高槻市は今でこそ大阪のベッドタウンという印象がありますが、なかなか古い歴史のある町です。
高槻市内には京都市にあるような広大な寺院や神社はありませんが、古い歴史を持つ神社が少なくありません。
前に「八幡大神宮(八幡神社)」を紹介しましたので、今回は高槻城跡の近くにあるもう一つの神社「野見神社」をご紹介したいと思います。
余談ですが、野見神社の北側にある「高槻現代劇場」の敷地は、江戸時代の高槻藩士で有名な漢詩人の藤井竹外の屋敷跡です。
最近、時折(毎月か毎週?)花店の主人から「花手水(はなちょうず)」の奉納があるようで、遊び心があふれていて綺麗だと人気です。「花手水」は奈良県明日香村の「岡寺」や京都府長岡京市の「楊谷寺」、京都市の「勝林寺」などでも行われているそうです。
1.「野見神社」とは
「野見神社」は9世紀に創建され、もとは高槻城内にありました。古くは「牛頭天王(ごずてんのう)の社」とも呼ばれ、歴代の高槻城主の信仰も篤かった神社です。
住所は高槻市野見町6-6で、アクセスは、阪急高槻市駅から南へ徒歩10分です。
(1)御祭神
野見宿禰命(ノミノスクネノミコト)と須佐之男命(スサノオノミコト)を祭神としています。もとは、上宮天満宮付近にあった式内社(しきないしゃ)・野身(のみ)神社が移って来たものと見られています。
(2)境内社(摂末社)
①永井神社
境内社の「永井神社」は、高槻藩主、永井家初代の永井直清(1591年~1671年)を祀る神社で、緑濃い境内に建っています。当初は「直清神社」と称し、幕末には「直清権現」と呼ばれていました。
社殿や唐門などが高槻市の指定文化財となっており、かつての高槻城の姿を偲ばせる絵馬が奉納されています。
②小島神社
市杵島姫命(イチキシマヒメノミコト)・大己貴命(オホナムチノミコト)・磐長姫命(イワナガヒメノミコト)・天児屋根命(アメノコヤネノミコト)を祀っています。創建不詳です。
③四社明神
福神社・稲荷神社・磐神社・祖霊社を大正時代にまとめて一社にしたものです。
④高槻えびす神社
⑤護国神社
2.「野見神社」の起源と歴史
(1)起源
9世紀末、平安時代中期の宇多天皇(867年~931年、在位:887年~897年)の時代、この地方に疫病がはやり、神託により「「牛頭天王(ごずてんのう)」(須佐之男命)を祀ったところ疫病が収まったので、社殿を造営したということです。
江戸時代までは、「牛頭天王社」と称していました。
(2)歴史
10世紀末に「高槻城」が築城され、城内守護として崇敬されましたが、16世紀にキリシタン大名の高山右近が城主となった時、城内にあった野見神社の社殿を破壊し、社領を没収しました。
江戸時代に入った1619年(元和5年)に、高槻城主松平家信が社殿を再建しました。
1868年(明治元年)の「神仏分離令」によって、祭神の名前を「須佐之男命」に変更しました。さらに野見宿禰命を合祀して、「野見神社」に改称しました。
なお、「延喜式神名帳」の「式内社野見神社」の後裔社は、明治初年に野見宿禰命を合祀したこの「野見神社」ではなく、上宮天満宮摂社の「野身神社」であるとされています。
したがって、現在の「社格」は「式内社(しきないしゃ)」ではなく、「郷社(ごうしゃ)」となっています。これは「府県社」の下で「村社」の上にあたります。
3.「野見神社」の年中行事
・歳旦祭(さいたんさい):1月1日
・とんど祭:1月15日
・節分祭:2月3日
・奉納泣き相撲:4月29日
・夏越の大祓(茅の輪くぐり):6月30日
・秋季例大祭:10月第2月曜日
・新嘗祭(にいなめさい):11月23日
・年越の大祓:12月13日