・虐待・自殺・犯罪等の重大な社会問題を生じさせています。

3.「IR]での「カジノ」解禁

大阪にも、「IR」で「カジノ」が出来る話が進んでいるようですが、「公営ギャンブル」と同様かあるいはそれ以上の確率で「ギャンブル依存症」が増加することが予想されます。

また、暴力団が絡んでくることも予想されますので「治安対策」も必須となってきます。

ただ、「ギャンブル好き」の人間はいつの時代にも一定数は存在することから、「公営ギャンブル」がなくなると、「違法ギャンブル」が増えてかえって問題だという意見もあるようです。

2010年には社民党と共産党を除く超党派国会議員による「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連)が発足しています。これは「カジノ合法化による観光産業の振興と、パチンコの換金合法化」が目的ですが、要するに「カジノ・パチンコ応援団」です。

<2020/1/8追記>

2019年12月25日にカジノ議連の秋元司議員(自民党)が収賄容疑で逮捕されました。2020年1月6日には、下地幹郎議員(維新)が中国企業「500ドットコム」の顧問から現金100万円を受け取っていたことを認めました。「500ドットコム」側は下地議員以外の4人の国会議員にも100万円前後の現金を配ったと供述していることから、今後カジノ議連に所属するその他の議員にも捜査が及ぶ可能性があります。

「サラリーマン金融」が上限金利を低く抑えられたことで、経営が苦しくなった上に、過払い金請求が追い打ちをかけ破綻した会社もありますが、その結果、合法的な金融業者が減って「ヤミ金融」がかえって増えたという話を聞いたことがあります。

二者間ファクタリング」のように、法の網をすり抜ける新手の金融も出て来ています。

2018年には「ギャンブル等依存症対策基本法」が成立しましたので、実効ある対策を実施してほしいものです。私は「自民党パチンコ議連」や「カジノ議連」がパチンコ業界やカジノ業界と癒着しているのではないかと不信感を持っていますし、彼らが「ギャンブル等依存症対策」についてどのように考えているのか疑問が残ります。

蛇足ですが「ヤミ金融」についても、実態をよく把握して取り締まりの強化を図っていただきたいと思います。


パチンコ利権 瀕死の業界に未来はあるのか? [ 宇佐美典也 ]