最近よく目にしたり耳にしたりするものに「QRコード」があります。いろんなシーンで使われるようになりましたが、この形にどのような意味があるのか、知っている人は少ないのではないでしょうか?
1.QRコードとは
(1)QRコードの意味
QRコード(キューアールコード)は日本人が発明した技術です。1994年(平成6年)に自動車部品メーカーであるデンソー(愛知県)の開発部門(現在は分社化してデンソーウェーブ)の原昌宏氏(1957年~ )が発明したマトリックス型二次元コードです。
「QR」は 「Quick Response」(「素早い返信」「迅速な対応という意味) の頭字語であり、高速読み取りを目的の一つとしている名称です。「QRコード」はデンソーウェーブの登録商標(第4075066号)です。
QRコードの利用にあたって手続きや費用が不要、仕様もオープンソースといって一般公開されているため、さまざまなシーンに応用されており、世界的な普及が急激に進んでいます。
(2)QRコードの利用シーン
①工場や物流管理
部品やパーツの情報、配送先や配送方法、入出荷の登録等に利用。
②チラシやポスター
ホームページのURL情報を記録できるため、スマホで詳細情報を見ることができる。
③スーパーの商品コーナー
商品の情報や生産者の情報など購入者が知りたい情報を確認できる。
④コンサートやイベントなどの電子チケット
入退場管理、飛行機・電車のチケットに利用。ただし、QRコードは複製が可能なため管理には注意が必要。
⑤レジでの電子決済
「QRコード決済」と呼ばれ、QRコードをスマホなどの画面から読み込み、決済したい金額を直接入力もしくはバーコードリーダーの読み取りする。
⑥ホームドア開閉位置の検知用
電車の車両ドアにQRコードを貼りつけ、駅ホーム頭上に設置したカメラからQRコードの位置や動きを読み取り、電車全てのドア開閉状態を検知。
⑦ソーシャルメディアのアカウント登録
TwitterやLINEなどソーシャルメディアのアカウントを友だちとフォローする際にQRコード経由で登録可能。
⑧テレビの補足情報画面の情報
概略は番組内で伝え、詳細情報やアンケートの詳しい集計結果などは、スマホでQRコードを読んで表示したホームページで確認する。
2.QRコードの仕組み
QRコードの形がどんな意味を持っているのかを紹介します。画像にあるように、3点の「ファインダパターン」(切り出しシンボル)と、1点の「アライメントパターン」の計4点で構成されています。スマホで読み取る時は最初にファインダパターンがあることで「QRコード」と認識しています。
さらにQRコードは当初から、工場や物流の現場で利用されることを想定して開発されたため、発生する可能性がある「汚れ」によってコードの一部が読めなくても、補正して正しく読み取る機能が備わっています。
周囲のドットから情報を補完するため、QRコードがゆがんで見えた場合でも読めない部分のデータをコード自身で復元して、結果として正確に読み出すことができる仕組みです。また、読み取りでは光が反射すると難しくなるため、ビニール袋等に印刷する場合は注意が必要です。
ただ、補正機能があるとはいっても、汚れの範囲が大きかったり、ファインダパターンやアライメントパターンが読めなかったりした場合は、情報を読み出すことができません。
QRコードの画像を実際に読み取ってみるとイメージできると思います。なお、紹介した画像は例であるため、QRコードを読み取るカメラやアプリなどによって読み取りの結果が異なる場合があります。
3.QRコードとバーコードとの違い
QRコードに似たものとして、「バーコード」があります。数字やアルファベットをコード化したもので太さの異なる縦線を横方向に並べているため「一次元コード」と呼ばれます。
バーコードとQRコードとの違いはどんなものがあるのでしょうか。大きく3つあります。
(1)QRコードは「二次元コード」で、バーコードは「一次元コード」
(2)QRコードの方が情報量が多い
QRコードは「縦と横」に配置した点(ドット)からなるため「二次元コード」と呼ばれることもあります。バーコードよりQRコードの方がコード化できる情報量が多く、英数字だけでなく、URLアドレスやメールアドレス等の情報を埋め込むのに適しています。
また、漢字・かな、画像やサウンドデータを埋め込むこともできます。数字のみなら最大7,089文字、英数なら最大4,296文字、画像やサウンドなどバイナリデータ(8ビット)で最大2,953バイト(約3KB)の情報量が埋め込めます。
(3)バーコードは「読み取り専用の機器」が必要だが、QRコードはスマホがあれば十分
スーパーのレジなどで専用のバーコードリーダーを使って読み取っている様子を見たことがあると思います。バーコードの読み取りには「専用の機器」や「それと連動したシステム」が必要です。
一方、QRコードは先ほどの例のように、カメラ画面やアプリから手軽に利用できます。顧客がスマホユーザーなら、専用のリーダーが必要ないので利用しやすいため、スマホの普及ととともに、たくさんの人が利用するようになりました。
3.QRコードの作成方法
QRコードは使うための費用は一切かかりません。利用する際にガイドラインを守れば、誰でもQRコードを作って利用することができます。QRコードを作成できるウェブサイトはたくさんありますが、中でも「[公式]QR Codeメーカー」がオススメです。
例えば、ポスターやチラシ、商品説明などにQRコードを貼って、自社のホームページに誘導したい場合は、このページにアクセスし、「URL」欄にURLアドレスを入力し、アクセス解析(クリック回数の記録)の有無を選択したあと、「QRコード作成」ボタンをクリックするだけで、QRコードが作成できます。
4.QRコードの安全性
QRコードは誰でも作ることができ、複製も簡単にできる・・・でも安全性はどうなのか気になりますよね。
そもそもQRコード自体に安全性や秘匿性はありません。最近では偽造・複製検知を防止するような技術も登場していますが、QRコードは誰でもそのコードを読み取ることができる、ということは注意する必要があります。
また、QRコードを正しく読み取れるかという正確性については、先ほどふれた「誤り訂正」のレベルを設定することで、多少読み取れない箇所があっても読み取ることができるようになっています。